たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

ロウバイ満開の羽黒山。

2024年01月26日 | 近所じゃない栃木県の山
◎2024年1月24日(水)

 ネットを眺めていたら、宇都宮の羽黒山のロウバイが見頃とあった。例年は2月上旬かららしく、これは暖冬の影響だろう。すでに多本爪アイゼン、ピッケル、ワカンの歩きからは遠ざかり、スノーシュー遊びすら興味もなくなっている。ただ、今季は雪の中をまだ歩いていず、近場の赤城山にでもチェーンスパイクか長靴で行くつもりでいたが、楽しめるほどの積雪量ではないようだ。そんなところでロウバイ見頃の話題だ。花は不詳ながらも、ロウバイと福寿草だけは春の芽生え(息吹きではない)を感じて好きだから、毎年のようにどこかに見に行く。赤城山と羽黒山、天秤にかけたらロウバイの羽黒山になった。わざわざ、着雪して凍結しているかもしれない道路をビクビクしながら運転して行くまでもない。しかし、一月にロウバイ見物というのも、過去には宝登山くらいのもの。これでは、福寿草も今年は早かろう。
 そもそも羽黒山なる山は知らなかった。行ったこともない。この山、調べると、栃木百名山の一つらしく、旧上河内町エリアにあるようだ。山頂の羽黒山神社には車でも行けるレベルの山だ。それをやったのでは山歩きではなくなる。<羽黒山本道>というのがあるようなので、そこを歩くことにする。つまりは参道だろう。ただ、ピストン歩きでは芸がない。コースから外れた<だいだら坊の岩>なる名勝も見ておきたい。となると、別コースのユッピーの森公園に下ってしまい、戻るのに車道歩きが長くなる。これは避けたい。地図を確認すると、コースそのものはないが、公園に下る途中にある331m標高点あたりから適当に東に下れば本道入口に下れそうだ。等高線そのものが緩くなっている。今回のルートはこれでいこう。

(鳥居の脇に「羽黒山本堂」の標石があった)


(参道を行く)


(丁目石が置かれている)


(二の鳥居?)


 車道に面して鳥居があり、その脇が駐車場。駐車場のキャパは狭く、せいぜい12台ほどのものだ。半分以上は埋まっていた。ほとんどがロウバイ目当てだろう。厚着をしてきたが、風もなく晴れているので、フリースは脱いで、シャツにアノラックだけにした。10時10分歩き出し。広く、緩やかな参道が延びている。自分の足にはやさしい。もう下って来る方5人ほどと行き会った。
 参道には丁目石が続く。これは新しく設置のものか古さを感じない。その間隔は、実際はそれ以上だがほぼ百メートルと考えていいだろう。この時点で神社は十丁目とばかりに思っていたが、神社下には十三丁があったから、神社までの距離はせいぜい1.5kmほどのものかと思う(入口案内板には1.6kmとあったが)。

(朝水舎)


 三丁の鳥居を過ぎて四丁。ここから参道の傾斜が急になった。ついストックを出した。石畳というほどのものではないが、参道には石が敷かれている。これには要注意だ。安心して歩くと、つい滑ってしまいそうだ。
 <朝水舎>通過。解説板を読むと、ここは修験者が辿った道のようで、江戸時代の絵図にも出ているとある。修験者はここで水を一杯飲んだようだが、水場らしきものはない。まだ、歩き出してから20分ほどのもの。四丁からの登りが応え、後ろを振り返って、だれもいないのを確認して、立ち休みをして息を整えた。息切れがタバコに因るものであることはわかりきっている。起きてから駐車場に着くまでにすでに7本は吸っていた。運転距離が長ければ、自然にそうなる。どうにかしなきゃならないことは、喫煙者当人が一番よく知っている。意思が弱くてできないだけのこと。息切れだけで済ませればいいが、体全体によろしくないこともわかっている。

(だいだら坊の岩分岐。手前から登って来ている)


(「夫婦杉」とある。さほど珍しくはない)


(車道を挟んでカラッソ坂)


