チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

湯のみ

2014年01月13日 | 身の回りのもの

曇り、13度、75%

 私が育った家には、焼き物がゴロゴロしていました。福岡という土地柄、西に向かえば唐津に伊万里、周りは小さな民陶が沢山あります。銘が入ったもの、名だたる陶工の作ではありません。福岡県朝倉郡に小石原焼きという生活陶器を作る村があります。私が小さい頃は、夏になると、この山間の交通の便も良くない村に、贔屓の窯元に泊めてもらい、家族で作陶していた頃がありました。小さな私も、小さなろくろを貸してもらい父の灰皿などを作りました。私がその村で一番の楽しみは、土を作るための水車を利用した土突きでした。水車小屋の中では、寝かされる前の土が、トントンと砕かれていました。ゆっくり廻る水車の音と土を突くトントンと言う音が、一番の思い出です。

 大きな壷から湯のみにいたるまで、小石原のものに関わらず陶器ばかりの食卓でした。しかも、器を選ぶのは、料理をろくに作らない私の母です。その反動もあってか、結婚して自分で器を選ぶとなると、いきおい、磁器に傾きました。瀬戸や多治見で焼かれる磁器は、あの頃は量産品の荒物屋の店先に並ぶ物が多かったように思います。旅館で出される湯のみに土瓶、どこに行っても同じ物ばかりでした。我が家の経済で許す限りのちょっといい磁器を揃えていたのは、昭和50年代の初めです。

 その磁器に凝っていた私がなぜか湯のみだけは、ずっと土ものを使っていました。ポッテリと掌に納まる粉引きは、もう20年ほど使っているものです。茶渋も程よく付き自分の湯のみと思えるほど育ってくれました。それなのに、急に、筒型の湯のみを使いたくなりました。 年明けて使い始めた祥瑞の筒型の湯のみです。驚いたことに、同じお茶の味が全く違います。昨日までの粉引きと磁器の筒型、同じお茶の葉なのに味が違います。

 お茶の味は違うのですが、どちらが美味しいとは、決めきれません。湯のみの口付きの厚さが違います。深さや、口の広がりが違います。立ち上ってくるお茶の香りまで違います。本当に驚きました。

 ワイングラスは、いいワイングラスと普通のグラスとでは、大いに美味しさが違ってきます。湯のみもまた、お茶の膨らみ方を左右するようです。湯のみはどちらで飲んでも、それぞれに美味しいので、交互に使ってみました。まだ、寒い間は、粉引きのポッテリを使おうと思い直したところです。磁器の筒型は、暑い夏に熱いお茶を飲む時に使いましょう。抹茶の茶碗が、うるさく取沙汰されるわけも、この年になって少し解るようになりました。

コメント
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