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カップ&ボールのカップ中心にいろいろ紹介

自分の持っているマジックの道具をカップを中心に紹介。

Pete Biro's Ramsay Cups and Balls | Aluminum | Satin Finish by Rings-N-Things Magic

2023-02-24 08:52:00 | カップアンドボール

 John Ramsay氏のTwo Cup ルーチンに関しては次回のブログで少し詳しく述べるとして今回はこのカップの紹介とします。これまで、このブログでも何回も登場しているPete Biro氏がJohn Ramsay氏のルティーンに適したカップとしてデザインしたカップです。Rings-N-Thingsが権利を得て作っています。このカップセットを購入するとピート氏が書いた、34 ページの取扱説明書が含まれています。但しこれは、ジョン・ラムゼイ氏のカップ&ボールの本の内容とほぼ同じです。


 商品ページです。

Pete Biro's Ramsay Cups and Balls | Aluminum | Satin Finish

Rings-N-Things Magic

 

 カップはアルミ製で、サドルに大きな窪みがあるのが特徴です。HPに書かれている仕様を下記に示します。

・高さ: 3インチ(7.62cm)

・サドル径: 2インチ(5.08cm)

・くぼみの深さ: 3/8インチ(0.95cm)

1個あたりの重量: 2.2 オンス (62g)


私は何故ピート氏がRamsay Cupとしてこの形を作ったのか理解できていません。John Ramsay氏がカップ&ボールで使っていたのは、本の写真を示しますが、アイスクリームのカップ(容器)だったんですね。なので底にしっかりとしたサドルがあるわけです。そして非常に軽いラムゼイ氏の手順ではこの部分をつまんで持ち上げるという動作が何回か入ります。




 しかし、このPete Biro氏のカップはアルミ製で軽量とはいえ、サドルの淵が厚く、淵をつかんでカップを持ち上げるのはちょっと厳しいです。しかもカップがかなり大きいJohn Ramsay氏のルティーンでは大きなボールは持ったまま、ウォンドや小さなボールを持ちます。またボールのマジックようにスライハンド(sleight of hand)的なバニッシュなんかを行うので、このカップの最大ロードサイズである60㎜は大きすぎます大きなファイナルロードとしてミニトマトが出てきたりするのですが、その程度の大きさ設定です

 ただ、Ramsay氏のルティーンは70年~80年前のルティーンなので、それを現代風に演じるとこのカップ形状になるのかもしれません。これでRamsay Cupsルティーンを演じているピート氏を見て見たかったです1インチのボールを入れたままスタックもできますので、全く別のルティーンもできますよね。

 ちなみに付属するボールは5/8インチ(16mm)とかなり小さいです。しかも4つ使います(笑)また、手順書の表紙の写真ですが、一瞬カップ&ボールの写真に見えませんよね。Ramsay Cupsルティーンではエンディングとしてコイルを使ってカップから紙テープがたくさん出てきます!ウォンドで巻き巻きするやつですね。なので出てきた大量の紙テープが写っているというわけなんです。派手なエンディングです(笑)。全体を通してちょっと今では見ることのないルティーンな気がします。"Master of Misdirection"の称号が与えられていたラムゼイ氏のカップ&ボール、気になる方はDVDで見ることもできます(フルルーティンではありませんが)。そのあたりは次回紹介したいと思います。
















Artistic Combo Cups and Balls Set + Solid Cup by TCC

2023-01-21 19:46:00 | カップアンドボール

 TCCのコンボカップのセットとソリッドカップです。まだ正式に販売されているわけではなくKICKSTARTER1620%達成)です。

 KICKSTARTERのページを示します。まずは、コンボカップセットのページ

https://www.kickstarter.com/projects/565058636/artistic-combo-cups-and-balls-set-by-tcc

 続いてSpecial Stretch Goalsとして販売されたソリッドカップとキャリーケースのページ

https://www.kickstarter.com/projects/565058636/artistic-combo-cups-and-balls-set-by-tcc/posts/3652367

上記ページにあるカップの仕様を示します

高さ: 75mm

カップ径(外):79mm 

カップ径(内側):68.5mm

カップトップ径:42mm

重量(シングルカップ):365g

重量(パッケージを含むセット全体):1.45Kg

 TCC2020年「Artistic Cups and Balls 2.0」を販売しました。マイケル・アマ―氏を使ったPVや解説動画の提供などが行われ、割と派手な販売でした。以前、私のブログでも紹介させて頂きました。

ARTISTIC CUPS AND BALLS 2.0 BY TCC - カップ&ボールのカップ中心にいろいろ紹介

以前、ARTISTIC(ARTISAN)CUPSANDBALLSを紹介させて頂き、その時に「バージョンが上がってる…」と書かせて頂きました。とはいえ、大きな変更は無いし、そんなカップばっかり...

