花*小紋日記

出張着付師kyoさんの奮闘記

点と面

2021-03-13 20:32:47 | 着付け技術
3月に入り、いよいよ春本番
ところがどっこい、本日の天気は大荒れ
卒園&卒業のお仕事が入っていたので、前日の天気予報を見てハラハラ
電車が止まってしまったら大変です
暴風雨に備えて長靴&レインコートを準備しましたが、夕方までは何とか大荒れにならず本当に良かったです

今月は卒業シーズンという事もあり、お母様やお子様、先生の着付けのご依頼が入ってきております
緊急事態宣言延長とはいえ、今年の卒業式は縮小しながら開催という流れになりそうです
保護者1人出席という園や学校が多いとのお話でした。
卒業旅行、打ち上げ、謝恩会などが出来ないのは本当に可哀想ですが、お式では暖かく巣立ちをお祝いしてあげたいですね

さてさて、1-2月にかけて2度ほど、昔からお付き合いのある写真スタジオ様で着付け講習会を行わさせていただきました
スタッフさんで着付け~ヘアまで全て対応できるように、日々お勉強されているとても熱心なスタジオ様です

昨年も着付け講習会でご訪問させていただきましたが、この1年でさらに皆さん上達されていました




どのスタッフさんも、最後まである程度仕上げる技術は習得できていましたので、今回のテーマは

 完成度を高める

スタジオの着付けは、仕上がりがお写真として永久に残ってしまう為、グズグズした着付けは避けたいところです
細部を意識することで、仕上がりのきちっと感が出るようアドバイスさせていただきました

講習会ではスタッフさんの様子を見ながらアドバイスをさせていただくのですが・・・

1回目の講習会では  布目を通す事
2回目の講習会では  修正技術

を重点的にアドバイスさせていただきました

「布目を通す」というのは、着物や帯の縦糸と横糸の方向を意識して着付ける事でシワやよれが出ない仕上がりになります
ヘアアップ講習の時にも同じような事をお伝えするのですが

「着物(ヘアの時は髪の毛)がどこに向かいたがっているか考える」と良いですね

無理な方向にもっていくと、着物やヘアが嫌がっているのがわかるので、行きたい方向を感じ取るよう常に意識すると良いと思います

そして、2回目の講習では、2人着付けと修正技術についてアドバイスさせていただきました

一発で綺麗に仕上がるのが理想ではありますが、毎回様々なお客様で体形も着物も異なるとなると、そう簡単にはいきません
そこで重要になるのが

 「修正する技術」


着付けていると

「ここも、そこも・・・

とあちこち直したくなってしまいます
着付け師の性分ですね

スタッフさんの着付け見ていて気になったのが、修正する時の着物のつまみ方でした
修正する時に、着物をつまむ指の本数が少ないと力が「点」で働く為、布目がデコボコしやすくなってしまいます

指の本数を多く使う事で面ができて、デコボコしにくくなりますよ






そして、チョコチョコとつまんで細かく修正するより、大きな流れで修正したほうが早く綺麗に仕上がります
特におはしょり、タックの仕上げや修正を行う時は、指先よりも指の腹全体を使ってスライドさせるやり方が有効です

文章だけで説明するのは難しい~ あくまでニュアンスですいません
こういう時、動画って良いんでしょうね~(敷居は高い。遠い目・・・

花*小紋で昨年着付け技術について書いたブログがありますので、参考にしてみてくださいね
ちなみに着付け講習については、現在出張着付けの仕事がメインで基本的にはお受けしていないのですが、オフシーズンの時期で単発の講習であれば対応できる可能性もありますのでご相談ください




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着付け技術 その10 ~まとめ~

2020-05-23 16:01:47 | 着付け技術
いよいよ、緊急事態宣言が解除されそうですね
皆様、長い自粛生活お疲れさまでした

そして、着付け技術ブログに最後までお付き合いいただきありがとうございました

改めて読み返してみましたが・・・・

くどい、しつこい、細かい(笑)

ちなみにプライベートはかなりサラッとカラっとしたタイプです
日頃は出張着付けを生業としていますが、神経質で細かい人とブログから想像しないで下さいね

自粛生活でせっかくの長期休みとなったので、初めは簡単にちょっとまとめてみよう位の気持ちが・・・
つい凝り性な性分が出てしまいました
とりあえず、一通りなんとかまとめる事が出来て良かったです

