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チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

今年もおせち

2016年01月02日 | 料理

曇り,16度、88%

 毎年おせちを作ります。作りますが,毎年少しずつ作るものが違います。私達夫婦の年齢もあれば、嗜好の変化もあります。それでも,一年中,この一度のおせちのために何を作ろうかとアンテナを張っています。もちろんおせちですので、定番も、黒豆、伊達巻き、昆布巻き,おなます、主人が好きなかまぼこ。

 日本のおせちの食材もここ香港で随分手に入り易くなりました。それに比べて,出来合いのパックに入ったおせちは、入って来る量が減っているように思います。今年は当てにしていた,赤かぶ、京人参が手に入りませんでした。黒豆は,両方の母たちが元気な頃は,年末に荷物で届きました。最近は,12月に出張で日本に帰る主人に頼みます。

 一の重  伊達巻き、かまぼこ、昆布巻き、黒豆,カブのおなます、海老のギンナン抱き。 海老の酒蒸しにギンナンを抱かせてみました。おカブは香港にはありません。赤かぶが入ってなかったので,見つけたのが京都の大きなおカブです。大根のおなますよりおカブのおなますの方がほんのりと甘くて今の好みです。

 二の重  うらじろ椎茸、マナガツオの幽玄焼き、牡蠣の薫製,鴨のたたき、しめさばの炙り、金柑の蜜煮。久しぶりに市場にこの時期、マナガツオがでていました。ここ数年、おせちにはマナガツオの代わりにサワラを使いましたが,やはりマナガツオの方が美味しい。牡蠣の薫製は定番になりつつあります。 鴨といえばオレンジですが,オレンジの代わりに柚子でマリネしてみました。右の隅には,ゆりねのきんとんが見えています。

 三の重  今年は,初めてがめ煮を作りませんでした。がめ煮、筑前煮とも呼ばれる私のふるさと博多の煮物です。どんなに気を付けてもがめ煮は冷めると鶏の脂が気になります。さっぱりとお野菜の煮付けです。真ん中には丸のままの白クワイを入れています。

 もちろん今年もモモさんのおせち、  鴨肉は脂が多いので赤身の部分しかあげません。お魚好きなモモさん,マナガツオを喜んで食べました。

 おせち、クリスマス、おひな様,行事食を作るのは私の楽しみです。田舎のお家やお商売のお家では,月初め、15日のお赤飯が今だに続いていると聞きます。友人宅の仕事納めの日のお振る舞いの料理を見ました。その土地の違いこそあれ,けじめを付ける、感謝をする,みんなで頂く食事です。

 我が家のおせちが一番変わったのは,息子が家を出てからでした。ガランティーヌや焼豚が入ったおせちがさっぱりしたものに変わって来ています。孫が我が家でお正月を共にするお正月には,また私の作るおせちが変化すると思います。それもまた楽しみ。


お豆腐、ブロッコリー,ポークのグリーンカレー

2015年11月07日 | 料理

曇り,25度、88%

 タイには世界3大スープといわれるトムヤンクンがありますが,あの海老のスープはそんなに美味しいとは思いません。味覚は人それぞれです。タイの料理で好きなもの,グリーンカレーです。緑、赤,黄色とまるで信号機みたいにベースになる香辛料によって大別されるタイカレー,中でも一番辛いといわれているグリーンカレーです。ホラパーと呼ばれるタイバジル、プリッキーヌと呼ばれる小さな緑の唐辛子がベースになります。一般的なグリーンカレーはチキンにタイ茄子,白くて小さなまん丸な茄子やグリーンピースのような茄子が入ります。香港ではこの茄子が簡単に手に入ります。純度の高いココナッツミルクと好みのグリーンカレーペーストがあれば、お家で簡単にグリーンカレーの出来上がり。