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 コンボカップセットを作ろうとした場合、通常のカップ&ボールのセットのカップと外見上同じようなチョップカップを作れば、既にカップを持っている人はチョップカップを買えばコンボセットが出来上がります。また、カップを持っていない人向けには1つのカップをチョップカップに入れ替えたコンボセットを発売すればよいのですが、どうも同じ形のチョップカップを製造することが出来ず、デザインも変えたコンボカップセットを作ることにした(なった)そうです。

 カップの基本的なデザインは同じような感じで、真鍮の削り出しに抗酸化処理をして、艶消しのアンティーク仕上げとなっています。いつも通りいい音鳴ります(笑)。曲線が微妙に変わったのとショルダービードとリムの形が微妙に変わっていますが、劇的に変わってはいません(;^ω^)、大きさはほぼ同じだと考えてよいと思います。テニスボールも入ります。

 ただ、かなり重くなりました。Cups and Balls 2.0のカップが260g台くらいだったのに(今回の写真のCups and Balls 2.0280g台)、Combo Cups and Ballsのカップは360gくらいあり、100gくらい重くなっています!!正直私のような非力な人間にはちょっと重いです(笑)。ちなみにチョップカップと通常カップの差は10g程度で意識しなければわからない程度だと思います。チョップカップの中の処理はさすがにきれいで普通に見ていたら区別がつきません。ただ、チョップカップのボールの付きが強く(私のカップ固有かもしれませんが)結構叩きつけないと落ちません。最近わりと叩きつけなくてもいいチョップカップが普通レベルで販売されているので、そこはちょっと残念でした。TCCのレザーボールを使うと重さがあるので少しマシでした。個人的にはこのカップの色とレザーボールの色は合ってる気がするのでそちらを使うのが良いとは思いますが、欠点としては硬いのでマットが無いと「コツッ」と音が出てしまうと思います(;^ω^)。それでもちょっと磁力が強いなぁという方は、ちょっと入手が面倒ですが、以前紹介したRINGS-N-THINGS MAGICの磁力が調節できるボールなどを使うと良いと思います

 ソリッドカップは650gあり、重いです(笑)。これは重くていいと思います(笑)もちろんデザイン的にはコンボカップと同じなのですり替えても基本ばれないでしょう。チョップカップ単体のカップルティーンですり替えて使ってもいいですし、カップ&ボールの手順の中ですり替えてもいいと思いますし、私は1つしか買いませんでしたが3つ買って全てのカップを入れ替えてしまうなど、いろいろな手順が組めると思います。

 しっかりした、重たいカップが好みの方(マイケル・アマ―氏は重たいカップが好きだそうです)で、この真鍮アンティーク風の色が好きという方にはおすすめのカップです。重いのが苦手な方にはお勧めできません。いずれTCCのショップにレギュラー商品として並ぶと思います。

 あと、マイクロファイバー(イミテーション)レザーのキャリングケースも買いました。これはキックスターターのみでの販売のようです。思ったより薄くて柔らかくごわごわしなくて良いと思いました。TCCのキャリングケースはトミーワンダー氏の手順のようにキャリーケースが使えるように柔らかい素材でできていて、よいのですが、今回のカップ達は重いので薄めの布のキャリングケースよりは安心かもしれません。

 最後に少し脱線します。今回、Cups and Balls 2.0との比較の写真を撮ったのですが(写真右側が2.0です)、TCCのサイトの比較で使われている写真と違うではないですか!実はこのCups and Balls 2.0のカップ、Cups and Balls 2.0の中でも初期のバージョンのものなんです。付いていたニットボールの色やキャリーケースの色が違うことは把握していたのですが、shoulder beadが違いう事に気づいてませんでした!同じ2.0なのに違うんですねで、上記自分のブログを見返してみると、以下のように自分で書いているんですね。

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・フィードバックに基づきショルダービーズ(真ん中やや下の2本線)を丸みが帯びたデザインに戻した