最初の方にも書きましたが、着付け技術は習ってきた環境で技術や仕上がりが様々です
これが絶対という正解はないので、

「綺麗で楽で着崩れにくい着付け

であれば、どんな着付け方でも良いと思っています

ただ、どうしても着付けを始めたばかりで経験が浅いと苦手な部分や上手くいかない部分が出てくる時が多々あります。
少しでもどこかが参考になればと思って書いてみました

私自身も15年以上前に出張着付けをスタートし、毎回反省の連続でした
幸い、最初の頃は七五三の出張撮影に立ち会うことができたので、客観的に自分の着付けの綺麗ではない場所、崩れやすい場所を目の当たりにすることができました

その都度、自分で研究したり、着付け教室で学んだりと、小さな積み重ねが今につながっていると感じています。
もちろん、まだまだ発展途上なので、毎回1人反省会ですが・・・


今回着付け技術をまとめていて感じたのは・・・

 着付けは理論


着物や帯は1枚の布地
どこかを引けばどこかが引っ張られるという着物や帯の構造を知ることが修正につながります。

理論を分かったうえで着付けた方がより確実に技術は上がるかな・・・と思います

そして、少しでも技術を上げるために心がけているのが・・・

 アラ探し 

昔からブログの為に仕事の時に、お客様のお写真を撮らさせていただく事がありました。
昨年インスタを始めてからは、さらに自分の着付けやヘアメイクの写真が見やすくなり、しょっちゅう見返しては

「アラ探し

着付け後に見て何も感じなかった着付けが、1か月後に見直すと修正点が見つかったり・・・

写真って本当に自分の技術の欠点がわかるんです
仕事や練習の時など写真を撮って冷静に分析し、修正箇所のアラ探しをする事がお勧めです

また、ネットや本で着物の画像検索をして、自分が「綺麗だな~」と思う着付けを何度も見るのも良いですよ
私自身も毎日、色々な着付けやヘア画像のチェックする事がちょっとした趣味になってます

あとは・・・・

 経験の積み重ね

のみです

様々な年齢、様々な体形、様々な着物の着付け経験が間違いなく技術の肥やしになります。
困った事や驚くような事を山のように経験してきたので、今ではあまり驚く事がなくなってきました


私の過去の反省点でできた着付け技術ブログで大して参考にならないかもしれませんが、少しでもお役に立てれば幸いです


長い自粛生活が明けた時に・・・新しい生活様式に変わってしまうとは思いますが、そんな中でも

結婚式が増え
スタジオが再開し
入学卒園式、成人式が無事に開催される

その日にお客様に喜んでいただける着付けができるように私自身も精進していきたいと思っています

早くそんな平和な日常が戻ってきますように・・・・
皆様もお体にはくれぐれもお気をつけてお過ごしください

まだまだブログに書ききれていない事もたくさんありますので、また別の機会に補足版を書かせていただきたいと思っています









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着付け技術 その9 ~帯揚げ・帯締め編~

2020-05-17 08:52:03 | 着付け技術
地方から、緊急事態宣言の解除が始まり、関東近県も少しづつ解除に向かいつつあります
まだまだ予断は許さない状況ではありますが、注意を払いながら少しづつ社会生活が戻ればよいのですが・・・

さてさて、「着付け技術ブログ」はここまでなかなか長い道のりを歩んできましたが・・・
今回はいよいよ大トリ「帯揚げ・帯締め編」になります

最難関の帯結びが終了し、つい気が緩みがちな部分ですが、大変重要な部分になります
今までも色々な部位で言ってきましたが、結局全部が重要ってことですね・・・


まずは帯揚げから

よくお見かけするのが、適当に帯に差し込んだ帯揚げの残念な姿

「帯が終わって燃え尽きちゃったのかな~」という印象

 帯揚げは帯枕を隠すための布地

ではありますが、着物のデザインの中の1つになっているので、やはり綺麗に仕上げる必要があります
ぐちゃぐちゃの帯揚げだと、せっかく他の部分が綺麗に出来上がっているのになんだか残念な印象になってしまいます

意外と目に付く場所なんですね

帯揚げは振袖とそれ以外のお着物では印象が大きく異なります
振袖では「絞り」で出来た厚みのある帯揚げを使い、大きめにたくさん見えるように結びます
本結び以外に「いりく」「一文字」「飾り結び」「笹」など結び方のバリエーションも豊富です







