私のスマホが鳴る時なんて、
だいたい、かずこだ。
おはようございます。
固定電話の子機を手に、
「これ熱が測れん。壊れた。」
と言うほどに、かずこのアルツハイマーはいよいよ進行してきた。
脇に挟むには、それなりの困難があるだろうに、
電話機を懸命に脇で抱え込もうとする姿は、実に面白い。
そして、深刻だ。
そのくせ、どういうプロセスを辿ってかは知らないが、
私のスマホにだけは、その子機から電話を掛けてくる。
「わし、もう離婚するで役所に連れてってくれんか？」
まただ。
かずこは、また父さんと喧嘩にもならない喧嘩をしていた。
離婚という響きは、小学生の頃から聞き慣れている。
喧嘩も、今に始まったことじゃない。
ただ、そんなことで、わざわざ電話して来るようになったのは、
かずこの認知症が進行してきた頃からだ。
かずこにとって「離婚する」は、ＳＯＳなのだろう。
昔から、きっとそうだ。
かずこには学が無い。
それ以上に、学問に全く関心が無いのだ。
そのおかげで、語彙力が極めて乏しい。
だから、自分を分かってほしい、助けて欲しい、許して欲しい。
そんな気持ちを、まるっとまとめて「離婚する」と表現する。
そのくせ、かずこには誰も知らない言葉を持っている。
それは無二の輝きを持つ言葉だ。
私は、かずこの言葉に、時々ハッとさせられる。
「役所に行きたいの？
あたし、まだ仕事中だから無理だよ。」
電話口で伝えると、かずこは返事もせず電話を切った。
こりゃ相当に荒れてるなぁっと思い、私は職場を早引きして
実家へ向かった。
「おーい、かずこさん？何を怒っとるんや？
コーヒー飲みに行くかい？」
実家へ入るなり声を掛けると、かずこは笑顔で、
「行く！」
と即答した。
これは拍子抜けだったが、ラッキーだった。
かずこを車に乗せ、さっそく喫茶店を目指す。
「あたしさ、今日は仕事サボりたいなぁって思ってたとこなの。」
かずこに吐露すると、かずこは
「お前、仕事って何しとる？
バカみたいに座っとるだけやろ？
バカみたいに、ずーっと座っとらんと、ちゃんと生きなあかん。」
と言った。
たしかに、私は馬鹿面で座っている。
気を付けなければ、職場で無意識に鼻をほじっている。
とはいっても、
「いや、仕事せんと、生きていけんやん？」
仕事をしなければ生きてはいけない。
けれど、かずこは引かない。
「生きるというのは、仕事でどうにかなるもんやない。
生きるというのは、自分を立たせることや。
自分一人で、立っとるということや。
お前はお前で、自分のことは自分で決めなあかん。
自分の思うように立っとらなあかん。
わしはどこでだって、思うように立てるんや！」
かずこは、どこでだって、自分であり続ける。
そう宣言をした。
どこから来るのだ、その自信？
深いのか浅いのか、分かっているようで分かっていないのか、
とにかく、かずこの言葉は時々ハッとさせられる。
かずこにかこつけて、さも大変そうな面持ちで、
「早退します」
と言った時の自分が過る。
「さぁ、次は久々にパチンコ行くか？」
その後、私とかずこは、パチンコ屋でフィーバーするのだった。
おい、おたま！
君の足も、立ってるね。
しかし、その足を立たせている意味は、どこにあるの？
なぜ、その足をあげているの？
足あげなくても、よくない？
おたま「おらの自由だ！」
なるほど・・・深いのか浅いのか？
かずこさまの名言、
朝の電車の中で、ハッとしました。
確かにあたい馬鹿面で座ってる❗️
いいですね。
認知症でも、時々急にスイッチが入って、え？そんなこと言うの？って時ありますよね。
でもそうやって自分が言ったことをすぐ忘れてしまうけれども、夫の母親もそうですが、不思議だなと思います。でもそうやってすぐ忘れてしまうからこそ、その時の苦しみや怒りが長く続かないという利点もあるのかなと思ったこともあります。
会社を早退して、親子で喫茶店とパチンコを楽しんだのですね♬
なんだかちょっといいですね。
そういう時間も。
我が父も読書する姿を見たことがありません。でも発する言葉にユーモアのセンスを感じる事がよくあったの。
目が大きく、ちょっと出っ歯の母に「メーデル ハーデル」って渾名を付けたり、靴や帽子が好きで沢山買ってしまう母に「お前はムカデか！ ヤマタノオロチか！」って嫌味を言っていました😅 他にも色々あるけれど、切りが無いのでこの辺で🤗
しかし、おかっぱちゃんは良い娘だな〜😆⤴️
かあちゃんは、ポンちゃんままさんところのおねえちゃんか、おかっぱちゃんを娘にした〜い！
あっ！ 我が家にもお嫁ちゃんがいました。長男のお嫁ちゃんもとても良い娘です😆⤴️
あ～私、1人で立ってないなと反省しました（恥）