 確かにそうですね。「戻した」というのはどういう意味なんでしょうね。一般的な丸みのある形から敢えて丸みが少ないデザインにしたけど、反応悪かったのでという意味でしょうかこのあたりは好みによると思います。

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この丸みを帯びたデザインに「戻した」という意味が解らなかったのですが(Ver.1でも丸みを帯びていたため)、これはVer.2.0の初期の平らにしたものをVer.1の丸みを帯びたものに「戻した」という意味だったんですね。今日写真を取りながら、そうだったのか~と思ったので共有させて頂きます(マニアック過ぎる(笑))




















Phoenix Cups and Balls by Tom Frank

2022-12-25 11:41:00 | カップアンドボール

 2000年にTom Frank氏がリリースしたPhoenix Cups and Ballsです。カップとボールとウォンド、そして証明書が専用ケースに入ったセットでした。銅合金(COPPER-ALLOY)のカップセットが1000セット(価格199.5ドル)、ニッケル・クロムメッキ(NICKEL CHROME-PLATED)のカップセットが100セット(価格299ドル)リリースされました。銅製カップの材料として純粋な銅ではなく他の金属を混ぜたのは強度を増すためです。カップの高さは約7.6cm、口径は約8.6cmと書かれています。重さは私が購入したNICKEL CHROME-PLATEDカップの場合、175gから188gとカップによって結構差がありました(;^ω^)重量感がありますが重すぎることはないです。発売時の広告らしき画像がありました。

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 形はRoss Bertramのカップの形を継承しており、ポールフォックスのように球形を最大限に入れることができるる形ではありません。テニスボールは微妙でマジックカフェでは入らないという意見がありました。私のカップでは入るけど一緒に持ち上がってしまいます。しかし、氏のDVDではファイナルロードとしてテニスボールを使ってますので空気の入り方やメーカによっては入るかもしれません。

 この形にはファンも多いです。ポールフォックスよりも好きだ!と書かれたコメントを見たこともありますし、チャーリー・ミラーも「男のカップ」と呼んで気に入っていました。ただし、この意味は「強さ」の意味合いも含みます。

 フェニックスカップの問題点としては、ショルダー・ビード「shoulder beadside bead)」(カップの中央部にあるライン)が低い、もしくは、ショルダービードより下の部分の広がりが大きく、故に口径が大きくなっているため、スタックしたときに「attic」(スタックされたカップ間の空間。「屋根裏部屋」という表現をされます)が狭くなってしまうという事です。なので、付属するTAYADE-STYLEのボールは入っても、1インチの完全球のボールは入りません。TAYADE-STYLEのボールも完全に入っているのか?と思うくらいです。また、スタックしたときにぐらつきがあることも問題点として言われています。あと、リムの隙間がDanny Dewのポールフォックスカップのように広いですね。

 ボールはTAYADE-STYLEと呼ばれるボールで先に述べたように完全な球形ではなく、長軸1インチ、短軸7/8インチです。さらに、ボールの周りに紐が巻かれており、転がりにくくなっています(このボールの作成は大変で1個当たり45分かかると氏はビデオで言っています)。ちなみにTAYADEというのは1970年代にマジック用品を作成していたインドの方の名前だそうで、彼が作ったこのタイプのボールをセットに含むヒンズーカップも有名です。

Indian Style Cups, Balls and Wand by D.A. Tayade

 ウォンドはアイアンウッド(IRONWODD)で作られており、長さは約32.1cm、太さ約11mmです。アイアンウッドは枕木にも利用されるような、硬くて水などに強い木です。残念ながら私がeBayで購入したカップセットにはウォンドが付いていませんでした。

 以上のように、このカップセットは非常に強いコンセプトに基づいて作られています。それはストリートでの過酷な演技に耐えうる強いカップという事です。

 Tom Frank氏がマジックキャッスルでカップ&ボール演技をしているを下記に示します。氏はもともとストリート系であったこともあり、観衆を惹きつける力強い演技をします。従って、強く叩くことに耐えうるカップとウォンド、転がり過ぎないボールが必要だったんですね。


 一般的なバーノンの手順とは違うオリジナルの手順ですね(とにかくバンバン叩きますね(;^ω^))。演技の途中でカップの貫通や指のマジックを入れているところも観客を惹きつけ続けるための工夫だと思います。ヴァーノンのて順に慣れてしまっているので違う手順を見ると少し新鮮に感じますよね(;^ω^)