一方、それ以外のお着物は1-2センチと控えめに出します
結び方も「本結び」が一般的ですね。




振袖以外のお着物では、ほんのちょっとしか出ない帯揚げですが、この部分が綺麗だとお着物全体の仕上がりが良く見えるんです
たかが小物と思わず、丁寧に仕上げてあげると上手な着付けに見えますよ


ポイントは後ろから綺麗に折って前に持ってくることです
自装では後ろまで手が回らないので、せめて横からは綺麗に折りたいところですね。
他装の場合は、もちろん帯枕の横からきちんと折りたたみ始めましょう




左右とも背中側から綺麗に折って前で合わせます





特に、結び目の上線はまっすぐになるように指を入れながらそーっと引くとよいですよ




結んだ後の残りの帯揚げは、全部隠れるように帯の中にいれてしまいます
帯から見えるのは、後ろから持ってきた結び目までの部分だけで、それ以外はすべて隠すと綺麗な仕上がりになります




「帯の中に紐がたくさん入っていて、帯揚げが入らないんです~

というお悩みをよく聞く事があります
帯の中には、胸紐、帯枕の紐、コーリンベルトなど色々なお紐が詰まっていますね
その為、帯揚げをいれるスペースが空いていない・・・なんて事が起きるんです

帯揚げを入れる前には、できるだけ帯の中の紐類をしっかり下げておきましょう。
2-3cm位はスペースを空けておくと、帯揚げがスッキリ入りますよ




また、

「帯揚げが綺麗に折れないんです

というお悩みを聞く事もあります
絞りや縮緬素材で厚みのある帯揚げは形になりやすいのですが、綸子やペラペラの帯揚げの場合は形が決まりにくいですね







帯揚げの折り方は2つ折り∔2つ折り∔2つ折り、3つ折り+2つ折り、4つ折り+2つ折りなどいくつか方法がありますね
折る回数よりも最終的な厚みから逆算して折り方を考える方が良いかもしれません
言い換えれば・・・

「厚みが出るように折る

お写真の帯揚げは、着付け師泣かせのペラッペラの素材ですが、何回も折る事で厚みが出てふっくらした仕上がりとなっています
3つ折り+2つ折り+2つ折りくらい折っていますが、仕上がりが綺麗であればどんな折り方でも良いと思っています
折り方以外にも、残った帯揚げ部分を芯になるように中に入れて厚みを出したり、プチプチのようなクッション材を使って膨らみを出す方法もあります






次に帯締めになりますが、帯締めは単なる飾りではなく

帯が落ちるのを防ぐ

大変重要な役割を担っています
帯締めが緩いと「帯が下がる」「帯がずれる」などの着崩れの原因になります
また、帯締め自体も下がったり、先の部分が外れたりと、トラブルが起きやすい部分です

トラブルが起きないようにするには・・・

 しっかり結ぶ

事がとても重要です
帯締めの先をしまい込む時に、

「きつくてなかなか入らない

くらいの締め具合がポイントですね
簡単に指がはいってしまうような緩さはNGです


また、お太鼓に厚みがあったり、フカフカしているとその部分が締めた後に沈んで、帯締めが緩くなってしまう原因となってしまいます
帯締めを結ぶ前に必ず帯のお太鼓部分を後ろから押して、沈み込む空間を無くしてから締めるようにしましょう




帯締めは結ぶ時にどうしても緩みがちなので、常に左右どこかの指や手の部分で押さえながら結ぶ事が大切です





 帯締めはしっかりきつめに結ぶ

がとーっても重要なので、是非気を付けてみてくださいね


帯締めの結び方の種類はいくつかあり、振袖には飾り結びなどたくさんのバリエーションがあります
どんなお着物にも合う一般的な結び方は「本結び」といいますが、結んだ時に房が上向きになる結び方と、下になる結び方があります。

平締めの帯結びでお祝いの席には、本結びでも「寿結び」という房が上向きになるおめでたい結び方がお勧めです




平締め以外の帯締めは下向きになる結び方でOKです




また、帯締めの先は外れやすいので、しっかり差し込んでおきましょう
お祝の時は上向き、不祝儀の時は下向きに房を入れる事をお忘れなく・・・


差し込み方は、立体のまま入れても、平らにして入れても問題ありません
平らにして入れると帯締めが本体から浮く事なく沿いやすいので、帯締めが短めの時などには見栄えがよいかもしれませんね。







