たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

汗だく越後の荒沢岳

2008年07月21日 | 新潟県の山
◎2008年7月20(日)─1人

 越後三山で行ったことのない中ノ岳と荒沢岳を天秤にかけた。本当は中ノ岳に行きたかったのだが、山もいよいよ人が多くなる時期。少なさでは荒沢岳であろう。また、この暑さの中では歩行時間が少ない方がいい。少なさだけで荒沢岳に決めた。本当はさらに、選択肢に未丈が岳が加わったが、二山ともに方向は同じだから、それは現地で決めることにした。「ルーキーズ」を見終わってから出発。今夜は車で寝る。9時過ぎに家を出て、奥只見シルバーラインの入口にある駐車場に着いたのが11時30分。越後駒ヶ岳に行った時、夜中に枝折峠に車を駐めて寝ようとしたが、他に車が1台もなく、さらに月も星もない暗黒の世界。一人で寝ているのが心細くなって、明かりのある銀山平まで下りて行って寝たことがある。今夜もここから先には行かず、駐車場で寝ることにした。この駐車場、過去にも1回使用したことがある。トイレがあって便利だ。冷えた缶ビールを外で飲んで寝る。月が満月に近い。その明るさゆえか、星はよく見えない。

 4時15分に目覚ましをかけていたが、結局、一睡も出来なかった。酒の酔いが醒めただけ。以前は、駐車場のランプがなかったのに、今は煌々としていて、気になって仕方がなかった。何度も寝返りをしたが、隅っこのエリアまでも光は届いて来る。何度かうつらうつらしたものの、他の1台でクラクションが頻繁に鳴り続け、その度に起こされる。余程、寝造が悪いのか、狭い空間で別のことをやっていたのか。トイレを済ませ、奥只見湖に向かう。もう、荒沢岳に行く気になっていた。とりあえず未丈が岳の入口だけでも確認しようとしたが、分からなかった。トンネル内に表示があるというネット情報もあったが、表示なんか見つけられなかった。いつの間にか通り過ぎていた。帰りに地図をみながら再確認したら、「泣沢避難口」のことのようだ。ここなら分かった。トンネル内は17℃だった。

 荒沢岳の駐車場には、自分のを入れて4台の車があった。すべて空っぽ。もう出て行ったのだろう。5時10分出発。昭文社地図では往復7時間35分、ヤマケイアルペンガイドには、標高差1,210m、7時間とある。そして、入口に掲示してある「荒沢岳概況図」記載のタイムを合計すると7時間10分。いずれにせよ、7時間は歩かないといけないようだ。昨日の関東のように暑くならなければいいのだが。しかし、それは期待薄。登山者カードに記入して、駐車場裏手から入る。5時10分。3分ほど歩いたら、いきなり急登が始まった。睡眠時間0の身体には応える。全体にガスがかかっていて、湖面から立ち込めるガスがそのまま山を覆っているようだ。無風。5時43分前山着。三等三角点の標識がある。全身から汗が噴き出している。汗拭きタオルからは汗がもうしぼれる状態になってしまった。まだほんのさわりの部分。先が思いやられる。バナナを1本食べる。ここから、前の取りつきまで、だらだらとした軽いアップダウンが続く。ずっと、ブナ林が続いている。右手に駒ヶ岳が見え出した。山肌に雪渓。こちらは雲がありながらも視界は広がっている。左を見ればうっすらとガスで視界が悪い。奥只見湖も一面蒸気が立ち込めている。山も見えない。正面に前が見え出した。ここを登るのか、鎖場のようだが、見ただけでうんざりだ。その先の遠くに、荒沢岳がようやく見え出した。