 昨晩、主人は夕飯は外でお接待、ならばと冷蔵庫の残り物のを片付けようとスープを作る事にしました。半丁のお豆腐、ブロッコリーの沢山の茎とちょっとの頭、オニオンスライスの端っこの厚切れ、なぜかパセリの茎まであります。お出汁に脂身の付いた豚肉,コトコト煮ているといい香りです。でもここで,急にグリーンカレーペーストを落とす事にしました。もちろん,ココナッツミルクも注ぎます。冷凍庫を覗いても,バイマックルー、こぶみかんの葉っぱは品切れです。チョイと残念。

 グリーンカレーに初めて入れるものばかりです。タマネギはもちろんブロッコリーの茎も溶けるように柔らかく甘みを沢山出してくれています。お豆腐は頃よく味が染みています。カレーを一口,いつもとは違うまろみのあるカレーです。合わせるのは,もちろんタイのジャスミンライス。ジャスミンライスは私用の日常ご飯です。

 こんな組み合わせ,残り物だから一回切り。意外な発見がある冷蔵庫の残り物です。


或る日の夕飯

2015年08月05日 | 料理

晴れ,26度、85%

 香港,この夏は鯛が豊漁です。お天気が悪いと揚がっていませんが,晴れた日が2日も続けば魚屋の店先には鯛がずらり。以前はあまり見向きもされなかった鯛です。おかげで私は随分安く手に入れていました。今やその頃の倍値は付いています。丸のまま一匹の鯛を使った料理は,和食にも中華にも洋食にも、くせの無いおいしい鯛の幅の広さを見せてくれます。

 先日はオーブングリルで頂きました。至って簡単、黄色いピーマンをベットにして,きちんと掃除した鯛に塩こしょう、エクサンプロバンスの乾燥ハーブをのっけて、オリーブオイルを回しかけ焼くだけです。一番大事なのは,火が通り過ぎない事。真ん中にナイフを入れると,身がホロッと外れれば最高。焼き上がりに我が家のイタリアンパセリをたっぷりふりかけます。ベットにした黄色いピーマンは、オリーブオイルと鯛のスープを吸って,えもいえぬ甘さになっています。

 サラダは,簡単にロマノレタスのグリーンと赤,それにプチトマトとブラックオリーブ。

 たっぷりのパスタは,明太子のスパゲッティです。夫婦とも博多出身なので、辛子明太の頂き物が多くあります。頂くだびに冷凍庫に入れていたら,かなりの数です。これをせっせと片付けなくては。作り方はこれも簡単、明太子2腹,つまり4袋をしごき出し,ニンニク少々をギュッとニンニクマッシャーで。そこにアサツキか小ネギをがっぽりと入れ,オリーブイルを垂らします。ここに茹で上げのスパゲッティいを入れてかきませます。辛子明太,博多では崩れた端っこを安く売っています。これを使えば、しごく手間が省けます。そういえばソウルに行った折、ロッテデパートの地下に行きました。食料品売り場です。博多ではなくこれこそ本場韓国の辛子明太、買おうと品定めをしていると,売り場のおばさん,やはり,崩れたところがお買い得だと勧めてくれます。人様に差し上げるわけではありません。その大きなパックを2つも買って香港に持ち帰りました。この辛子明太,非常に美味しかった。

 暑い夏、ストーブの前に立つ時間は少しでも短いがいいに決まっています。オーブン任せのこんな料理なら,お手軽です。


胡麻豆腐

2015年07月28日 | 料理

曇り,27度、80%

 気温が高くなると,ひんやりした物が欲しくなります。ギンギンに冷えているのではなく、体温よりやや冷たいもの。夏でも暖かな飲み物しか飲まなくなって随分経ちます。暑い夏の夕方の冷えに冷えたビールなんてとんとご無沙汰です。少し冷たくて,喉越しのいいものをちょっと夕飯に一品付けると、夏らしい食卓になるようです。

 いつも冷や奴ばかりではと思い、胡麻豆腐にしましょう。市販の胡麻豆腐はなんであんなに小さいのかしら。二口で食べてしまいます。それでも大好物です。もっといっぱい食べたいなあと自家製です。それに,香港には、まだ胡麻豆腐は売っていません。息子が小さかった頃,お懐石を習っていいる友人が,胡麻豆腐を習ったと言います。胡麻豆腐はなんだか高貴な物に思えました。作るのは難しいに決まっていると思っていました。