帯締めと帯揚げを結んだら、最後に結び目が真ん中に来ているか確認しましょう
襟合わせ、帯揚げ、帯締めの中心がずれていることがありますので、きちんと揃っているか確認すると良いですね




帯揚げ、お締めが綺麗だと、全体がとても洗練された雰囲気に仕上がります
最後まで気を抜かず是非、丁寧に仕上げてみて下さいね


技術ブログは今回が最後になります
つたない内容で申し訳ない思いもありますが、長い間お読みいただき本当にありがとうございました



次回は ~まとめ編~ の予定です
編集後記のような感じです・・・



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着付け技術 その8 ~帯 後編~

2020-05-12 17:42:25 | 着付け技術
自粛生活に慣れてきて、のんびり生活を堪能していたところ・・・スタジオのお仕事が再開しました
元々1日数組限定のスタジオですが、お客様同士が重ならないようにさらに工夫をして対応するとのお話。

着付け側としてはお客様とは思いっきり対面仕事なので、フェイスシールドとマスク着用の完全防備
メイク室は窓と扇風機でガッツリ換気 
ヘア用品やメイク道具は毎回アルコール消毒とかなり気を使ってお仕事させていただいています
安心感のあるフェイスシールドですが、暑いのが難点 夏はつらいかも~


さて、今回の内容は引き続き「帯編」になります

帯をしっかり結んだら、次はお太鼓部分を作ります


ベーシックなお太鼓結びですが、綺麗に結ぶには意外と技術が必要になります
ポイントを押さえて、スッキリ綺麗なお太鼓結びを作りましょう


写真は同じお太鼓ですが、雰囲気が違いませんか?






お太鼓が決まらないと、お着物が綺麗に着れていても残念な印象になってしまいます
せっかくなら、スッキリしたお太鼓結びを目指したいですね

まず、最初にポイントになってくるのが、たれ元の部分になります
たれ元はシワシワになっているとお太鼓の上線に影響するので、しっかり左右に広げておきましょう




次にお太鼓の大きさを決めなければなりません
帯枕を先に乗せてからお太鼓を作る方法と、お太鼓の大きさを決めた後に帯枕を入れる方法があります。
私自身は後から入れる派です
帯揚げは先に帯枕に付けておいても、あとから付けてもOKです(自装の場合は先につけておいたほうがおススメです)


帯全体の大きさを決めるには、帯枕を帯のどこに乗せるかが重要なポイントです。
大きさをどの位にするかにもよりますが、たれ先を三角に折った時の端の線に帯枕の真ん中が来るようにに乗せると標準的なサイズになります
ただ、帯の硬さや長さ、帯枕の大きさや形も影響しますので、確認しながら微調整してくださいね。




帯枕の位置が決まったら、お太鼓部分の長さを調整し、上からかぶせてそのまま帯の土台に乗せます
少し斜めから差し込んだ後に背中に付けると帯枕が安定しますよ




乗せる時に帯枕の位置がたれ元から近すぎたり、差し込み方が緩いと帯の上線がウネウネしたりフカフカ浮いたりするので注意しましょう
お太鼓の上線はまっすぐ、背中にピッタリついているのが〇です






そして、もう一つ大事なのがお太鼓の重なり部分をしっかり揃えておく事です
お太鼓の上線のカーブから布目を2枚綺麗に揃えて下ろす事がポイントになります
ここが揃っていればあとは、そのまま下におろせばお太鼓全体が綺麗な状態になっています





帯枕の紐を結んだら、お太鼓の下側にある余りの部分を横に広げて平らにします
この部分が平らになっていないと、お太鼓が膨らんだ仕上がりになってしまいます
帯が厚く硬かったり、長い場合はどうしても膨らみがちになりますのが、できるだけ平らに広げてあげるとよいですね




たれの長さを残し、残りを折り上げて手先をしまって帯締めを締めれば完成です

通した手先は左右1-2cm出すのが一般的ですが、帯から出さない説、片側だけ出す説等もあるようです。
余った部分は輪の方の内側にしっかり折り込んでくださいね





どうしても仕上がりが大きく膨らんでしまった場合は、手先から出た折り上げの輪の部分を引くとスッキリします
構造上お太鼓の背中の部分からつながっているので、どこをを引くとどこが引かれるか理解しておくと修正も楽になります