 Tom Frank氏はカップ&ボールのDVDを自身のサイトを通じて販売しています。

https://tomfrankmagic.com/products/

 DVDでは、氏の手順の解説や、いくつかのパターンでの演出、具体的には、音楽だけで喋らない演技、喋りながらの演技、ストリートの演技などが収録されています。また氏が集めたカップの映像やカップ&ボールの歴史についての映像もありました。自身の持っているカップの紹介映像では、一般的なカップの作り方などについても説明していて興味深いです。そこでは素晴らしいカップ職人としてJim Reiser氏の名前が出てきます。氏のカップも1つだけ持っているのでいつか紹介したいと思います。

 DVD購入時に少しやり取りがあり、2つほど質問をしてみました。それについて丁寧に解答して頂けたのでここにそれを記します。私の素人質問に丁寧に答えてくれた氏に感謝します。

<質問>

Your cup is similar to the shape of Ross Bertram's cup as well as Charlie Miller's cup. I would like to know if there is a reason you chose that shape instead of the Paul Fox type other than you like the shape.

<回答>

When I was a young man, my cup of choice was the Charlie Miller cups made my Magic Inc. It wasn’t so much the design that I liked but I liked the sturdiness and durability of the cup as well as the price. Later Both the Miller and the Bertram cups stopped being made. I asked Jay Marshall of Magic Inc., if I could replicate the design of the Miller cup as I loved them and and gone through more than a few sets by that time.  He said yes. I made the Phoenix cups stronger than any other cup on the market, by adding lead to the copper. I hope this answers your question.

<質問2

what do you consider most important in your cup and ball act that may have been discussed on the DVD?

<回答2

As to the most important aspect to my cups and balls routine, is a more difficult question. I suppose a genuine love of magic, misdirection, the rich history of the effect and the impact it has on an audience. I spent half of my life as a street performer and it never failed to build a crowd.

 上記のTomの回答にありますように、このカップの歴史的流れは、ポールフォックスとはまた違った面白さがあります。ポールフォックスほど普及しませんでしたが、一部のファンには好まれています。大きくは4つほどのカップがシリアルに作られています。

 まず、原点となっているのがロス・バートラム(Ross Bertram)のカップです。

https://www.bidsquare.com/online-auctions/potter-potter/bertram-cups-847728

このオークションのカップは1965年に作られたカップのようですね。ページでは中は映っていませんがRBの文字が刻まれていると思います。ロス・バートラムがこのタイプカップを始めた手作ったのは1940年頃だそうで、ポールフォックスはその少し前に作られていたようです(世に出るのはもう少し後になりますが

 ロス・バートラム(Ross Bertram)の演技映像もありましたので貼り付けておきます(Egyptian Cups and Balls)。

Ross Bertram performs Egyptian Cups & Balls | Magicana

 上記演技はロス・バートラムのDVD2巻の最後収録されています。

https://www.frenchdrop.com/detail?id=1381

 次に、チャーリー・ミラーカップ(Charlie Miller Cups and Balls)です。

 ロス・バートラムのカップの形を継承してチャーリー・ミラーカップというカップがJay Marshallが経営するChicagoMagic Inc.から発売されました。本商品は1970年代と書かれてますね。銅製です。

Lot Detail - Charlie Miller Cups and Balls.

 チャーリーミラー自身は Greater Magic Video LibraryVol.29Charlie Miller & Johnny Thompson)でカップ&ボールについていろいろ話したり演技をしたりしていますが、銀色のカップ(銀とかクロムのメッキでしょうか?)を使っていて、ビデオの中では、ニューオリンズのBrad Holbrook(綴りまちがってるかもしれません)からもらったもので、ロス・バートラムカップだと言っています。また、この形や強さが好きだと言っており、ラフに扱っても大丈夫な「It's a man's cup!」だと言っています(多分)。ビデオではちょっと確認できませんでしたが、彫刻されているかもしれません。

Charlie Miller & Johnny Thompson, Volume 29 GMVL (DVD)

 このビデオで上手くチャーリーミラーから話を引き出しているジョニートンプソンのカップも実はロス・バートラムタイプのカップです。銅カップ(チャーリー・ミラーカップ)にシルバーのメッキがされており、エジプト風の彫刻がされています。

Lot Detail - Johnny Thompson’s Engraved Cups and Balls. Set of three fin...

