カップ&ボールのカップ中心にいろいろ紹介

自分の持っているマジックの道具をカップを中心に紹介。

Gumball Machine by Joe Givan

2023-12-06 21:35:00 | カップ&ボール以外

珍しくカップ&ボール以外の商品紹介です。数回演じていますが、レパートリというほどではありませんので、【My Repertoire】とはしませんでした(;^ω^)

 今回紹介させていただくのは...「ガムボール・マシン」です!!

 サインされたカードが財布から出現するとか、レモンの中から出現するなど、不可能な場所から出現するというマジックは数多くあると思います。指輪に関しても、キーケース(キーホルダー)から出現したり、マジシャンのネックレスにぶら下がってたりなどいろいろあります。このガムボールマシンもその1種です。基本的な現象は観客から指輪を借りますが、その指輪が消えてしまいます。マジシャンはガチャガチャを示し、「代わりにこのガチャガチャの指輪を差し上げます」とコインを観客に渡します。観客がガチャを回すとなんと観客の指輪が出てきます。

 この演出の良いところは、やはり「ガチャガチャ」特有の「わくわく感」があるということではないでしょうか。誰もが小さいときに体験した、何が出るんだろう?(もしくは、あれが出て欲しい!)といった思いを込めてコインを入れ、「ガチャ」というあの特有の音と共に出てくるカプセル…急いでそれを開けて喜びまたは悲しむ…。回すだけで楽しく、また、出てくるときのドキドキ、その体験がマジックにおける出現現象を最大限に「観客が楽しめる」演出にしているのではないかと思います。

 さらに、「指輪が消えてしまったので、代わりにこのガチャの指輪を差し上げます」と安っぽい指輪がたくさん入ったガチャを出すというストーリー(演出)も個人的には好きです。ただ、なぜわざわざ消した指輪をそこから出すのか?というところは演出によってはややつながりが悪いかもしれません。消えてしまったので、申し訳なく、代わりに…という方がつながりが良いかもしれません。

 このマジックをどのくらいの方がご存じなのか分かりませんが(若い方は知らないのかな?)、私にとっては憧れのマジックの一つでした。20年前くらいのマジックブームの際に前田知洋さんもテレビで実演されてましたし、確か何故かタモリさんもこのマジックをテレビでされてました(笑)。当時、コレクターズワークショップがこの商品を販売しており、日本ではUGMさんで正規にそれを取り扱われていたのですが、まあ、高い!我々趣味でマジックを楽しむだけのサラリーマンにはなかなか手がでない価格でした(;^ω^)

ちなみにJPMAGICさんの「Hey presto!」でも、2016年の記事でガチャマジックが取り上げられており、上記商品の実際のカタログやJPMAGICさんのオリジナルマジックなど非常に面白い内容になっておりますので、紹介させて頂きます。

ガチャガチャマジック

今回はガチャガチャ(ガチャポン)の話、でも今まで紹介したような景品の話でなく、マシン本体の方です。先月も書いた気がしますが、このガチャガチャって立派な日本文化で...

 

 私は、90年代後半に、マジックを始めたのですが、あまり情報を持っておらず、このマジックのオリジナルは知りませんでした。そのような中、テレビやマジックショップで扱ってるこの商品をいいなぁ~と思っていました。そのような中、麦谷さんの「クラシック・マジック入門事典」を手にします。2005年ごろです。

クラシック・マジック入門事典 - 株式会社 東京堂出版 限りなく広がる知識の世界 ―創業133年―

原案が発表されてから50年以上も経つクラシックなマジックの中から優れた作品を厳選し,本来の原案を紹介しつつ,基本的なエ… 麦谷 眞里 著

 

この中に「ガムボールマシン」の章があり、ガムボールマシンの歴史や麦谷さんの自作ガムボールマシンを使った手順の解説などがされているではありませんか!そこでこのマジックの歴史などを知りました。