(階段と急坂道)


 七丁を過ぎてから、ユッピーの森公園からの道が左から来て合流。そちら方面には「だいだら坊の岩」の手書き標識があった。帰りはここを下る予定だ。岩は、ユッピーコースから少し外れたところにある。間もなく参道入口と山頂の中間点。それぞれに0.8kmとある。
 十丁を過ぎたら、ようやく平坦になった。前方に三人のオバちゃんらしき姿が見えた。十一丁を過ぎて車道が横切る。おそらく、神社に続く車道だろう。その先に急な階段が続いている。オバちゃんたちに追いつく。ここの坂は、右が露岩窪地の坂になっていて、右にロープ。左が階段コース。オバちゃんたちは坂を登ろうとしていたので、オレは階段を選択。オバちゃんに声をかけられた。「そっちが楽ですか?」。「歩幅に合わないところもありますね」と答えたが、帰路は坂を下ってみると、上りは坂で、下りが階段の方が歩きやすいかもしれない。ここは<カラッソ坂>といって、階段は174段と解説板にあった。急なわりにはさしてきつくは感じなかった。

(視界が開ける)


(神社方面に)


 階段を登り上げると、電波塔がいくつか見え、左・西側の展望がいきなり開ける。神社はまだ先。あとは平らなようだから、ゆっくり景色を見ながら神社に向かう。視界の山々で知っている山は筑波山くらいのものだ。茶店が一軒あった。札はないが営業しているようだ。

(ロウバイエリアにやって来た。遠くに筑波山が見えている)


(小さな粒はこれからの開花だろうが、アバウトに表現すれば満開ともいえようか)


(決して広くはない。ゆったりはできるが、電線がどうも…)


(アップで。大方はボケてしまった)


(賑やか)


(花が落ちてしまったのもあった)


(駆け回っている女の子を入れて)


(改めて筑波山)


(こんなポスターがあった)


 ロウバイが見えた。これを目的に来たのだから、先の神社は後回し。ロウバイが咲いているエリアはさほどに広いわけではなく、ロウバイ園というほどのものではないが、うろつき回って見る分には結構、楽しめる。ぐるりと一周した。数日前のヤマップ記事には二分咲きと表現したものもあったが、自分にはほぼ満開に近く、これからであろう小さな粒がいくつか点在して固まっている。周囲には甘い香りが漂っている。「2月3日ろうばいまつり」のポスターを見かけた。その頃では咲きのピークは過ぎているのではあるまいか。小さな娘を連れて見物に来ているママがいた。ママは一眼レフで熱心に写真を撮り、娘は一人であちこちを駆け回っている。ヒマそうなご老体もベンチに腰かけて休んでいる。のどかな光景だ。土日の混み具合ではこうもいくまい。
 撮影に夢中になっていた。コンデジのアップ設定で花に近づいて撮ってみたりしたが、ほぼ全滅だった。役立たずの接写切り換えボタン。一眼レフにはかなわない。そろそろ神社に行くか。ロウバイはまた帰りに寄ろう。

(羽黒山神社へ)


(階段を登って)


(由緒ありげな神社)


(カラフルな梵天飾り)


 神社の階段を上がって羽黒山神社。この神社、宇都宮氏と関係があるらしい。宇都宮氏の末路は悲惨で改易処分。子孫は細々と水戸藩に仕えたらしい。本殿の隣には梵天飾りが立ち並んでいる。羽黒山神社といったら、すぐに山形のそれを思ってしまうが、ここもまた関連はあるようだ。お参りをして山頂を探す。神社の裏手かなと思ったが、裏手には上がれそうもない。ここが山頂ではないのだろうか。

(次は密嶽神社へ)


(下って展望地)


(冨士見の穴)


(穴から撮ったわけではない。ここの真ん中に富士山が見えるらしい)


(日光連山方面はこれだ。見るからに寒そう)