 胡麻豆腐、美味しい胡麻と葛があれば出来ます。日本の胡麻は,中国,韓国でも非常に評判がよく,胡麻油、胡麻ペーストにいたるまで日本の物が手に入ります。胡麻を一杯,すり鉢でゴリゴリと当たります。自分で作るのですから,胡麻を一杯使います。このゴリゴリが少し手間がかかりますが,香ばしいので楽しみです。あとはお出汁で溶いた葛を会わせて,火にかけてポテポテになるまで煮詰めます。これを型に入れて冷やせば出来上がり。 これで,たくさん胡麻豆腐がたべれます。胡麻一杯ですから、やや硬めに仕上がりました。先日、胡麻ペーストから作れば簡単にゴリゴリなしで出来ると知りました。胡麻ペーストで作れば、滑らかな胡麻豆腐。すり鉢で当たれば胡麻がはじけるような胡麻豆腐。まるで,絹ごし豆腐と木綿豆腐の違いのようです。

  いずれにせよ,あの小さな胡麻豆腐では物足りません。

 葛は,冬は暖かな飲み物で,夏には葛寄せでいかにも涼しげな食べ物に,なかなか重宝な食べ物です。


紫花豆、ひよこ豆,レンズ豆のカレー

2015年07月17日 | 料理

雨,26度、87%   雷注意報

 インドに行くとカレーと呼ばれる食べ物はありません。しかし、どれもこれもカレー味の食べ物ばかりです。例えば、チキンカレーはチキン(murgh)マサラと呼ばれます。様々なスパイスが織りなす味、香りと肉や野菜,魚とが一体となった食べ物がカレーです。ただ単に辛い食べ物がカレーではないのです。もちろん辛みのスパイスを多く使えば辛い食べ物になりますが,ストレートに辛いのではなく,複雑にスパイス同士が絡み合う奥深い辛さが生まれます。

 インドはベジタリアンの多い国です。インド向けの航路に乗れば,機内食は必ずベジタリアンもしくはノンベジの選択肢です。お豆は,ベジタリアンにとって貴重なタンパク源であることは世界中同じです。もちろんノンベジでも豆料理を食べます。豆のカレーは「ダル」と呼ばれます。

 私にとっての初めての豆カレーはひよこ豆を使った物でした。インドに行くとひよこ豆よりレンズ豆を使ったカレーが多く見られます。ひよこ豆を挽いて粉にしたものは、インドの揚げ物の衣として使います。ひよこ豆はチックビーンズともいわれ,噛めば独特の豆の匂いがあります。レンズ豆は,その名の通りに薄いレンズのようなディスク型,色はグリーンとピンクがあり食感は小豆と同じです。香港の小豆が固くておいしくなかったその昔,私はこのレンズ豆でお汁粉を作りました。

 このひよこ豆,レンズ豆に加えて,日本の紫花豆を使ったカレーを作ってみました。 紫花豆は、知る人ぞ知る美味しくて大きくて黒豆の次にお高いお豆です。この紫花豆が私の大好物だと知る友人が,春先にたくさん送ってくれました。今まで見た紫花豆の中でも一番大きく6センチもあります。新物の中でもいいものを選んでくれたのでしょう,水を吸う時間がお店で買ったものの半分ですみます。香港の夏場を越すと折角の美味しいお豆が台無しです。大きな金時豆だと思いカレーに入れてみました。上から紫花豆、ひよこ豆,レンズ豆です。

 私のカレーベースは、オイルで炒めたクミンシードとトマトとタマネギで作ります。みじん切りにしてもいいのですが,口当たりを考えて最近はトマトとタマネギは、 このように荒めにすり潰します。後は,柔らかくした豆を一緒に煮込み,クミンパウダー、コリアンダー,チリなどで香りと風味を付けて行きます。