 そして、Tom Frankが作ったフェニックスカップ(Phoenix Cups and Balls)です。

上記質問への回答にあるように、Tom Frankは丈夫で強いチャーリー・ミラーカップを好んで使っており(デザインはそんなに好きでなかったと書いてますが(;^ω^))、販売されなくなったので、Jay Marshallにその形を使ったカップを作ってもいいか?と問い合わせ、許可をもらったので作りました。ただ、さらに「強い」カップにしたかったため、純粋な銅ではなく、他の素材を混ぜることでより硬く、丈夫に作ったとのことです。このカップの特徴(悪い点も含め)は上で記した通りです。

 最後に、Phoenix II cupsです。

 Tom Frank氏が作ったフェニックスカップの問題点を改善するため、RNTIIPhoenix II cupsを作りました。Mad Jake氏がRNTIIのプロジェクトとして12個のカップを作りました。変更点はショルダービードを少し上げてスタックしたときの屋根裏部屋の空間を広くし、1インチのボールが3つ入るようになりました。またテニスボールも入るようになりました。形としてはロス・バートラムスタイルの広がりが大きいカップに比べると、ショルダービードから口までの広がりを抑えた形になっています。Mad Jake氏はTom Frank氏に許可をもらってこのPhoenix II cupsを作りました。

 Tom Frank氏がPhoenix II cupsについて書いたページです。RNTIIから申し出があったときにこれまで言われていた問題点を改善するようお願いしたそうです。

PHOENIX II CUPS • COPPER • ANTIQUE BRONZE FINISH - The Genii Forum

 Mad Jake氏は最初12個のセットを作ったとマジックカフェでは述べてますがその後どういう商品展開をしていったのかはわかりません。ただ、現在RNTIIを後継したDonnie Buckley氏のRINGS-N-THINGS MAGICでは、Phoenix II cupsを現在も販売しています。

Phoenix 2 Cups | Copper | Polished Finish

 以上、フェニックスカップの紹介とその元カップと後継カップでした!







The Two-Cup Routine By Tommy Wonder(Limited Edition)presented Rahael & Bluether Magic

2022-12-10 13:18:00 | カップアンドボール

 2022年も12月となり、残すところわずかとなりました。予定では年内に今回を含めあと2つのカップを紹介する予定です。共に個人的にはとても気に入っているカップです!

 今回紹介するカップはTommy Wonderの家族が認めている唯一のカップという事で衝撃的なリリースだったRahael & Bluether MagicTommy Wonder Two-Cupのステンレス製リミテッドエディションです。Limited Editionは真鍮(Brass)製とステンレス(Stainless-steel)製の2種類がそれぞれ25個ずつ作成されて、証明書(Certificate)付きで販売されたものです。木製ケースに入っており、色の異なる袋とボール(ポンポン)が2セット付属しています。しかし、Regular Editionに付いている映像へのURLなどは付いていません。

 まず、ケースですが紙のRegular Editionとは異なり木製のケースです。トップには紙製の箱(あれもカッコいいと思います)と同じカップとポンポンつき袋などの絵が彫られた形で表現されています。ちゃんとStainless Steel Versionとも彫られています。木のケースは素敵ですが、写真でご覧になってわかるかもしれませんが、使われている木や中のクッションの生地はそれほど高級感はないです(;^ω^)

 次にカップを入れる袋ですが、赤と青の2種類入っています。ボールに対応するポンポンも、袋に対応して黄色とオレンジの2色が入っています。トミーワンダーのカップ袋は青というイメージが強いので赤というのは少し新鮮ですよね。作りはRegular Editionのものと同じだと思います。

 次にCertificateは木製のスタンドに入っており、立てて飾ることが出来るようになっています。フックで吊り下げることも可能なスタンドでした。そこには限定25個のステンレス製カップであることが作者のサインと共に証明されています。サインしているのはBluetherMagicの創立者で実際にカップなどを作っているのはRashaun Chan氏です。Rahael & Bluether MagicRahaelRashaun Chan氏の英名なんですかね私のカップは05/25とのことなのでNo.5という事ですね(実はこれはちがうんですけどね)。



 最後にカップです。私が購入したのはステンレス製の方で重さは182gと通常の真鍮製のものより40g50g重いです。ズシっと重みを感じれます。とはいえ、Auke Van Dokkum氏のカップに比べて元々のサイズが小さいので、Auke Van Dokkum氏のカップのように重すぎるという感じではありません。個人的にはやや重めのいい感じの重さです。ちなみにこのカップの形はAuke Van Dokkumのカップへのオマージュ(尊敬、敬意、賞賛)からだとTCCの商品ページに書かれていますね。