 6時43分、前山からちょうど1時間で前の基部に到着。ややペースダウン気味。相変わらず汗は引かないが、ここまで来て、ようやく風通しがよくなった。「これより岩場注意」の表示。こういうの嫌いなんだよな。鎖場、ハシゴ、トラロープと、何でもありが続いている。ハシゴから下を見るとほぼ垂直。上り時よりも下り時が気を遣いそう。前の肩に到着。しばらく休む。まさか、ここから、花札の松のような峰を渡るんじゃあるまいなと危惧したけど、その点は大丈夫。一旦、下ってトラバース。そこからまた前の反対側の基部に出るようになっている。かなり前方に動く気配。よく見ると、1人、トラバースを終えて、登りについている。接近するのも何だから、しばらくタバコ1本分の休憩。視界から消えたところで下降する。足場がかなり悪い。グシャグシャ。岩は滑る。下は谷。上りにかかる。延々と鎖場が続く。軍手は持っていたが、出すのが面倒で、手の平は茶色になってしまった。鎖がよく錆びついている。こうやって、何人もの手によって、秋口にはきれいな黒に戻るのか。下の展望がきくから、正直、怖い。上だけ見るようにする。何とかこの難所を登りきる。休みたかったが、さっきの人、ジイサンがオニギリを食べている。「ここ、下りが大変ですね」と声をかけたら、「うん、そうですね」とそれっきりの返事。愛相なし。先まで行くと、「前」の表示があった。7時32分。少し休憩。

 荒沢岳に続く尾根がはっきり見え出す。まだまだ結構あるわ。ここから標高差400m。ようやく燧ヶ岳が見えてきたが、ぼんやりしている。駒ヶ岳方面はまだ青空が広がっている。ここからは笹に覆われた道が続く。土は湿っていて、靴が泥んこになってしまった。また汗だく。50歩歩いては休む繰り返し。さっきまでついて来ていたジイサンの姿は見えなくなった。この先はもうだれも歩いていないだろう。上までの尾根の展望はいいのだが、動いているものが見えない。暑くなってきた。無性にアイスクリームを食べたい。今夜の夕食は、泡のない冷たいビールと、冷えたスイカと桃だけでいい。

 笹が消えて岩場になる。山頂まであとわずか。黄色い花があちこちに咲いている。お花畑の風情。いみじくも木に指摘されたように、山野草を愛でる習慣はないが、一応、写真に収める。後で調べたら(といっても、K女にメールして調べてもらったのが正解だが。K女も植物に詳しい知人に回したみたい。K女もオレと同レベルか)、ニッコウキスゲだった。この程度は常識だろう。だが、その植物への知識の常識が、オレには絶望的に欠けている。ニッコウキスゲすら、調べた上でないと記せない。ようやく山頂。「よっこらしょっ」と声をかけて山頂に着いたと同時に、向こう側に1人いたのに気づいた。みっともない掛け声を出して到着してしまった。8時55分。出だしから3時間45分。もう全身から汗が滴り落ちている。ザックを放り出す。すごい爽快感。西側の展望は開け、中ノ岳は見えないものの、そこに続く綾線がはっきりと見える。ここからも薄い縦走路が続いている。ところどころに雪渓が見える。駒ヶ岳は半分、雲で消えてしまった。残念ながら、北、東、南はガスではっきり見えず、平ヶ岳や燧ヶ岳はシルエットのまま。最も溜息ものは、未丈が岳が全く見えないこと。先に着いていたオニイサンが「お先に」と下って行く。トンボと蜂が多い山頂である。風が涼しい。オニギリを食べ、水をガブ飲み。気持ちよくて、20分もいてしまった。

 だんだん、下から雲が湧いてきた。雨の心配はないのだが、景色が見えないのでは、長居していても仕方ない。9時16分、下山開始。同時に、同年代のオッサンが登ってきた。同じ道の往復なのに、下りは歩きづらい。木の根が張り出していて、それが笹で見えず、疲れた足に頻繁につまずく。そして泥道。何人かと行き交う。単独が先行している。下って20分もしたら、山頂も見えなくなってしまった。「山頂の展望はいいですかね?」と聞かれたが、「私がいた時は良かったですけどねぇ」と答えるしかない。案に「お気の毒」とにと言いたくなってしまう。ようやくさっきのジイサンに出会う。今まで何をしていたの?と聞きたくなってしまった。相当に疲労した顔。その後、駐車場までの間で17人くらいと人と行き違った。中には、5人グループが登山道を塞いで食事しているのがいたけど、ああいうのは困りもの。別に、そこで食べなくとも、広いところだってあるはず。余程、食事が緊急的なものだったのだろう。こんな山では見かけたくない光景。

 10時5分、前表示。下りが心配だったが、ガスのせいで助かった。晴れ渡っていたら、足もすくんだろう。ハシゴ場で2人とすれ違ったが、いずれも、下るのを待っていてくれた。ここで、太腿にいつもの鈍い痛みが走った。やばい。しばらく突っ立ったままで、痛みが治まるのを待った。何とかごまかせそうだ。「これより岩場注意」の前基部に着いたのは10時44分。ほっとした。大休止。風がまったくなくなっている。ぬるっとした暑さ。今回持参した水は1l。ほぼ300ml残っている。ここで半分飲んで、前山ですべて空けてしまう計算。登山口には水場があった。そこで、頭から水をかぶろう。