 このガムボールマシンを使ったマジックのオリジナルはJoe Givan氏で、氏はこのガムボールマシンを使った演技で1988年、オランダのハーグ(デン・ハーグ)で開催されたFISMのクロースアップ部門で1位を受賞しています。ちなみにこのFISMはナポレオンさんがグランドイリュージョン部門第3位を受賞された年ですね。なお、Joe Givan氏はその前の年のIBM大会でもガムボールの演技でゴールド・カップを受賞しています。

 本の中で麦谷さんは実演を見たことがないと書かれていますが、今は良い時代ですね(笑)The Best of Magicというテレビ番組での演技がありましたので示します。解説書にあるFISMアクトとは少し異なりますが、流れ的には同じ感じです。


 詳しくは、「クラシック・マジック入門事典」を読んで頂ければと思いますが、このガムボールマシンに関してはいろいろあったようです。Joe Givan氏の許可なく、コレクターズワークショップが商品を出したので、Joe Givan氏が怒り、コレクターズワークショップからの販売を止めると共に、1995年にオリジナル商品として、自身がプロデュースしたガムボールマシンを200台限定で発売しました。恐らく彼がFISMで使ったものを同じものだと思われます。その200台には裏にシリアル番号が書かれています。また、氏の署名入り証明書も付いていたようですが、私が入手したセットには、証明書は付いていませんでした(T_T)。解説冊子には上記歴史的経緯やFISMアクトの解説などが書かれています。






クロースアップでの演技用なので少し小さめのガムボールマシンです。透明な部分はガラスのようで、大きさの割に少し重たいですし、もし落としたら割れてしまいそうです(;^ω^)。セットできるカプセルは1つでコインは25セントを想定していると思いますが、100円玉でもできます。ガチャは完全に回せず、90度くらい回したところで、それ以上回さないようにと注意書きされており、コインもそれを逆方向に回して取り出すという使い方です。FSIMアクトでは、最後マシン自体を消しますが、もちろんそれができるような作りになっています。レトロな感じのデザインで個人的には好きな形です。恐らくですが現在でも日本のお店で販売されているフォード製の9インチのガムボールマシンを改造して作ったのだと思います。

 実は、私はこのオリジナルのガムボールマシンを最近入手しました。その前から持っていたのが次に紹介するJoe Givan氏の2代目ガムボールマシンです。これは麦谷さんの上記本が出た後の2008年ごろ販売されました。当時の広告画像です。


この広告より、Joe Givan氏が最も強調しているのは他社の高いマシンとは違うぞ!というところに見えますね(;^ω^)。「IMPROVED」というところも強調されつつ、商品名としては「Ring in Gumball Machine」という事ですね。私はHank Leeで購入しました。この商品は先のような限定発売ではありませんが、あまり多くは出回ってなったのかもしれません。一部のお店で少量扱われていたのではないでしょうか。Magic Cafe で良いコメントが書き込まれています。

The Magic Cafe Forums - Joe Givan's Ring in Gumball

この2代目はJoe Givan氏がいろいろ、オリジナルの気になるところを改良し作ったもので、解説DVDが付属しており、細かな解説がされています。改良された点を挙げてみます。

・大きさを大きくし、本当に街中にあるガチャのように見える(迫力もある)

 ※逆にオリジナル用に本体を消すことはできません…。また、持ち運びはオリジナルより大変。

・透明部分を従来のガラス製からプラスチックに変えたので衝撃に強い、軽い

 ※大きさが大きくなっているのでもちろん総重量はこちらの方が重いです

・ガチャを行うとき完全に回しきることができる。コインは内部に溜まるため、毎回取り出す必要はなく、いい時に一気にコインを取り出せばよい。

・連続して、2回ガチャができる。1回目外すことができるので、例えば演者が回して確かにおもちゃの指輪が出てくることを示してもいいし、1回目は何か違うものを入れておいてもよい。