おまけになりますが、お太鼓を作る時により美しく仕上げるには、

 柄合わせ

という作業があります
この柄合わせはしてもしなくても問題ありません。
ただ、幾何学の総柄模様の場合などは、やはり柄があっていると美しい仕上がりになります




柄が合っている帯と、合っていない帯の比較になります
絶対合わせる必要はありませんが、合わせるとより洗練された印象になりますね




柄合わせは帯枕を乗せる前に、たれ先の柄と同じ模様をお太鼓面から探す事が重要です
同じ柄を数か所探して、隣り同士になるように合わせます
そして、手前の柄を少しだけ下げておくことがポイントになります
なぜなら、帯枕をのせた時に手前の柄は外側のカーブの為、距離が必要になるからです。
陸上トラック競技のコーナーを曲がる時をイメージするとわかりやすいですね (外側のレーンは距離が少し長くなります)




柄合わせをしてから帯枕をそっと差し込む方がやりやすいと思います
どうしても多少ずれが生じてしまう場合は、お太鼓部分を引き出したり、中の余りの部分を引いたりして調整をします
ただ、合わないからと柄合わせに何分も時間をかけてしまうのは良くないので、程々で諦める決断をしないといけないですね(笑)
また、柄合わせを気にしすぎて、お太鼓の折り上げ部分が短くなってしまうと帯が崩れる原因になりますので気をつけましょう。



帯は大きさ、バランス、スッキリした仕上がりがとても大事です
ポイントを押さえながら、美しい帯結びを目指してくださいね





次回は ~帯揚げ・帯締め編~ の予定です




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着付け技術 その7 ~帯 前編~

2020-05-09 10:35:09 | 着付け技術
stay homeのゴールデンウィークが終わりました~
感染者数も減ってきて、街中にマスクや消毒薬もお見掛けするようになり、ついつい気持ちが緩んでしまいそうです

着付け技術ブログの完成を目指して、着付け→撮影→着付け→撮影→ブログ書き→不足部分着付け→撮影→ブログ追加→確認と1日があっという間
意外と手間がかかるので、途中で気持ちが折れそうになりましたが、友人や仕事先の方から

「楽しみにしてるよ~

とのエールがあり、エネルギー充電
朝ドラではありませんが「エール」って力になりますね


今回の内容は、いよいよ「帯編」になります
帯もポイントが多いので、2回に分けて書かせていただきたいと思っています


帯結びで1番大事なのは、もちろん緩くならない事です
当然ながら、帯が緩いと下がってきてしまいます
下がらないように結ぶには、要所要所でしっかり帯を引きながら進める事が大切です


1周目から背中でしっかり締めます
締めた後は緩まないようにクリップで留めておきましょう




2周目は上線と下線の両方が緩まないように力を入れながら回します
自装の場合は、下線を意識してしっかり引きながら帯を回すと良いですね。




下線が締まっていないと見栄えが良くない上、帯が下がる原因になります





下線がなかなか上手く締まらない場合は、後ろから右手で下線を押して緩みをとってあげるとよいですよ




帯が緩まないように2周したら、背中でもう一度しっかり締めます
帯の上線で、交差した部分を左右に平行気味にしっかり引いてあげましょう
帯が動いて「キュッ」と締まる感じがあればOKです




締め終わったら結ぶか、結ばない場合は折り上げておきましょう


そして、とても重要なのが帯の高さになります
一般的に帯の高さは振袖は高め、それ以外のお着物は低めにする必要があります。
帯の高さが合わないとちぐはぐな印象になってしまうので気をつけたいですね




同じお着物でも帯の高さが違うとかなり雰囲気が変わります
帯が高いと若々しい印象、帯が低いと落ち着いた印象になっていますね




帯をしっかり締めた後、次にポイントになるのが、

 形

 大きさ

 バランス


帯には留袖や訪問着などに合う「お太鼓結び」と振袖に合う「変わり結び」があります
華やかさや可愛らしさをご希望のお若いお客様の中には、留袖や訪問着でも変わり結びを結ばれる方はいらっしゃいます

ただ、礼装のお着物での変わり結びは少しカジュアルな雰囲気になりますので、留袖の第一礼装の時などは「お太鼓結び」を合わせます

一方、振袖の変わり結びは大昔は「文庫」「ふくら雀」「立て矢」などシンプルな結び方が主流でしたが、現在は無限に色々な結び方があります
帯の硬さや長さ、お着物の雰囲気、お客様のお好みでどのような帯結びにするか判断されると良いですね


