チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

お餅の思い出

2022年01月04日 03時53分36秒 | お正月

晴、4度、52%

 子供の頃の食べ物の思い出はいいものもあれば、良くないものもあります。「お餅」にはあまり芳しくない思いがありました。そんな思いをこの歳になるまでなんとなく引きずって来ました。でも、なんの切掛かコロリと落ちることがあるのを知りました。

 子供の頃、元旦から成人式過ぎまでは朝から夜までこの家で一人で留守番をしていました。父の仕事柄、一年中で一番お客様の多い時期でした。写場、つまり写真のスタジオには晴れ着を着た人たちが記念撮影にやって来ます。母も着付けの乱れを整えたりで一緒に出かけます。火の元が心配なので、ストーブは使えず椅子に座って当たる火鉢だけでした。ご飯を作り置きするような母ではありません。私に置かれた食べ物は「お餅」。きな粉やお海苔もありません。仕方なく「お醤油とお砂糖」を混ぜてつけました。

 寂しかったと思います。寒かったと思います。「お餅」を見るとお醤油とお砂糖の甘塩っぱい味とともに胸に支えるものがありました。嫌いではないのです。ぷーっと膨れて香ばしい香り、熱々の「お餅」は食の細い私でも好きでした。

 ここ数年、年末につきたてのお餅をいただきます。福岡は丸餅です。ご家族揃ってつかれた「お餅」は遠くからやって来ます。今年初めて「あん餅」が入っていました。昔、祖父母の家でつきたてのお餅にあんを入れ私に叔母がぬくぬくを手渡してくれたことを思い出します。荷物を開けるや「あん餅」をいただきました。

 明けてお正月、一番にいただいたのは白味噌で仕立てたお雑煮、久しぶりの白味噌仕立てでした。焼き餅は香ばしく、「ああ、お正月」としみじみ感じます。「あん餅」「白味噌お雑煮」と今年はお餅を食べる勢いが違います。いつもならひと月かけて食べる「お餅」が今年はもう数えるほどです。「お醤油とお砂糖」は使いませんが、ご飯がわりにいくつも食べます。「昆布締め」に使った昆布を炊いた、 こんなものと一緒に。

 胸の中にあった「お餅」への石のように硬い思いが、ポロリと落ちました。「お餅」のあとに入れた「大福茶」を飲みながら、満足げに微笑んでいる自分がいました。寂しかった、寒かった思い出が何処かに消えてしまった、今年のお正月です。

コメント (3)
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