轟見聞録

表現者・轟ひろたが、学んだことをメモ書きします。(毎週木・日曜更新)

良しあしを決めない

2012-05-06 | Weblog
奥田民生のインタビューより


音楽の仕事で達成感を得た記憶がない。そもそも目標を掲げたりもしないし。「夢は武道館だ」とか決めてもいいけど、ちょっと無理やりだったりするんじゃないかな。
自分の場合は曲を作ったり演奏したりと、音楽そのものが楽しかったから、目の前のことだけ考えてやってきた。目標とか夢を考える余裕もなく今に至っています。まあ、それはそれでいいんじゃないか。人間は何かを続けてさえいれば、放っといてもけっこう進歩はしているものですしね。
音楽をやるうえで気をつけてきたことですか? そうだなあ、煮詰まらないようにすることですかね。曲はたくさん作るから、深みにはまって立ち止まるわけにはいかない。無理にでも前に進むには、オーケーを出す自分の水準を、できるだけ下げればいいんですよ。
妥協するとか、あきらめるってことじゃないですよ。音楽の場合これはいい、あればダメとしゃくし定規には決められない。自分の考えは移り変わるし、人に聴かせると意外なものが評判よかったり、バンドで演奏しているうちによくなってきたりと、いろんなことが起こる。だから勝手に良しあしを決めないほうがいいと思って。
長くやっていると、自分の「型」みたいなものができてきて、それを守らなくちゃみたいな気になったりもする。そういうのはなるべく遠ざけておこうと思いますね。「自分らしさとは」なんて考えなくたって、どうせどこかに出てきてしまうから、思い煩うことでもない。いつでも好きな音楽を鳴らしていれば、たいてい何とかなるものでしょう。