John Ramsay氏のTwo Cup ルーチンに関しては次回のブログで少し詳しく述べるとして今回はこのカップの紹介とします。これまで、このブログでも何回も登場しているPete Biro氏がJohn Ramsay氏のルティーンに適したカップとしてデザインしたカップです。Rings-N-Thingsが権利を得て作っています。このカップセットを購入するとピート氏が書いた、34 ページの取扱説明書が含まれています。但しこれは、ジョン・ラムゼイ氏のカップ&ボールの本の内容とほぼ同じです。
商品ページです。
Pete Biro's Ramsay Cups and Balls | Aluminum | Satin Finish
しかし、このPete Biro氏のカップはアルミ製で軽量とはいえ、サドルの淵が厚く、淵をつかんでカップを持ち上げるのはちょっと厳しいです。しかもカップがかなり大きい…。John Ramsay氏のルティーンでは大きなボールは持ったまま、ウォンドや小さなボールを持ちます。またボールのマジックようにスライハンド(sleight of hand)的なバニッシュなんかを行うので、このカップの最大ロードサイズである60㎜は大きすぎます…大きなファイナルロードとしてミニトマトが出てきたりするのですが、その程度の大きさ設定です…
ちなみに付属するボールは5/8インチ(16mm)とかなり小さいです。しかも4つ使います(笑)また、手順書の表紙の写真ですが、一瞬カップ&ボールの写真に見えませんよね。Ramsay Cupsルティーンではエンディングとしてコイルを使ってカップから紙テープがたくさん出てきます!ウォンドで巻き巻きするやつですね。なので出てきた大量の紙テープが写っているというわけなんです。派手なエンディングです(笑)。全体を通してちょっと今では見ることのないルティーンな気がします。"Master of Misdirection"の称号が与えられていたラムゼイ氏のカップ&ボール、気になる方はDVDで見ることもできます(フルルーティンではありませんが…)。そのあたりは次回紹介したいと思います。
ただ、かなり重くなりました。Cups and Balls 2.0のカップが260g台くらいだったのに(今回の写真のCups and Balls 2.0は280g台)、Combo Cups and Ballsのカップは360gくらいあり、100gくらい重くなっています!!正直私のような非力な人間にはちょっと重いです(笑)。ちなみにチョップカップと通常カップの差は10g程度で意識しなければわからない程度だと思います。チョップカップの中の処理はさすがにきれいで普通に見ていたら区別がつきません。ただ、チョップカップのボールの付きが強く(私のカップ固有かもしれませんが…)結構叩きつけないと落ちません。最近わりと叩きつけなくてもいいチョップカップが普通レベルで販売されているので、そこはちょっと残念でした。TCCのレザーボールを使うと重さがあるので少しマシでした。個人的にはこのカップの色とレザーボールの色は合ってる気がするのでそちらを使うのが良いとは思いますが、欠点としては硬いのでマットが無いと「コツッ」と音が出てしまうと思います(;^ω^)。それでもちょっと磁力が強いなぁという方は、ちょっと入手が面倒ですが、以前紹介したRINGS-N-THINGS MAGICの磁力が調節できるボールなどを使うと良いと思います…
最後に少し脱線します。今回、Cups and Balls 2.0との比較の写真を撮ったのですが(写真右側が2.0です)、TCCのサイトの比較で使われている写真と違うではないですか!実はこのCups and Balls 2.0のカップ、Cups and Balls 2.0の中でも初期のバージョンのものなんです。付いていたニットボールの色やキャリーケースの色が違うことは把握していたのですが、shoulder beadが違いう事に気づいてませんでした!同じ2.0なのに違うんですね…で、上記自分のブログを見返してみると、以下のように自分で書いているんですね。
Your cup is similar to the shape of Ross Bertram's cup as well as Charlie Miller's cup. I would like to know if there is a reason you chose that shape instead of the Paul Fox type other than you like the shape.
<回答>
When I was a young man, my cup of choice was the Charlie Miller cups made my Magic Inc. It wasn’t so much the design that I liked but I liked the sturdiness and durability of the cup as well as the price. Later Both the Miller and the Bertram cups stopped being made. I asked Jay Marshall of Magic Inc., if I could replicate the design of the Miller cup as I loved them and and gone through more than a few sets by that time. He said yes. I made the Phoenix cups stronger than any other cup on the market, by adding lead to the copper. I hope this answers your question.
