雨,28度、87%
今日はお盆の入り,父は40数回目のお盆、母は2回目のお盆です。
昨年は母の初盆でした。初盆、一周忌共に家の改築が大幅に遅れてしまい,家に迎える事が出来ませんでした。私の実家,今は私の家ですが、改築を決めたのは2年前の年明け,家に残す家具や焼き物などを倉庫に運びました。お仏壇も倉庫に入れましたが,流石にお位牌と仏像だけは倉庫に入れる事が出来ません。そこで,施設に預かって頂いている母の部屋に持って行きました。個室です。入居者の中には,小さなお仏壇を部屋においていらっしゃる人もあるそうです。母にはお位牌を持って来た事を告げました。有り合わせの木箱に布を巻いていれただけです。身の回りお世話をして下さる方にも位牌ですからと告げました。2年前の5月の事です。
2月に一度は,母の様子を見るために帰国します。7月に帰った時もいつもと変わらぬ様子です。空港から真っ直ぐ母の施設に向かいます。帰る時も母を見舞って空港に向かいます。いつもは私が出て行く時は起きている母でしたが,この最後に母を見舞った時は,寝ていました。そおっと,重い引き戸を閉めて母のいる部屋を後にしました。母が逝ったのは、その8月の16日の未明です。
葬式を済ませ,母の部屋の後片付けに施設に出向きました。後片付けといっても衣服などいりません。幾つか持ち込んだ家具も施設において行くつもりです。ただ,お位牌と仏像だけは一刻でも早くと思います。2年前のお盆の入り,つまり2年前の今日,今年は母の部屋に父は帰って行くのねと、とてもおおらかな気持ちになっていました。母が施設に入って以来、誰もいない家でお盆を父は過ごしていたはずです。そう思うと,施設の母の部屋の方が余程好ましい。
その8月15日から16日に日付が変わろうとする頃,息子から電話が入りました。母の様子がおかしく、病院に搬送中だと言います。息子からの次の電話があるまで、暗い部屋でベットに横になり思いました。お盆で帰って来た父が母を連れて行ってくれたんだなあ。母は父に連れられて旅立ちました。お位牌を持ち込んで僅か3ヶ月あとのことでした。
昨年は初盆も一周忌も家で迎えてやる事が出来ませんでした。やっと仏壇も元の場所に納まりました。お位牌もいつもの場所に入りました。今日は,父と母が初めて一緒にお盆で帰って来てくれる日です。きれいになった家を喜んでくれるでしょうか。
父母の写る写真を急に見たくなったのは2日前。大きな写真箱から出してきました。この写真一時期は母が持ち回っていましたから,私も度々目にしていた写真です。父と母,そして大口を開けて笑っている私と猫のペペ。この写真の裏には、 母の手で住所や電話番号が書かれています。落とした時のためでしょう。黒の字以外に青の字で志奈、一郎,ペペ、2歳2ヶ月まなと書かれています。もう何度も目にして来たこの裏書きです。ただ漫然と見ていました。ところが、青い字で書かれた「まな」の「ま」の字が、あら,母の「ま」の字ではありません。裏の青い字は,父が書いたのだと初めて気付きました。この写真の表も裏も父と母が一緒です。
どうか、今日は無事に家に辿り着いて下さい。お仏壇の戸は全開にしてありますよ。