今回は、最もベーシックな「お太鼓結び」に絞って書かせていただきます
お太鼓はとってもシンプルな形であるからこそ、かえって粗が見えやすく誤魔化しがきかない結び方です
また、大きさやバランスで仕上がりのイメージが大きく変わってくるので、お客様にあった結び方をする必要があります。

お太鼓の結び方で大切なのポイントは3つ

 帯幅

 お太鼓の大きさ

 たれの長さ



帯幅、お太鼓の大きさ、たれの長さに目安はありますが、絶対値はありません
目安の幅も広いので、体形に合わせて自分で判断しお太鼓を作る必要があります
ちなみに、それぞれの目安は・・・・

  帯幅は15cm-20cm

 お太鼓は30cm(正方形)~ やや縦長

  たれの長さは7cm-10cm



帯幅)

帯幅は15-20cmになっていますが、15cmは名古屋帯やとても小柄な体形の場合、19-20cmは振袖で帯揚げが「いりく」の場合や粋に着たい時などかなり限定的です
となると、16-18cmが一般的な帯幅と考えて良いと思います。
帯幅を比較すると、狭いとすっきり若々しい印象、広いとエレガントで落ち着いた印象になっています。
全体的なバランスを考えると、小柄な方は15-16cm、高身長の方は17-18cm位を目安にするとよさそうですね

(身長156cm前後の場合)


(身長170cm前後の場合)




お太鼓の大きさ)

お太鼓も同様で、体形によって大きさを考えます
一般的には正方形と言われていますが、高身長の方が正方形のお太鼓だと、やや寂しい印象になってしまいます
せっかくの綺麗な帯柄も見せたいので、身長によってはお太鼓は少し大きめがよいかもしれません

(身長156cm前後の場合)


(身長170cm前後の場合)




たれの長さ)

お太鼓のたれの長さは7-10cm位が目安になっています
ただ10cmはかなり長い印象になってしまうので、7-9cmくらいがバランス的には良いかな・・と思います。
体型やお太鼓の大きさからバランスを見て長さを考えます
たれが短いとすっきりした印象、たれが長いと存在感のある印象になっていますね。
たまに「お太鼓は大きく作ってください」と頼まれることもありますので、そういう時には長めにつくると良いかもしれません

(身長156cm前後の場合)


(身長170cm前後の場合)



着付けながら、定規で

「何センチ~

と測る事はなかなか面倒なので、人差し指を使用すると便利です
大体、6cm~8cm位の方が多いと思います。
一度、自分の人差し指の長さを測って、長さを決める時の目安にするとよいかもしれませんね


こういっては何ですが、お太鼓全体の印象は「お好み」なんです
「大きなお太鼓が好き」「長いたれが好き」「足長にしたいから帯は高め」「帯幅は広めがいい」・・・・

なんて、お客様のご要望をいただく事もあります
一方で、お着物に詳しくないお客様もたくさんいらっしゃいますので、個々の体型や雰囲気にあったベストバランスを考えなければなりません。

ただ、黒留袖や年配のお客様に帯を高い位置に結んだり、逆にお振袖のお嬢様に低い位置に帯を結ぶのはNGです
また、小柄な方に広い帯幅・大きなお太鼓、高身長な方に狭い帯幅・小さなお太鼓も全体のバランスが悪くなってしまいます。
守らなければいけないバランスについて、しっかり把握しておく事が大事だと思います


次回は ~帯 後編~に続きます。
内容はお太鼓を綺麗に結ぶポイントの予定です



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着付け技術 その6 ~コーリンベルト編~

2020-05-05 18:16:27 | 着付け技術
緊急事態宣言がやはり延長になりました
ある程度予想はしていましたが、今の生活がもう少し続く事になりそうですね

来月に解除されることになっても今までの生活が完全に戻るわけではないので、お仕事の方法も工夫をしなければ・・・
感染状況が落ち着くまでは仕事も慎重に進めていこうと考えています
コロナ流行下でのお仕事についての注意事項をまとめていますが、かなり細かい内容になりそうです


さて、今回の内容はちょっぴり地味な縁の下の力持ち

「コーリンベルト

着付け道具の1つですが、大昔にはなかった一品です
和装小物屋のコーリンという会社さんが作ったベルトで今では、殆どのレンタル着物にもついてくる優れものです

コーリンベルトは長襦袢の襟合わせに使う事もあるようですが、私自身は着物部分にだけに使用しています
自分の体に対して長襦袢の幅が合わない時などは、コーリンベルトを使用することで襟が開くことを防ぐことができますね