 前山までが長い。ちょっとした上りにひるんでしまう。もう11時を過ぎているというのに、山頂に向かっている人が4人。往復出来るのだろうか。帰りは5時過ぎになるんじゃないの?極めつけは、ぐったりとして草地に寝転がっているジイサン1人。無理しないで帰った方がいいよ。

 11時30分、前山。陽が出ていないのに、明るくて蒸している。残りの水を飲みほす。登山口まではやはり急だった。これじゃ、上りもきつくて当たり前。つい、気が緩んだか、前のめりに転んでしまった。登山口の少し手前、蛇口のついた水場がある。ここで、清水を飲みまくる。まさに甘露、甘露。顔を洗い、頭から水をかぶりたかったが、この水はかなり冷たく、10秒も水に手をつけていられない。頭に負担がかかりそうなのでやめた。

 11時55分、登山口着。正味6時間半の歩きだった。登山カードを回収し、車のドアを開ける。すごい熱気。しばらくドアを全部開けておく。車は8台。出る時に見かけた車が2台そのままになっている。1台はジイサンのだとして、もう1台は中ノ岳への大縦走中なのだろうか。汗でグッショリと重くなったシャツのままでシートに腰掛けもできない。上半身の着替えだけは済ます。車で2分くらいのところにキャンプ場があり、そこに「かもしかの湯」という温泉があるようだ。登山口に広告が出ていた。行ってみる。500円。湯ぶねはさほど広くはないが、だれも入っていないので、ゆっくりと汗を流した。痛みかけた太腿を丹念にマッサージ。気持ち良かった。

 アイスクリームを食べたかったが、とりあえずアクエリアスを飲んだら、アイスは食べたくなくなった。むしろ、ラーメンを喰いたい。そのまま、小出インターから入らず、しばらく六日町方面に17号を進む。どさん子の看板のあるラーメン屋。奮発して800円のミソチャーシューを頼んだ。散々待たされて、食べたらまずい。ミソそのものが薄い。それでいて客の出入りは多い。損した感じになったが、食欲はあるから全部食べた。コーンを残しただけ。あのラーメン屋には、もう行くことはない。こういう一見の客相手の店かもしれない。最近、見かけなくなったどさん子看板。つい入りたくなってしまうものだ。関越で群馬に入り、沼田あたりから、気温も33℃になってしまった。

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3 コメント

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きつそう!! (K女)
2008-07-21 14:27:55
送れて来た写メでニッコウキスゲと思ったけど、それなら分かるだろうと思い直し友達に聞いてみたのだけど。ひょっとしたら、特別な植物かなと期待していたのですが・・
山で雲の無いときを狙うのが、つくづく難しいですね。でも、このルートは絶対に行けないなと読んでいて自分なりに分かった感じがしました。こちらまで、腿が痛くなってきそう。暑いけど、山頂の爽快さや、降りて来てからの冷たい水がうらやましいくらい、気持ち良さそう!
めずらしく、食べ物が登山途中に浮かんでいたみたい、身体が欲している証拠らしいですよ、帰って来てから欲求は満たせましたか。
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とんでもない (mailaddress-1234)
2008-07-21 19:05:52
家に帰ったら、犬の散歩が待ち構えていた。さらに汗をかいた。晩ご飯はカレーだったけど、ニンジンの在庫が切れたとかで買出しに行ったりして、中々、出来てこない。そうしているうちに睡魔に襲われ、9時前に寝てしまいましたよ。満たした欲求は製氷室に入れて冷やしたビールと冷たいメロンだけでした。
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Heart Earth (Yossy)
2008-07-22 23:58:28
こんな時でも山に登っているのかと、見てみたら、行っていますね、さすが!!お仲間も出来て忙しそう。一人の時は、またまた腰が砕けそうな所へ挑戦中ですか。
写真を見ていると、あの尾根を歩いて行けそうに感じるのですが、あそこを歩いたの?実際はアップダウンがあるのでしょうが、素人はそのまま行けそうに思ってしまいます。
この暑さ、山にテントを張って1週間位過ごしたくなりますね。
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