らびおがゆく Vol.3

山形県を中心とした演奏活動等

人間の耳と音楽

2007年08月06日 00時24分59秒 | 音楽
 例えばの話である。

 山形響の定期演奏会に車で行くとしよう。
その人は、クラシック音楽の他にもハードロックが好きだとする。
カーステレオでそのハードロックをガンガンならして会場に来るとする。
果たしてその人は、山形響の演奏に満足して帰ることが出来るだろうか?

 人の耳は、大きい音の方にレベルをあげてしまう傾向にある。
オーケストラが、そのハードロックより大音量でその人の耳に刺激を与える必要があるのだ。
とくにPAを通した音に慣れると、生の音には鈍感になってしまうのだ。
常にまわりに音が有り、うるさい現代の社会の中でクラシック音楽が衰退していく理由はこの辺にもありそうだ。PAが無かった中世の人に比べて、現代人の耳は微妙な音の色合いを聴き取れなくなっている可能性もある。

 実際、セックスピストルズ、クラッシュ、ヴァンヘーレンなどを聴いていた高校時代、私の耳ではクラシック音楽を魅力的に感じることは無かった。

 もう一つたとえ話。
 絶叫アナで名をはせた報道ス*ー*ョンの古*アナが、弦楽四重奏団演奏会の司会をしたとしよう。マイクの音量全開に!
「人類最高の音楽の贈り物~~!!ベートーヴェンが残した最高傑作~~!弦楽四重奏曲第13番~~!!そして演奏するのは、室内楽史上最高との呼び声高いアルバン・ベルク四重奏団の皆さんです~~~!はりきってどうぞ~~~!」
と盛り上げようとしたとする。

 その後、ABQの演奏に満足出来るお客さんは、いるのだろうか?いるわけない。
古*アナのボリュームのレンジに耳が、アップされたからだ。
繊細なクラシック音楽を聴く事が出来ない耳になってしまったのだ。

 このPAとクラシック音楽の問題は、いつも起こり得る。
山形響の仕事である音楽教室には、司会者がついている。
マイクの調子が悪くて、大音量でハウってしまったら、その後の私達が奏でる音楽は刺激半減になってしまうのだ。

 以前たまにやった演歌歌手とのジョイントコンサート。
PAを通しているバンドに音量でかなうわけもなく、自分の出している音も聞こえず、耳にはめたドンカマのクリック音に合わせて弾くだけである。
アンサンブルなんて、聞こえないのだから出来るわけない。

 結局、本当にクラシック音楽を楽しみたいのであれば、耳にやさしい自然の近くで生活するべきなのである。

 写真は朝日町の蕎麦屋「亀次郎」さんの店内
コメント
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