(ぼんやりだが、右手に都心方面のビル群が見える)←ブログ用にアップしたら、まったく見えていない。


 この先に密嶽神社というのがあるのは事前調べをしていた。行ってみよう。車が通れるような道を下ると展望地。ここには柱に穴を開けて覗かせる<富士見の穴>があった。残念ながら、看板写真のような大きく美麗な富士山は見えない。右側を見れば、日光連山は雲にすっぽり。晴天なら、ここからは迫って見えるらしい。残念。そして、左に目を向ければ、かすかに都心の高層ビル群が見えている。

(展望地の少し先に羽黒山の山頂標識)


(三角点。埋め込んだ意図はわかる。ここは車が通る)


 密嶽神社に向かう途中に羽黒山の山名標識と三角点があった。ピークらしくない、感慨を抱けないような山頂だ。羽黒山神社よりも標高は低い。一応、これで栃木百名山のカウントは一つ追加の82山。残りの大方は県北だし、元より制覇するつもりはない。日本百と群馬百を済ませただけでも十分だ。むしろ、埼玉百名山というのがあるようだし、リストを見れば、こちらの方が百に近いかもしれない。だったら、けじめとするなら、埼玉百にしておきたいが、だれが決めたかもわからぬ百名山を追いかけてもねぇ。

(密嶽神社)


(中を覗いて本殿)


 密嶽神社は神社風の囲いの中にあった。中を覗くと、小さなお宮があった。あれが本殿か。解説版を読まないと、由緒も何もわからない。神社から離れた正面左側に踏み跡があったので入ってみたが、道は途中でヤブになり、あらぬ方向に向かっていた。ロウバイへのショートカットかと思ったが甘かった。引き返す。

(羽黒山神社の下に戻った)


(まっ、これが目的で来たんだし。下は駐車場)


(粒を見ると、正確には七分咲きといったところだろうか)


(青空だったらと惜しむ)


(狭いエリアだから、同じ写真が並んでしまう)


(ベンチに座って甘い香りを楽しむ)


(ラストにしよう)


 羽黒山神社はパスし、舗装道を歩いて再びロウバイ見物。あの親子のママさんはまだ写真を撮っている。一通り回ってベンチに腰かける。これで目的は終わった。ほぼ満足。静かなロウバイを楽しめた。これがロウバイ園となると、いくら見事でも人出が賑やかだろう。趣味ではない。まして無料なわけがない。さて下るか。

(だいだら坊の岩分岐。左下に参道が続く。こうして見ると、やはり本道は急かもしれない)


(左手はユッピーコース。だいだら坊の岩は右に下る)


(こんな祀られた岩があって)


(下ると大ぶりの岩。これがだいだら坊の岩のようだ)


(見上げて)


(ということだ)


 予定通りに、参道分岐をだいだら坊の岩方面に向かう。だが、下りではなく登りだった。てっきり、下りと思っていた。登りとはいってもたかがしれたもので、だいだら坊の岩はユッピーの森へのコースから分岐しての下りで、また戻る必要がある。地図を確認すると、確かに、参道分岐からは10m程度のものだが登り。331m標高点方面も下って少し登り返しになっている。だったら、わざわざ331mまで行かずとも、参道に戻った方が楽だ。
 ユッピーコース分岐からだいだら坊の岩に下る。ほどなく、岩があって注連縄と石祠を目にした。これがその岩かと思ったが、ネットで見た岩よりもかなり小ぶりだ。これではなさそうだ。さらに下を見ると、ロープが続いている。大きな岩が見え、ここにも注連縄。それがだいだら坊の岩だった。岩の伝説が記された看板が置かれていたが、見る限りはただの大岩で、特に何かがあるとか、特異な岩というわけでもない。羽黒山の名勝の一部だし、損した気分にはならなかったが、羽黒山にまた来ることがあったとしても、わざわざ寄り道することはあるまい。

(ユッピー分岐に戻る。「カラッソ坂」のカラッソは「煩悩から離れて空っぽになる」という意味合いであることは看板で知ったが、この「ユッピー」とは何だろう。ただのゆるキャラか?)