 カレーに使うオイルは「ギー」という水牛のバターでしたが、健康上インドでもオリーブオイルを使う人が増えているそうです。インドの友人アルクベリーさん宅の台所にも,オリーブオイルがありました。今回私は,ココナッツオイルを使いました。インド料理に使うスパイスは全てインドからの物です。この「ダル」を作る最後に加えるのが、「ダルマサラ」 「ダル」用のミックススパイスです。

 紫花豆は大きいので,味が染みるのに時間がかかります。お豆がしっかりと香りを含んでお豆のカレーは体に優しいと感じます。

 日本のカレールーにだって,お豆はぴったりです。戻して茹でるのが面倒なら,缶詰のお豆を使うとなお楽です。お豆好き,インド好きの私が作るカレーです。


鯛めし  香港

2015年06月19日 | 料理

晴れ、29度、86%

 今年の香港の市場の魚屋さん、嬉しいほどに桜鯛が並びます。かなり姿の大きいものから、南蛮漬けによさそうな小さい物まで。もちろん地元の魚です。香港近海を泳ぐ魚ですから、時には油、きっと船の重油かなにかが匂うこともあります。そんな苦い経験をしてもやはり、桜鯛を見ると買わずには置けません。以前は随分安かった鯛ですが、これだけ世界中の料理が食べられる町ともなると、需要が多くなったのか、いい値段で売られています。

 一昨日は、一人息子の37回目の誕生日でした。家庭を持ち、子供の成長を楽しみにしている息子です。とはいっても、私たちにとっては子供です。お誕生日おめでとう。桜鯛一匹の鯛めしを夕飯にと思っていたのですが、市場の魚屋さん、私が納得いく鯛がありませんでした。そんなわけで、昨晩鯛めしを炊きました。

 我が家の土鍋にはちょっと大き過ぎるように見えますが、鯛好き3人にはちょうどの大きさです。はい、モモさん、きりきり舞いするほど鯛が好きです。臭みをとるために、しっかりとお酒をふって炊くだけですから、見た目の割には簡単料理です。

 以前、友人が焼いた鯛で作るといいよと教えてくれました。まだ試していませんが、きっと焼き目が付くと、香ばしさが加わると思います。切り身で作っても鯛のうまみがご飯に移って、美味しいはずです。丸のまま一匹は見た目の豪華さと骨から出て来る美味しさを鯛からもらいます。余す事なくとは、正にこの事。ご飯が終わると、骨だけが残りました。味付けもお腹に塩を少しと、淡口醬油をちょっぴり。こうすると、魚本来の美味しさ、邪魔されない旨味が味わえます。

 息子が生まれて、息子の成長とともに私たち夫婦も成長してきました。この2、3年は、この息子の誕生日は我が家の歴史を振り返るに日になりました。日本にいる息子家族、息子にお嫁さんに孫。3人の事を思いやりながら、「よくここまでやって来たね。」と振り返る記念日です。

 一匹の魚を料理すると必ず私が最後にする事、 魚の耳石をとります。この桜鯛、思ったよりも小さな耳石でした。お魚の骨のような物ですが、不思議な事にちっとも魚臭くありません。大事に瓶に仕舞ってあります。さあ、しばらくは鯛が食卓にのぼる日が増える事でしょう。


キン肉マンのお箸

2015年06月10日 | 料理

曇り、29度、82%

 キン肉マン、昭和50年代の半ばから流行った漫画です。やはり当時流行ったガチャガチャだかグルグルだかガチャポンだか、丸いプラスチックの容器に、キン肉マンのゴムの人形が入って売られていたほど人気でした。まだ3歳ほどの息子が、「死」などという漢字を覚えたのもこの漫画のおかげです。

 東京は街街の電車の駅を中心に商店街が延びています。アーケードなどはなく、道の両側にクリーニング屋、八百屋、肉屋、魚屋、和菓子屋などがあります。夕方ともなれば、肉屋の店先にはコロッケなどが並びいい匂いです。今のようにコンビニなんてありませんでした。私が育った九州の福岡にはそんな町の風景はありません。町の作りが違うのです。そして、そんな商店街には必ず瀬戸物屋がありました。毎日使うお椀やお皿を売っているお店です。

