何の因果か、病に好かれる。
私の身体は、病魔にとって居心地がいいらしい。
それも原因不明のやっかい病ときている。
名前だけは立派だが、素性を明かさない。
どいつもこいつも卑怯者だ。
ちょうど一年前の不明熱と同じく、突如あらわれた奇怪現象。
ある冷え込んだ朝。
なんだか変・・・いつもとは違う・・・両手指先のしびれ。
十五分くらいで治まり、あまり気に留めなかったが。。。
数日後から、冷気に反応して左手中指先がしびれを伴い蒼白になりだした。
それが、事の始まり。
その日は、膠原病科の再診。
血液検査の結果は、全く異常なし。
しかし、自己撮影の画像からレイノー症との診断。
血液検査で顕著に表れないこともあるらしい。
内服薬と塗布剤は、処方どおりに従えば簡単なこと。
冷たいことを避けるのが最大予防といわれても、これは非常に難しい。
それ以外に、色々と深刻な話にも及んだ。
もともと冷え性で、冬場は手足指が極端に冷たくなる。
もう慣れっこだが、ちょっとやそっとでは温まらないからなぁ。
ずっと温水に浸けてるわけにもいかないし。
手袋をはめたままも支障があるし。
などと考えたって、どうにもならないさ。
その都度、道は開けるはず。
それよりも今は、せっかくだから鴨川の河川敷を歩こうではないか。
風はあるが、しなやかな日差しが気持ちいい。
散歩や日向ぼっこ、様々な自由人でいっぱいの遊歩道。
しばらく行くと。。。
犬の散歩かな・・・?・・・ちと違うような・・・。
近づくと・・・犬とは似ても似つかない、初めての君はだぁれ?
ミニブタと飼い主から教わった。
のんびりマイペースな身のこなしが、笑みをさそう癒し系。
イノシシみたいな毛並みで、小さいながらも貫禄がある。
爪を切るのが嫌いなんだって。
だから爪を磨り減らすための散歩らしい。
立ち止まって言葉を交わすご主人様を横目に、わが道をゆくブタ君。
いつものコースをトコトコと。
あまりの可愛らしさに見とれてしまい、写真を撮り忘れちゃったよ。
それから、またしばらく行くと。。。
ハトや鴨、ユリカモメなどが一人の女性のもとに群がっている。
彼女は、千切ったパンを鳥たちに与えていた。
食パンを一枚だけ持ってくるそうだ。
放りあげたパンの欠片を、うまく空中キャッチするユリカモメ。
彼らは夕方に琵琶湖へ帰ると、鳥をあやつる彼女が言った。
小一時間かけて、七条まで歩いた。
うっとうしい病気のことは、すっかり消え去ったひと時。
この冬を乗り切れば、多少なりとも道が開けるかもしれない。