kyon's日誌

つれづれに・・・

「わたしたちが孤児だった頃」

2017年11月02日 | 日記
「わたしたちが孤児だった頃」カズオ・イシグロ著
結局、昨夜も読んでしまって・・・眠れないじゃん(笑)
読み終えてみると、やはり翻訳物なんだろうなぁ・・・彼は日本人でありながら、けれど、やっぱりイギリス人なのだな・・・つまり、外国の人が書いた本なのだなぁ・・・なんてボンヤリと思った。
いや、ツマラナカッタというのは無い。むしろ面白かった。新しい感覚で、村上龍氏の本よりはワタシは好きかもしれない。(苦笑)

文章には馴染めないというか、スっと入ってくる文章と、何だか読み難いなぁという、中々馴染めない文章というのもあるように思う。外国人の書いた本もそれなりに読んではいるが、これって、翻訳家の力量というのも少しは関係するのかもしれないと思う・・が、それを克服して如何にも本人が書いた文章のように思えるものに仕上げられるかどうか・・微妙なニュアンスや思いのタケをどんな日本語にするか・・・とても難しい作業なのだろうとあらためて思う。

子供だった頃、何処で暮らしたかという環境や取り巻く人々、条件、それらが与える影響は大人になるに従って段々に薄れていく記憶になる。
薄れて行く一方で、微かに残る断片的な記憶というのもある。誰かの一言だったり、一寸だけ見た風景だったり、誰かの表情だったり、手に持っていた小物だったり、メモ用紙だったり手紙だったり・・・つまり風景以外のものは、殆どが人との関わりのある出来事だ。
人は誰かと交わることで、何かの記憶となって残るものを得る。
子供の頃に見た風景が大人になってあらためて見てみると、酷く小さく見えたり、あんなに輝いていたものが貧相だったり・・・そういう落差を感じたことがある。それはその風景が変わったのではなく、自分が成長したことに伴う視点や考え方、見方が変わってしまった変化だと気が付く。
なんだか面白いものだねぇ・・・
人はいつの間にか自分が変化していたのに、多分、実は周りが大きく変わってしまったのだと思うことであまりショックも受けずに納得している。そういうものなんだと思っている。
身勝手に出来ているというか、都合のいいように理解しようと勝手に。(苦笑)
そして、思うより狭い感覚の中で生きている気がするよ・・・

物語は中国の租界地区に育ったクリストファーというイギリス人の少年時代を追いながら、大人になっていくに従って関わる人々や環境に満足しながらも、生き別れになった親の消息を辿り、自分のかすれた記憶を繋ぎ合わせながら再び自分を辿る物語のように思える。

子供だった頃・・・人々は皆孤児であった・・・そういう意味は読んでみてハッとする。
ふ~む・・・まぁ、其々が様々な子供時代を思う機会にはなろうねぇ・・・と。。。
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3 コメント

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それぞれが・・・ (伊豆の花)
2017-11-02 14:02:46
「小春日和」とでも言いたい良い天気です・・・眠気が来ますよね。

基本的に小説の登場人物は自分とは無関係という視点の私ですが、「孤児」で思い出したのは、山崎豊子著「大地の子」でした。
中国残留孤児の物語(ノンフィクションと言っても良いかと)で、本は読んでいませんが、ずっと以前に、TVドラマを見ました。
殆ど覚えていない内容の、唯一、記憶に留まっているのは、主人公(兄)が、漸く妹と再会を果たせたのに、その妹が亡くなってしまうところです。
何故、記憶にあるのか?・・・その妹の名前が、自ら命を絶った私の妹と同じ名前だったのですね。
他に何の共通点もない内容なのに、この一点だけで、私の心を支配してしまったのです。

私は、妹の葬儀の折りには、涙一つ毀れなかったのに(我慢をしていた訳でもないのです)、そのドラマで、主人公である兄が、今まさに、永遠に目を閉じようとする妹の名を必死に呼ぶシーンに、溢れ出る涙を止める術も無かったのです。

確かに、文学賞であれノーベル賞であれ、高く評価されたものには、深い意味や洞察(思想)が文字化されており、読者のみならず社会的にも影響を与えるものと思っていますが、それでも、「感動」というのは、やはり、身近に存在するものだろうと考えるのですね、小難しいことでは無いと思っているのです。

TVドラマ「大地の子」は、今、再放送中ですが、私は、今もって、冷静に視聴する勇気がありません。
言うまでも無い事で、人はそれぞれですから、「感動」の仕方もそれぞれで良いのだ・・・というのは当たり前の事ですよね。
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伊豆の花様へ (kyon)
2017-11-02 19:39:37
ん~・・・・自ら命を絶った・・・そういう方がお身内にいらしたのですか・・・なんと!!
「大地の子」はワタシもドラマ化された時に毎回熱心に見ました。その妹さんとの場面もよく覚えています。もう、毎回泣きっぱなしで・・・山崎豊子さんのストーリーテーラーとしての凄さに見入ったものでした・・・彼女は凄い作家ですよね・・
あの頃、丁度中国の残留孤児が毎年やって来るような時代だったと記憶していますが・・・本当にいいドラマでした。
あの時の中国の俳優さんに素晴らしい俳優さんが居ました。確か育てのお父さんの役だった気がする・・・中々に味のある演技で、中国でも有名な俳優さんだったと聞いていました・・上川達也さんが無名塾という仲代達也さんの作った劇団の演技指導を得てデビュー?に近い作品だったような・・・中国語を台詞で覚えるのも大変だったと・・
いや、余計な事でした。
ごめんなさい。

何か、こんな言い方を軽々にしてはいけないのかもしれないけれど、例えドラマでも、きっかけとして、伊豆様の思いが時間を経てついに泣けたのは良かったのではないでしょうかね・・・泣けないほどの苦しさややりきれなさといいますか・・殊に大人になるに従ってありますよ・・こんなワタシにも。。。
人って不思議ですね。時には笑うより泣く方が心を解放してくれることはありますものね・・・
いや、辛い思い出を話させてしまいました・・ごめん!
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大人だから・・・ (伊豆の花)
2017-11-03 08:01:09
おはようです。

お気遣いありがとう、でも、私は、大丈夫ですよ。
妹の件のみならず、じっと心に秘めたまま・・・という事をしない性格なのです。

事実は事実、イイ加減な私でも、その辺は大人(かな?)ですから・・・でも、ありがとう。
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