 息子が幼稚園に上がる前の年の夏の終わりの事です。土曜日にはそんな商店街のある私鉄沿線の町まで買い出しに出かけます。ここは大きな野菜屋や魚屋も店を構えています。我が家から歩いて30分もかかったでしょうか、坂を上がったり下りたりしながらの買い物でした。魚屋で何か注文していると息子が見えません。ちょっと先の瀬戸物屋の店先でジッと何かを見ています。ガラス戸もなく店先の露台にお箸やら小皿が並んでいます。息子が見ているのは、キン肉マンやサンバルカンのキャラクターの付いたプラスチックのお箸でした。

 幼稚園に上がるとお弁当が始まります。そろそろお箸の練習をさせようかと思っていました。初めて持たせるお箸は、木のものがいいと思い込んでいる私です。その頃でも「初めてのお箸」などと名付けられた持ち方を覚える教育お箸のようなものもありましたが、出来たら普通の木のお箸が初めてのお箸にはいいと思っていました。瀬戸物屋の店先で、息子が手に取っているプラスチックのしかも色がブルーや黄緑のお箸は、全く私の想定外。ところがどうしても、キン肉マンのお箸が欲しいと言います。プラスチックのお箸を使わせたくないなどと言っても分かるはずもないのに、そこで少々押し問答をした記憶があります。「今晩から、毎日このお箸でご飯を食べると約束する?」と私。仕方なく黄緑のキン肉マンの絵の付いたお箸を買いました。帰る道すがらも息子はお箸を握りしめています。

 早速その晩から食卓の息子の前には黄緑のお箸が添えられました。スプーンもフォークもありません。朝、昼、晩、3食キン肉マンのお箸です。そのうちにサンマの季節が到来しました。サンマは一家揃って大好物、頭からしっぽまで丸のまま焼きます。初めのうちは身をほぐして息子に渡していましたが、一匹そのまま息子の前に置きました。もちろん息子の手にはキン肉マンのお箸です。時折、手も使いますから濡れた手ぬぐいを横に置いてありました。サンマの季節も終わる頃、息子は自分一人でサンマを見事に食べれるようになりました。滅多に夕飯を一緒に出来ない主人に息子が外したサンマの骨を残して見せたこともあったほどです。

 箸遣いだけは恥ずかしくない子に育ちました。その息子も今では一人の子供のお父さんです。

 キャラクター付きがどうだとか、プラスチックがどうだとか思っていた私自身が滑稽に思われます。ふとした時にあの黄緑のプラスチックのお箸を思い出します。子供用の小さなお箸です。今の私は、あのお箸に心から感謝しています。


こぶミカンの葉(バイマックルー)とエスニック料理

2015年06月04日 | 料理

晴れ、28度、89%

 いよいよ、ズドンと暑さの中に突入した香港です。朝晩の気温差が少なく、湿度が高いこの土地に住む人は、体を休める間がありません。暑くなると、香港よりもっと南の食べ物が恋しくなります。主人とタイ料理に行ったり、お昼は軽くベトナムのホーの麺を食べに行ったりします。我が家から5分も歩けば、香港のSOHO、一大レストラン街です。高級な天ぷらやから、お鮨、フレンチ、レバノン料理なんだってあります。

 先日、お昼にベトナムのホー麺を食べに行きました。ホーは、お米の粉から作ります。ちょうど日本のひもかわうどんのような平べったい麺です。ウィークデーは行列も出来るセントラルに2軒もお店を持つベトナム料理屋です。私は牛肉のホー、主人は鶏肉のホー。ホーチミンに行った時には、3食このホー麺でいいというほど、どんな小さな店のホー麺も美味しく頂きました。香港、3年ほど前はこのホーが大流行したことがあります。ベトナムのチェーン店が出店したほどです。