・専用の布が付属し、掛けた状態でロードができ、布を取り去るとロード口が塞がる。







という感じで、Joe Givan氏的にもかなりバージョンアップした2代目ですが、解説書は初代とは表紙が微妙に異なり、Steven Bargatze氏のFORWARDが付きますが、解説書の内容はオリジナルと同じです。恐らく、DVDで映像を使って説明をしているので、冊子の方は、それほど必要ないと思ったのでしょう。

 この商品をHank Leeから購入した時、Hank Leeのせいでは無いかもですが、輸送状態が悪く、段ボールの中に水が少し入った(であろう)状態で商品が届きました。このため、解説書は波打ち、表紙の赤い紙の色が落ち、DVDの紙ケースや解説書の中の紙、Joe Givan氏のサインが書かれた紙に移っています(T_T)。まあ、解説書も読めますし、DVDも見れましたのでまあ仕方がないですが、海外からの荷物はときどきこういうのありますよね(;^ω^)



 以上、私が持っているJoe Givan氏の2台のGumball Machineの紹介でした。個人的にはそれぞれ良いところがあり、どちらの方がよい!ということは言えませんが、2代目の改善点を含ませた、初代くらいの大きさのGumball Machineがあるといいなぁと思います。クロースアップで扱いやすく、それなりにレトロな形でおしゃれなものが販売されると嬉しいですね(^○^)

 せっかくなのでガムボールマシンの写真と一緒にJoe Givan氏が表紙となっているLinking Ring誌(Volume 77 Number 6 June1997)を撮影しました。1997年なので表紙の写真に写っている200台限定のガムボールマシン(写真のものは本人のオリジナルでしょうが…)が売り出されたちょっと後くらいですね。雑誌の中ではJoe Givan氏 に関する4ページ程度の記事がありますがあまり、ガムボールマシンのことは書かれていませんでした(T_T)。








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7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (kokugoyakagyou-re)
2023-12-06 23:00:51
https://magicbarintiki.stores.jp/items/64f55960e22e2400304e9e60

マジックバーインティキ オンラインでガチャガチャマシーンを売っていましたが、どこの製品なんでしょうか。
ひょっとしたらてるした氏の手づくりかもしれませんが。
Unknown (mahounokakera)
2023-12-06 23:17:41
情報ありがとうございます♪日本で販売しているお店があったんですね!小振りだしいい感じですね。大きさや実演動画などがあるといいのにと思いました。おそらく紹介したものと似た仕組みだと思います。
商品の下に「その他のアイテム」とあり、ハトさんマジックと国語屋稼業さんのお名前がありました!!
Unknown (kokugoyakagyou-re)
2023-12-06 23:26:54
「インティキマジシャンてるした ガチャガチャ」でYou Tubeを検索すると動画が出てきます。
Unknown (kokugoyakagyou-re)
2023-12-06 23:33:35
同じくYou Tubeで「インティキマジシャンてるした ハトさん」で検索すると、私がアイデアが活かされたマジック(?)が出てきます。

てるした氏の3Dプリンタが壊れたので、しばらく「ハトさんの予言」は手に入らないかもしれません。

個人的には気にいっているので、今度のクリスマスショーでは活躍しそうです。
Unknown (mahounokakera)
2023-12-06 23:51:13
@kokugoyakagyou-re YouTube拝見しました。お手製とのことですね笑。多分同じような仕掛けですね。同じ指輪洗浄機もうちにあります(^◇^;)
Unknown (kokugoyakagyou-re)
2023-12-07 00:03:41
自作系マジシャンてるした氏、最近、贔屓にしています。
なかなか、面白い方です。

アフターケアとして、最近、カバーを作って購入者に送っていたような。

購入者ではないので断言はできませんが。
Unknown (mahounokakera)
2023-12-07 00:09:03
@kokugoyakagyou-re 贔屓にされてるのはブログで伝わって来まし(笑)一度お店も伺ってみたいですね。貴重な品がたくさんありそう(^○^)

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