 Regular Editionとの重みの違いが素材の違い(ステンレス製)であるためか、Limited Editionであるためかは真鍮製同士で比較しないとわからないのですが、カップは同じものではないとBluether Magicからは言われています。厚みなどが違うのかもしれません。カップの底にはRahael氏のマークが刻まれています。Regular Editionのカップの底に刻まれていたか、ちょっと手元に今ないので確認できませんが、以前ブログを書くときに撮影した写真では無いように見えます。ただなんか刻まれていたような記憶もあるんですよねまた、レギュラーエディションを引っ張り出してきて確認していつか追記したいと思います

 ということで、Limited Editionは、ケースはまあまあで、カップはいい感じというレビューでした。購入できたのがステンレス製だったというのもRegular Editionとの区別がつきやすく良かったです。真鍮製もとてもきれいなんですがどうしてもクスんできますよね。そのクスミが銅ほどいい感じの色にならないというか。それともやったことないだけで上手くクスませるといい感じの色になるのでしょうか。銅は古くなった感じが私は好きな色で、歴史のあるマジックだしピカピカのステンレスはどうかと思っていたのですが、最近はそれもありと思い始めてきました(;^ω^)。数は少ないですがツイッターでアンケートした結果は真鍮よりステンレスの方が上でしたし



 ここからはカップのレビューではなく、入手経緯ですので、あまり面白くないかもですが、記録しておこうと思い書くことにしました。以前のブログ記事で、TCCがこのカップをリリースしたことを速報的に書いたときに、『リミテッドエディションが3つだけ販売されてたようですが売り切れてました残念』と書きました。まさか手に入れることが出来るとは正直思っていませんでした。

 事の始めは「Wonder House's Cups」というカップを知って(キックスターターで知っていれば購入していたのに残念)それを探しているうちにちょうどBluether MagicがグランドオープンするということでそのWebサイトに辿り着きました。確かに「Wonder House's Cups」はそこで販売されていたのですが、TCCで購入したTommy Wonderのカップも販売されていました。そういえば、箱やビデオでBluether Magicと出てきてたなと思いながらでもそれは持ってるしという事で流してみてたら、Limitedエディションが販売されているではないですか!急いでポチっとしました。すると残りは0となりました。いくつ販売していたかはわかりませんが最後の1個のようでした。と言っても番号は5番ですが。ラッキーだったと喜んでいたのですが、数日経っても発送連絡が来ないそこで確認メール(チャット)をしたところ、「赤いポンポンを作るので来週送る」との連絡がありました。ところがその次の週になっても発送された感が無いまたメールで問い合わせたところ、「カップの中が汚れていて我々が販売する品質に至っていない」とのメールが写真付きで送られてきました。確かに中が汚れているというか作り損ねてるというか、きれいではありませんでした。何を今更と思いつつ、そのカップは通常のカップと違うのですか?と聞くと、「違う」という返事でした。お詫びにジャンボコインを送るから返金してキャンセルにしますか?との連絡が合ったのですが、「外から見たら汚れはわかりませんか?」とかいろいろ聞いているうちに(私の欲しいオーラが伝わったのか(笑))、「では工場に行って新しいものが作れないか確認してきます」との返事。そして「2週間くらいで新しいのを作りますが待てますか?」ときました。そこでもちろんOKと返事をしました。そして待つこと2週間。やっぱり連絡が来ないメールをして「どうなってますか?」と確認。「工場に確認に行きます」と返事あり。そして「コロナのゼロ対策で工場が動いていません。もう少し待ってください」とのこと。ここまで来たら待つしかない…10日経過して、「どうなってますか?」と確認のメールをすると、「作成者から動画が送られ来ます」と連絡。数日後、Rashaun Chan氏から短い動画(なぜか静止画ではなく動画)が送られてきて、きれいなステンレス製のカップが映っていました。とりあえずホッとして、入手できることがある程度確信持てたものの、その後もなかなか送ってもらえず、送ったという連絡と共に届いたEMSの追跡番号は間違っていて、何日経ってもその荷物は無いという状態だしそして、間違えていたので正しいのを送るよと言って送られてきた番号で送られていることがわかり、先日家に届きました。2カ月半かかりました(;^ω^)