 さて、出て来たホー、生のもやしとホラパーと呼ばれる生のタイバジルが添えられています。まずはスープを一口、そして、この生野菜をのせて食べはじめます。ホー麺はスープが決めてです。どこまでも澄んだ牛肉から取ったスープは、少し甘みを感じて、なんと滋養のあるスープかと思わせなくてはなりません。ところがこのスープちょっと甘過ぎます。しかも、透き通っていない。澄んでいないというだけで、何でこの店が流行ってるのかと不思議に思います。主人など唐辛子ではなく胡椒なんぞをもらって、挙げ句にスープを残しました。この私、美味しくないなあと思いながらスープを飲み上げます。確かにおいしいスープではないのに惹かれる何かがあります。飲み上げたお椀の底には、こぶみかんの葉っぱのが数枚残っていました。

 こぶみかん、名前の通りこぶのある小さなみかんです。タイ料理やカンボジア料理で煮込み、サラダ、スープによく使われます。 2枚が縦にくっ付いた面白い形の葉っぱです。ミカンの葉ですからとても硬い葉っぱです。この葉っぱ、揉んでもいい香りがしますが、熱に当たるとそれはそれは透き通る柑橘系の香りがたちます。

 暑くなると私のお昼の定番タイのグリーンカレー、 メイプロイのこのひとパックが私の一夏分のグリーンカレーです。マクアと呼ばれる、 このタイ茄子は、必須。 種の多いこの茄子がココナッツミルクをよく吸って、それはまろやかな味になります。グリーンカレーにも必ずこぶみかんの葉っぱを入れますが、今回わざと入れずに作ってみました。出来上がりを一口、なんとも締まりのない味です。そこで、こぶみかんの葉っぱを入れてもう一煮立ち。このこぶみかんの葉っぱ、熱に会うとすぐに芳香を発します。そこで、一口。ココナッツミルクのまったりををこぶみかんの芳香が、引き締めてくれました。

 香りがいいという理由で、こぶみかんの葉っぱを欠かした事はありませんでした。でも美味しくないホー麺を食べて以来、こぶみかんの葉っぱの効用を深く考えます。私は、辛い料理が好きだとばかり信じてきましたが、こぶみかんの葉っぱ、レモングラス、小さな唐辛子、ココナッツミルク、タイバジル、全てが醸し出す香りを食べていた事にはたと思い当たりました。そういえば、タイ料理で食べたスズキの丸ごとの料理にもこぶみかんの葉っぱがたくさん使われていました。

 日本では生のこぶみかんの葉っぱは手に入り難いようですが、冷凍物でも充分にいい香りが出ます。私も使い残しは冷凍保存です。

 こんな小さな葉っぱに大きな口福をもらっています。


ブイヤベース

2015年04月06日 | 料理

晴れ、23度、90%

 2月だったと思います。主人が日本から、 こんなものを買って来ました。ゆうに8センチはある大きなはまぐりです。主人はグリルにでもして欲しかったのですが、私は大きすぎるけど桃の節句に使おうと思っていました。3月3日には主人は出張でした。で、すっかりはまぐりが家にあることを忘れています。袋を見ると、賞味期限までにはまだ時間がありますが、お鍋にと書かれています。香港、今日は30度まで上がるそうです。お鍋にする気はありません。そこでブイヤベースを作ることにしました。

 昨日はイースターホリデーの3日目、市場に行くとあらあら、お魚屋さんがみんな閉まっています。流石に漁師さんもお休みなのでしょう。仕方ありませんスーパーで揃えられる魚やエビで作ることにしました。

 ブイヤベースというと、なんだかカッコいいのですが、所詮、南仏の漁師さんの料理のはずです。と、鷹を括っています。今では一般にトマトベースの魚のフォンで作られていますが、トマト自体がフランスに入る前はただの水で煮た残り物の魚だったそうです。今回は海老の頭もありません。 でも、こちらは買い置きがありました。サフランです。使う前に白ワインに浸すとかいいますが、ちょっとオーブンで乾燥させてパラパラ入れてもいい香りです。ブイヤベースなんて、人の力ではなくお魚さんたちの力の結集で出来上がる味です。あまりいじくらない方がストレートに美味しいはずです。