<質問2>
what do you consider most important in your cup and ball act that may have been discussed on the DVD?
<回答2>
As to the most important aspect to my cups and balls routine, is a more difficult question. I suppose a genuine love of magic, misdirection, the rich history of the effect and the impact it has on an audience. I spent half of my life as a street performer and it never failed to build a crowd.
チャーリーミラー自身は Greater Magic Video LibraryのVol.29(Charlie Miller & Johnny Thompson)でカップ&ボールについていろいろ話したり演技をしたりしていますが、銀色のカップ(銀とかクロムのメッキでしょうか?)を使っていて、ビデオの中では、ニューオリンズのBrad Holbrook(綴りまちがってるかもしれません)からもらったもので、ロス・バートラムカップだと言っています。また、この形や強さが好きだと言っており、ラフに扱っても大丈夫な「It's a man's cup!」だと言っています(多分…)。ビデオではちょっと確認できませんでしたが、彫刻されているかもしれません。
Tom Frank氏が作ったフェニックスカップの問題点を改善するため、RNTIIがPhoenix II cupsを作りました。Mad Jake氏がRNTIIのプロジェクトとして12個のカップを作りました。変更点はショルダービードを少し上げてスタックしたときの屋根裏部屋の空間を広くし、1インチのボールが3つ入るようになりました。またテニスボールも入るようになりました。形としてはロス・バートラムスタイルの広がりが大きいカップに比べると、ショルダービードから口までの広がりを抑えた形になっています。Mad Jake氏はTom Frank氏に許可をもらってこのPhoenix II cupsを作りました。
Tom Frank氏がPhoenix II cupsについて書いたページです。RNTIIから申し出があったときにこれまで言われていた問題点を改善するようお願いしたそうです。
最後にカップです。私が購入したのはステンレス製の方で重さは182gと通常の真鍮製のものより40g~50g重いです。ズシっと重みを感じれます。とはいえ、Auke Van Dokkum氏のカップに比べて元々のサイズが小さいので、Auke Van Dokkum氏のカップのように重すぎるという感じではありません。個人的にはやや重めのいい感じの重さです。ちなみにこのカップの形はAuke Van Dokkumのカップへのオマージュ(尊敬、敬意、賞賛)からだとTCCの商品ページに書かれていますね。
TCC Clearance Sale Retails at USD 175. Clearance Sale Price USD 149. Only 5 sets Left. Discontinued after Sold Out. "This is an impressive set. The cups are...
私が持っているカクテルシェーカータイプのカップの最後としてJoe Porper氏とPete Biro氏の「Cocktail Surprise」を紹介します。残念ながらもうこのお2人は亡くなっておりますが、このペアで素晴らしい、いくつかの商品をリリースしています。私のブログでは例えばPete Biro氏は以前紹介した「The Johnny Paul Cups」を設計した方です。多くの書籍や商品をリリースしているのでご存知な方も多いと思います。カップ&ボールのマジックカフェにはいつものように登場し、いろいろ情報を提供してくれていますので、彼が亡くなったのは4年ほど前ですが、まだそんな気がしません。
Pete Biro Contributions to the art of Magic - By BUMA JR., (House of Magic)
From Buma Jr. - House of Magic. Buma nailed it with the below. Scott Jenkins did an incredible job at keeping Pete's spirits high and the art of magic close...
Joe Porper氏は以前「Dai Vernon Magic Wand」で紹介したようにビリヤードキューの制作者としても有名な方で、マジックでもいろいろなものを作っている(私が持っているのは「Vernon Card Clip」や「Just A Key」あたり)匠的な職人さん(イメージ)です。昨年コロナでなくなりました。
「BTW... try to place a ball on the table and cover it with a CHOP CUP and have the ball vanish! The REASON we came up with this was due to what we feel are shortcomings with a CHOP CUP.」
本商品のオプションとして、ウォンドではなく、高級マドラー(木製でもいいと思います)があっても良いかなと思いました。そうすると少し違和感がなくなるかもしれません。さらに、何も持ちたくない人は、Axel Hecklau氏のJUST A CUPや五太子さんの手順のようにすると、ウォンドなどを何も持たなくてもチョップカップのようなことが出来ることも既に発表されているので、アイディア的にはそのあたりを使うのも良いかと思いました。