この時期になると、かわいい思い出がよみがえり顔がほころぶ。
♪♪ あかりを つけまほ
ぼんぼりに~
おはなを あげまほ
もものはな~ ♪♪
当時、2歳の娘がよく歌っていた。
その歌声、表情、しぐさなどが、ついこの前のことのように鮮明に浮かぶ。
「・・・しょ」と同時に息継ぎをするため、私には「・・・しょ」が「・・・ほ」に聞こえた。
この記憶を今にとどめる者は、私をおいて他にいないはず・・・だと思う。
本人に尋ねると、そのかけらさえも覚えてはいないらしい。
体調も上向きかげんで、その日は起きがけから決めていた。
ちょっと、出遅れてしまったが・・・。
鼻歌まじりに、お雛様をかざりだした朝。
小柄できゃしゃ、手のひらにチョコンと収まるサイズ。
今どきの人形みたいな可憐さはないが、古の美男美女は大人がしっくりと語りかけたくなる表と装いだ。
お膳の食器類にほどこされた塗りの損傷がはげしく動揺する。
まだ1、2歳の私が、その器と雛あられで、ままごと遊びをしている写真がある。
昔から、ぞんざいな扱いをうけていたに相違ない。
その上、いいかげんな保管状態が追い打ちをかけ、悲しい結果を招いてしまった。
ぼんぼりの絹にいたっては、触るのもためらうほどに朽ちかけている。
母から私へ、そして娘へと受け継がれた雛人形は昭和初期の年代物。
お内裏様とお雛様が、なぜ2体ずつあるのか。
母も知らず、祖父母亡き今となっては永遠のナゾだ。
1組は優雅な御殿ずまい。
この御殿を組み立てる時は、毎回わくわく~♪~気分が舞い上がる。
簾の継ぎ目の布は、虫に食い荒らされたあとが痛々しかった。
見かねた父が補修し、生まれ変わったものが今は残る。
父にとってはお手の物。
ここにも、父を偲ぶ痕跡が。
大小さまざまな記憶や思い出を随所にからめながら、今年も楽しく飾り終えた。
女三代の成長を、ともに喜び祝った人形諸君
これからも、末永くよろしくネ
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