お母様のHelp！を見極められるのは、
おかっぱさんが色んな事を経験してこられた
大人だからですよね。
子供だったら少し、いえ、かなりお辛かったと
思います。
子供の頃って、親が世界じゃないですか。
今だからこその、貴重な愛しい時間なのかな、
と勝手に思いました。
「コーヒー飲みに行くかい？」
「行く！」
って、もう可愛らしくてたまらないですよね^^
おたまちゃん、足攣るぞーーっ！
猫さんてたまにシンクロ！？ってくらい、
ピーンとしてる子いますよね（笑）
カズコさんは、哲学者のような発言をされるよね。
ほんでそれは生きていく上での、何ていうかな
人の道？の確信を突いておる！
勉強には興味がないけど、感覚的な能力は
すこぶるいいっていう、そういう感じ？
その能力は、間違いなくおかっぱさんに
遺伝しているとあたしは思います。
だからカズコさんの気持ちを慮って
あげられるんだわね(^-^ )
ホント、あたしにもそういう能力があったなら
ちっとはマシな娘になれただろうなぁって
思いますデスf(^^;)
どんなことも笑いに変えてしまうおかっぱさん。
あたしもこれからまた、気を引き締めて
老後の自分を立たせるぞ！！
おたまちゃんの今日の足の立たせ方は
授業中のあんま自信がない子の
手の上げ方に似ておる～(*≧艸≦)
今日は直角の気分じゃなかったのね♪
いやいや、solo_pinさんは
馬鹿面で座ってる時間などないってくらいに
ばりばりぱきぱきに働いておられる！
お家でほっとした時、カムイ師匠だけが
solo_pinさんの緩んだお顔が見れるのかもですよね。
あたしゃ、よだれさえ垂らしちゃってます、仕事中（笑）
そうなんですよね、心理を突いてくるんですよね。
認知症って、忘れるだけじゃなく、心のベールを抜くことでも
あるかもしれませんね。
そそ、忘れてくれるっていうのも、実は看る側の
救いにもなりますよね。
うふふふ、仕事中に電話してくると、反射的に
イラっとしちゃう。
でもよく考え見れば、サボれるやん？
母の介護があるのでという理由で、堂々とサボれるやん？（笑）
なんていう、思考の転換もアリですよね。
ここだけの話（うふふ）
かあちゃんのお父上、そんな面白い人だったんですね？！
メーレルハーデル、さすがに笑っちゃいましたが、
でも言われた側のお母様はイラっとされたでしょうね（笑）。
かずこは、いつだって戦っています。
自分の権利と自由のために。
そこが困っちゃうところですが、考えると
間違っていないんだよな～って思わされます。
ロックで、ちょっとカッコよく見えちゃうんです（笑）。
ままんのとこのお姉ちゃん、頼もしいもんね～。
とっても素敵な女性なんですよね。
かあちゃんのお嫁さんも、素晴らしい女性ですもんね。
どうやったら、そうなれるんだろうかね？
あたしは、口と寝相が悪い俗物です（笑）
ひとりで立つって、戦いなのでしょうね。
自分の主張、自由、権利を曲げない。
これは戦いになりますよね。
私も、そんな戦いせず、内心でぐちゃぐちゃ考えちゃってます。
ある意味、かずこは闘魂です（笑）。
子供の頃は、怖かったです。
いつ離婚して、私は捨てられるのだろうかって。
そんな心配も、かずこは「そん時は自分で頑張って生きていけ」と
言ってたしね（笑）。
大人になると、そのニュアンスが分かります。
どんな幼い子供でも、結局一人で生きている。
生きるために選択と決断の連続ですもんね。
今、ほんと、かずことの時間は楽しいです。
困っちゃうんだけどね～楽しい（笑）。
おたま、そこを舐める訳でもなく、
ずーっと、あの格好でした謎です（笑笑）。
ひとりで立つ、分かるようで分からんような言葉ですよね（笑）。
かずこは、まっすぐ過ぎて純度が高すぎて
でも染まれないから、苦しいだろうなって思います。
なんかね、やっぱりキクさんに似てるし、
野良猫に通づるものがあるんですよね。
ぐっちゃぐちゃになって、あちこち傷めて
それでも、自分で立とうとする姿が、
なんかね、美しく見えちゃうんです。
キクや野良猫を見てるみたいな感覚になる。
ままんは、大丈夫だよね。
ままんこそ、自分で立ってる人だもん。
きっとこれからも、自分で立ち続ける人だから。
そしてままんには、それを応援する人が
周りに何人もいるもんね。
共感できるし、私にとっても目標にもなるから。
その点、かずこさんは独特過ぎて、なかなか応援してくれる人が
いないですよね。
共感は出来ないし、目標にはなり得ないけど
私くらい、応援したろかなって思います（笑）。
おたまご自慢のポースですが、あれかな？
おたまも、なんだかんだいい歳になってきたから
柔軟性が低くなっていたかも？（笑）