 ちょっと苦労しましたが、いいカップを入手出来て満足しています。もともと購入を検討していた「Wonder House's Cups」はこのカップと次回紹介するカップを購入してお金を使い過ぎたので、ペインディング状態となりました。ブラックフライデーでだいぶ安くなっていたのですが、気が付かず、今は売り切れてしまってます。期間が2日だけで気が付かなかったのが残念です。ちなみに以前ブログで紹介したTCCKickstarterで出して、10分で100%、最終目標の1658%も資金を得たUntrammelledBall & Vase)の追加(オプション)販売としてカップ&ボールのバッグが売られました。これがおそらく「Wonder House's Cups」の袋です。Wonder Houseつながりでの販売だったのでしょう。しっかりしたバッグです。またいつか「Wonder House's Cups」も紹介できるといいなぁと思っております。


<参考>

Bluether Magicの本商品のページ

The Two-Cup Routine By Tommy Wonder(Limited Edition)

Bluether Magic

Bluether Magic

 

Bluether MagicRegular Editionのページ

The Two-Cup Routine By Tommy Wonder(Regular Edition)

Bluether Magic

Bluether Magic

 

TCCTOMMY WONDER'S CUPS AND BALLSのページ

TOMMY WONDER

TCC Clearance Sale Retails at USD 175. Clearance Sale Price USD 149. Only 5 sets Left. Discontinued after Sold Out. "This is an impressive set. The cups are...

TCC Magic

 

Wonder House's Cupsのページ

Wonder House's Cups

Bluether Magic

Bluether Magic

 











Cocktail Surprise by Joe Porper, Pete Biro

2022-10-16 20:52:00 | カップアンドボール

 私が持っているカクテルシェーカータイプのカップの最後としてJoe Porper氏とPete Biro氏の「Cocktail Surprise」を紹介します。残念ながらもうこのお2人は亡くなっておりますが、このペアで素晴らしい、いくつかの商品をリリースしています。私のブログでは例えばPete Biro氏は以前紹介した「The Johnny Paul Cups」を設計した方です。多くの書籍や商品をリリースしているのでご存知な方も多いと思います。カップ&ボールのマジックカフェにはいつものように登場し、いろいろ情報を提供してくれていますので、彼が亡くなったのは4年ほど前ですが、まだそんな気がしません。

Pete Biro Contributions to the art of Magic - By BUMA JR., (House of Magic)

From Buma Jr. - House of Magic. Buma nailed it with the below. Scott Jenkins did an incredible job at keeping Pete's spirits high and the art of magic close...

Stevens Magic Emporium

 

 Joe Porper氏は以前「Dai Vernon Magic Wand」で紹介したようにビリヤードキューの制作者としても有名な方で、マジックでもいろいろなものを作っている(私が持っているのは「Vernon Card Clip」や「Just A Key」あたり)匠的な職人さん(イメージ)です。昨年コロナでなくなりました。

https://www.facebook.com/JoePorperMagic/

(リンクが貼れなかったのでURLを示します)

facebookの上にある写真は氏のカップで、当時入手したかったのですが、高くてちょっと手が出ませんでした木のケースにケースに入っていて真鍮製や木製が確か発売されていたと思います(ステンレスもあったような?)。

 話がそれましたが、今回はこのお2人の作品で、カクテルシェーカータイプのカップ「Cocktail Surprise」の紹介です。これまでのシェーカー型カップ2つはチョップカップなのでチョップカップのカテゴリに入れていたのですが、今回の「Cocktail Surprise」はチョップカップではないので、「カップアンドボール」のカテゴリに入れました。Presti Cupと同じカテゴリということです。2007年にリリースされているのですが、チョップカップを使わず、チョップカップと同じようなことをこのように実現しようとしたのは彼らが初めてなのでしょうか?もしご存知の方がいらっしゃいましたらコメント頂けると幸いです。

 この商品がマジックカフェでディスカッションされていますがとても興味深いです。

The Magic Cafe Forums - Cocktail Surprise by Pete Biro and Joe Porper

 この中でPete Biro氏は以下のように述べてます。

BTW... try to place a ball on the table and cover it with a CHOP CUP and have the ball vanish! The REASON we came up with this was due to what we feel are shortcomings with a CHOP CUP.