 ひと月ほど前に、お外でブイヤベースを頂きました。 ソフトシェルカーブのフライが一番上にのっています。サービングは良かったのですが、肝心のスープにぐっと来るものがありませんでした。中の全ての魚や貝類が作り出す、濃厚なハーモーニーともいいたくなるあのスープのお味です。

 正式には、スープと中の魚介は別々にサーブされ、アイオリーソースというニンニクソースとパンが添えられます。が考えてみれば、だいたい漁師さんの料理に正式も何もないはずです。我が家はお鍋のままテーブルに、当然魚介よりもこのスープがお目当てですから、付け合わせには湯がいただけのスパゲッティ。

 ソースの段階まで作っておけば、あとは食べる10分ほど前に火の通り難い魚から順次入れて行けば出来上がり。特別な魚を使わずとも、あるものを種類多く入れる方が美味しいと思います。ああ、頭付きの魚と頭付きの海老があったらもっとおいしいスープがとれていたはずです。

 モモさんにはエビや貝はあげられません。白身のお魚で満足、満足。


サバの薫製

2015年01月20日 | 料理

晴れ、14度、70%

 自宅で薫製を作り始めたのは、随分昔のことです。薫製用の炉を持っているわけではありません。自宅の台所で、手持ちの鍋で作る薫製です。チキン、魚、貝、チーズに卵。チップだって、桜がとかヒッコリーがとかいいません。家にあるお茶っ葉、ちょっと美味しくない紅茶やウーロン茶を使います。

 この簡単な薫製、確か、アメリカの雑誌「FOOD & WINE 」に載っていたものです。以来、有り合わせのもので、自分なりに工夫を重ねて作ってきた薫製、美味しいです。

 鍋底に紅茶の葉っぱ、砂糖、お米を少しその上に網をおき、薫製したいものをのせ火をつけて燻すだけです。魚もお肉も生のまま使います。薫製は、一つの火の入れ方だと考えます。焼く、煮る、蒸す、揚げる、炒める、燻す。私の中では同じ直線に並んでいる調理法です。

 使う鍋は、燻すものの大きさで決めます。マナガツオ一匹の薫製、これなら中華鍋。チキンレッグ2本ぐらいなら、蒸し器で。家で楽しむ薫製です。簡単に気負わずに作れることが何よりです。

 まだ、息子が中学の頃、お弁当にチキンレッグの薫製を入れました。お弁当箱の蓋をとれば、あの薫製のにおいです。のぞきにきた友人がお弁当箱の中に見たものは黒々としたチキン。薫製などに馴染みのない子に詰られて、お弁当に入れるのは止めました。

 ただ燻した香りのよさを付けるだけではいけません。魚も肉も固くならずジューシーに燻すようになるまでは、燻す時間を考えます。脂が乗っているものを燻すのは最高に美味しくできますが、脂身のない物はマリネする時にオイルを補って燻します。最高の薫製は、身がぷっくりと持ち上がっています。蓋をとって、ぷっくりが見えるとしめたもの。もういいかなあの一息手前で火を止めて、蓋をとらずに待つことをお勧めします。

 家で作る薫製の一番の楽しみは、暖かな薫製が食べられることです。薫製といえば、冷静のオードブルと考えがちですが、家で作ると、ドンと暖かなメインになります。

 簡単簡単と申しましたが、一つだけ、気を付けてください。使ったお鍋は、タールでドロドロになります。紅茶を蒔く鍋底にはアルミ箔をひくことをお勧めします。肉類は燻す時間もかかります。時には台所の天井も、何やら茶色く変色します。さっと直ぐに洗えば、どの汚れも落ちます。

 庭のある日本の家に戻れば、いつかこの薫製用の炉を組もうと考えています。ローストともグリルとも違った薫製、食べ物の持つ旨味にいい香りのおまけ付きです。