 小ぶり岩に戻ると、単独ネエちゃんが写真撮りをしていた。その場は挨拶をしただけ。ユッピーコース分岐まで登っていると、人の気配を感じ、振り返ると真後ろにそのネエちゃんがいた。だいだら坊の岩の先は車道に出る踏み跡しかなかった。参道分岐からはだれにも会っていない。変だなと思い、「何とか岩は見ました?」と聞くと、やはり。小ぶり岩をだいだら坊の岩と勘違いしたらしい。「行きましたよ」と言う。「何とか岩は、あの下ですよ。ロープがあるから、それ伝いに下るとありますよ」と教えると、納得しながらも、時計を見ながら時間があまりないとか言うので、すぐ下ですよと答えると、改めて下って行った。ここで何とも情けない話だが、「だいだら坊」を思い出せず、会話では「何とか岩」で通したこと。それほど印象が薄かったわけでもあるが、さっきまで見ていた岩だ。ボケが出てしまった。

(参道を下る)


(あっさりと帰着)


(駐車場のスペースはこんなものだ)


 参道に出て下る。注意して歩いたのにやはり滑って転びそうになった。これから登る何人かと出会った。満開のロウバイを楽しんできてくださいな。
 駐車場到着12時20分。出発からわずか2時間10分。それも大方はロウバイ見物に時間を費やしている。ハイキングレベルにもならない。こういうのもアリでいいだろうと思いながらも、実際はこんな楽な歩きにばかりなりつつある。今日は一足先に春を楽しんだから、それはそれで〇だろう。

 行きは高速を使ったので、帰りは下道にした。倍の時間を要した。途中、鹿沼のラーメン屋に寄る。当店おススメマークのついたネギ味噌を注文。本当はチャーシューメンにしたかったが、マークがなかった。そのネギ味噌、決して満足という味ではなかった。口の中にしばらく油が残ったし、ネギが新鮮ではなかった。あれで900円は高いなと思ったが、1000円超えのラーメンも当たり前になりつつある現実では、しっくりはしないが、普通の値段なのかもしれない。だからといって、群馬県の最低賃金935円を考えれば、気分的な後味の悪さも残ってしまうのは致し方ない。つい、帰りがけのラーメンの一杯にぼやいてしまった。

(今回の歩き)

この地図は電子地形図25000(国土地理院)を加工して使用しています(令和元年手続改正により申請適用外)

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2 コメント

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Unknown (みー猫)
2024-01-26 22:54:03
ご無沙汰です。
8月10日ごろに、レンゲショウマを見に行きましたが、なんとか岩は見てないです。ユッピーも気になるので思いだしたら行って見ることにしましょう(笑)ところでランキングに4位の象山があったので、改めて拝見しまして・・・10年前、楽しかったなぁとしみじみ思い出しました♪
みー猫さん (たそがれオヤジ)
2024-01-27 08:22:45
みー猫さん、おはようございます。
8月のレンゲショウマ? あの山、ロウバイだけじゃなかったのですか。この時季以外に行ってもつまらない山とばかりに思っていました。認識を改めます。栃木県の方にはちょっと失礼だったようです。
何とか岩は、本当に、ありふれた岩で、名前があるから見に行っただけのことです。わざわざ見に行くほどのものではないでしょう。あんな伝説は、ダイダラボッチの二番煎じであちこちに転がっているし、後でもっともらしく創作しただけのことですよ。ユッピーにしても、ただの公園のようです。思い出さない方が無難ですね。
象山は4位ですか。上位にあっても、せいぜい閲覧は数人でしょう。足尾の山も、孤高のブナに飽き足らず、最近になってマニアックな歩きをし出した方もいるようで、小法師のマニアックルートについて聞いてきた方がいましたよ。それにしても、象山に興味を持ち始めた方がいるとは、ちょっと予想外なことです。
今日は赤城に行くつもりでいましたが、犬の散歩に出たら、昨日ほどではないにしても冷たい風が流れていました。てんくらを見ても赤城は強風のようでやめました。赤城も、この寒波で積雪が多いかなと思っていましたが、あまり、雪は降らなかったようですね。

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