彼らがこのやり方を思いついたような書き方ですよね

 さて、この議論の中では大きく2つのことが話し合われています。1つはウォンドを持ちながらカップを持つのは不自然だ!という意見です。ウォンドは脇に挟んで保持されるものであり、カップを持ち上げる手で持つのは不自然という事(らしい)です。これに対してPete Biro氏は実際に自分はこのマジックを観客に実演しているし、ポールウィルソンもやっている(が、違和感あるなんて言われたことない)。と返していています。Presti Cupを好んで演じている私としては、ウォンドを持った手で持ち上げても不自然でない気がします。ただ、Presti CupのウォンドやCraig Petty氏のChopのペンは長さが短いので鉛筆持ちをしたときに邪魔になりません。見た目も不自然ではないと思います。一方、「Cocktail Surprise」のウォンドはJoe Porper氏の本格ウォンドなので、同じように持つのはちょっと違和感があるのでしょう。解説書では、鉛筆持ちではなく、普通に持った状態でカップの横をつかむのではなく、上の方をつかむような写真となっています。ちなみにこのような持ち方をして使うため、ウォンドのギミックの位置が真ん中ではなく3分の1くらいのところにあります。結構存在感のあるウォンドなので、ウォンドではなく、可能なら高級そうなマドラーで作った方が良かったのかもしれませんね。個人的にはこのウォンドはさすが、Joe Porper氏、非常に良い出来だと思います。通常のカップ&ボールで使いたくなるウォンドです。

 2つ目のは、「高すぎる」という議論です。確かに700ドルはちょっと高すぎでしょうという気もします。銀で作られたカップとかならわかりますがステンレス製ですからね。何人かから高いと言われて、とうとう最後にはPete Biro氏は「高いと思うなら買うなよ!」と書いてます(笑)。まあそういいたくなるのもわかる気がします(笑)。Pete Biro氏はさらに「紙コップでも観客から十分なリアクションは取れるが、私はエキゾチックな小道具を使うのが好きだ。」と書いています。ちょっと話がそれすのですが、はじめ「dixie cups 」ってなんだろう?と思いました。使い捨て紙コップのことを言うのですね。一般的には紙コップの訳はpaper cupで良いと思うのですが、「dixie cup 」と普通に表現する人がいるんですね。知りませんでしたそしてその歴史が下記のサイトにありました。まだまだ知らないことばかりだなぁと感じます

使い捨ての紙コップ「Dixie Cup」はどのようにして生まれて広がっていったのか

円盤状の底に円筒形の胴が貼り付けられている現在の「使い捨て紙コップ」は、原型が誕生しておよそ110年が経過しています。それまで主に使われていた共用のコップやひしゃく...

GIGAZINE

 

 液体を出す方法としては、ほとんどテンヨーのスーパーシェイカーとほぼ同じです。ですので、ストレーナー(Strainer)(上の方のパーツ)をカップとして、ボディ(Body)と2カップ的に演じるのは難しいです。スポンジボールの上にストレーナーは置けるので、解説書では、手順の途中でスポンジボールの演技行うことなどが紹介されています。最後はショットグラスをロードして、最後に出現させ、それに出現した液体を注ぐという感じですね。

 もちろん今では本商品を販売しているおみせはありませんが、過去のマジック商品をまとめてくれているサイトに、このカップがありましたので示します。

Cocktail Surprise by Joe Porper, Pete Biro

 この写真と、解説書の写真を見て、ウォンドの色ってそろえてないんだなぁと思いました。私が入手した色は個人的には落ち着いていてとてもいいと思いました。また、ショットグラスもバラバラです(笑)。私のショットグラスはプラ製でした。まあ気に入らなかったら好みのショットグラスに変えても全然問題ないと思います。ケースは木を彫って作られているので、重いです。下側はカップやショットグラス、ウォンドを入れるための多くの場所が削られて(彫られて?)いますが、上側はそうではないため、上側がお非常に重たく、バランス合ってるのかな?と思ったりします。Joe Porper氏の通常のカップもこのタイプです。通常のカップ&ボールセットのケースにはトランプのマークも彫られてるのですが、こちらのケースには「COCKTAIL SUURPRI」と彫られており(焼き印?)シンプルなケースとなっています。

 本商品のオプションとして、ウォンドではなく、高級マドラー(木製でもいいと思います)があっても良いかなと思いました。そうすると少し違和感がなくなるかもしれません。さらに、何も持ちたくない人は、Axel Hecklau氏のJUST A CUPや五太子さんの手順のようにすると、ウォンドなどを何も持たなくてもチョップカップのようなことが出来ることも既に発表されているので、アイディア的にはそのあたりを使うのも良いかと思いました。