宇宙人の独り言

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宇宙と「月面上の思索」

2010年11月06日 | 日記
「突然、月の縁の向こうから、一瞬ではあったが、かぎりなく深い壮麗さを湛えた、長く、ゆっくりとした動きがあった。その瞬間が延長していくように感じられた後、ブルーとホワイトのきらめく宝石、繊細で優美な空色の球体がゆっくりと渦を巻く白いレースのヴェールをつけて、漆黒の神秘の深海に小さな真珠のように、静かに昇ってくる姿を現した。これが「地球」だとわかるまでにどれほどかかったろうか――ふるさと。

 帰郷する24万マイルの宇宙空間を航海中、星や、そこから私がやってきた惑星を凝視していたとき、何の前触れもなく、私は宇宙を知力のある、愛しい、心安らぐ存在として経験した。

 私の目に映ったわがふるさとの惑星は、神性の閃きだった。

 私たちは技術者として月へ行った――そして、人道主義者として帰郷した」


 これは、1971年1月にアポロ14号による月ミッションで、月着陸船の操縦士という大任を果たし、人類史上6番目に月面を歩いたエドガー・ミッチェルの言葉です。
 人間が宇宙に飛び出し、五官で地球の神秘的な「美」を感じて、人間の意識に何らかの変容が起こるらしいことが、この言葉からは伝わってきます。
 ミッチェル氏は、宇宙飛行の先駆者の多くが帰還後に、彼らの個性のより繊細な面を隠さずに表明しはじめたことは注目に値する、として次のように述べています。
「数人の宇宙飛行士、特に、ジム・アーウィンとチャーリー・デュークは宗教的使命感に燃え立ち、アラン・ビーンとロシアの宇宙飛行士アレクセイ・レノフはどちらも芸術によって自己表現する道を見つけた。ラスティー・スワイカートは、彼のその後のキャリアの大部分を環境問題の追及に投じ、しばしば私の関心事に触れる事柄について雄弁なスピーチをしている。アル・ウォーデン(司令船のパイロット)は、詩の本を出版した。ウォーデン以外のこうしたアメリカ人のだれもが月着陸船のパイロットだった・・・・・」
 ミッチェル氏自身も1972年秋、過去二十年やり続けてきたことから身を退き、NASAを去った。そして人間の意識を研究する専業学生になったのです。

 もう少しミッチェル氏の言葉に耳を傾けて見ましょう。
「・・・キティホーク司令船内のスチュー・ローサとわれわれ二人がランデブーしてから秒速数マイルで地球へ向けて突進していたとき、初めて私は無重力状態の中でくつろぎ、漆黒の宇宙空間にわれわれクルーが飛び立ってきたブルーの、宝石のようなホーム・プラネット『地球』を凝視する時間が得られた。私が窓から見たものは、これまで私の知っていたことすべて、私の愛したり憎んだりしたことすべて、憧れたことすべて、ずっとそうだったしこの先もずっとそうだろうと、かつて私が考えていたことすべてだった。すべてがそこに、あの脆い小さな天体上にあって、宇宙(コスモス)の中に浮かんでいた。このとき私は、歓喜をともなう崇高な瞬間的悟りを経験した。それは、テキサス州西部とニューメキシコ州育ちの私にはまったく無縁な専門用語で後日語ることになる出来事だったのである。あの瞬間以来、私の人生は根本的に異なる行路をたどることになった。・・・」

「・・・窓に見える惑星はブルーとホワイトの大気に包まれ、なごやかで魅惑的に見えたが、その下には争いと不和が隠されているという意識が最初に起こった。東南アジアの小さな半島では、透けるような木の葉の天蓋の中で残忍な内戦が戦われていた。それはあの惑星の北半球のもうひとつの国、目に見えない国境で区切られた国の、注目に値する戦争だった。私の弟と彼の空軍の同僚たちが任務遂行のために、その上空を飛行していたことを私は知っていた。その次に、地球を超えた壮大な世界を展望すると、宇宙の本質は、私が教えられてきたようなものではないという認識が起こり、愕然となった。視界の中の天体はそれぞれ切り離されて別個に存在し、相互に独立して動いているものと見なしていた私の理解は、木っ端微塵に砕かれた。いきわたった調和感――宇宙船を取り囲む天体が相互に結びついているという新しい洞察が湧き上がってきた。星の進化についての特殊な科学的事実が、新しい意味を帯びてきた。(中略)
 だが、私は不意に気づいたのだ。・・・人間は進化しつづける過程の一部であり、それは古典科学と宗教伝統が記述し得た正当性の枠を超える、より高大な知へ向かう過程である。私は、これまで私が理解していたよりももっと大きい自然過程の一部だった――二十四万マイルかなたの何もない漆黒の宇宙空間を地球へ向けて突進していた司令船の中の私の周りや、四方いたるところにあった自然過程の一部であった。
 この新しい感覚はとらえにくく、その完全な意味は何となく曖昧だった。しかし、その無言の威厳が私を徹底的に揺さぶった。ここには強力な何か、一個の生命の行路を変え得る何かがあった。・・・」
(参考:エドガー・ミッチェル著「月面上の思索」めるくまーる刊)

月面上の思索
前田 樹子
めるくまーる
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