着物に使うメリットは・・・

 重ね襟や比翼がずれるのを防ぐ

 着物の襟が浮くのを防ぐ

 おはしょりが重なるのを防ぐ

もちろん、コーリンベルトを使用しなくても、着付けは問題なくできますよ(「着物 襟合わせ編」 参照)
ただ、ポイントを押さえながらコーリンベルトを使用する事で、より安定した着付けを行うことができるんです


さて、コーリンベルトの使用方法は何となくわかっている方は多いと思いますが、上手に使用することでさらに効果が出ますよ
一方で間違った使い方をすると、かえって仕上がりが悪くなる事もありますので、是非参考にしてくださいね


コーリンベルトには使用する順番があります




調整機能の無い方を最初に留めて、調整機能のある方を最後に留めます
その順番で留めないとベルトの長さを直したい時に、調整部分が着物の中に入ってしまって修正がしずらくなってしまいます
留める順番は守ったほうが良いですね



 きつくし過ぎない

ベルトがきついと時間の経過と共に、ベルトに引っ張られた着物がかぶさってきてしまい襟が詰まってしまいます
やや「緩い?」位の長さで留めるのが〇
ベルトの長さは体の幅の1.5倍位の長さが目安になります



 留める位置は伊達締めの下線から.3分の1くらいまでの位置




位置が高いと肋骨や胸にあたって痛くなる原因になります
伊達締めの上にのせることで体に当たることを防いでくれます。
また、高すぎると帯から出てしまったり、帯揚げを入れる時に邪魔になるので注意しましょう



 金具を水平に留める




金具が傾いていると、変な方向に引っ張られてしまいます
より安定した効果を出す為に平行に留めましょう



 左右の金具は同じ高さ




左右の高さがずれていると襟が曲がってしまう原因になります
半襟が左右同じになるためには、金具の位置は同じ高さにしましょう



 コーリンベㇽトを利用しておはしょりを綺麗にする




下前のおはしょりを折り上げて、コーリンベルトの金具で抑えましょう
そのまま下前のおはしょりをはさみながら、コーリンベルトを後ろに回して上前のおはしょりだけ残るようにします。
下前は右脇に向かって斜めに折っておくと、おはしょりはスッキリ、右脇で前と後ろのおはしょりがうまく合体できます



 胸紐はコーリンベルトのすぐ上で結ぶ




コーリンベルトと胸紐の距離が近いと、コーリンベルトが固定され襟が浮くのを防いでくれます
距離が遠いと、その部分が動いて襟が浮く原因となってしまいます



 襟が浮いた時に修正できる




襟が浮いたときに左右の金具を下に押してあげると、襟元がすっきりします



 重ね襟や比翼を抑える




コーリンベルトの金具で留める事で飛び出したりズレたりすることを防ぐ事ができます
重ね襟や比翼を着物よりちょっとだけ強めに引いてから金具を止めると、緩みにくくなりますよ


何となく使用しているコーリンベルトですが、是非より効果的な使い方をしてみてくださいね

次は ~帯 前編~ の予定です




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着付け技術 その5 ~おはしょり編~

2020-05-02 10:46:19 | 着付け技術
5月に入りました~
なかなか外出できない日々ですが、買い物や散歩の時に見かける草花がホント綺麗
風も柔らかくて家の窓全開でも、心地が良いです
こんな時でも春っていいですね~


さてさて、着付け技術ブログをちまちま書いていますが、裾合わせ、襟合わせの次はいよいよ

「おはしょり」

一般的におはしょりの長さは帯の下から5-8cmと言われています
身長、年齢、お着物の種類、お好みなどからおはしょりの長さを選ぶ必要があります

 身長が低めの方は短め、身長が高めの方は長め
 若い方は短め、年配の方は長め
 足長に見せたい場合は短め、お腹の出っ張りが気になる人は長め

など、様々なケースで長さの選び方は異なってきます

おはしょりの長さでかなり雰囲気が異なりますので、お客様に合った長さを選ぶことが重要です
短めだと若々しく今風な雰囲気、長めだと上品で落ち着いた雰囲気になりますね


(身長156㎝前後、帯幅16cm)






(身長170cm前後、帯幅17.5cm)*着物が短いので、衽線は合っていません







おはしょりの長さは帯を結んだ時の幅をイメージして調整をします
帯をのせても、手幅で確認しても大丈夫です




おはしょりは帯を結んだ後に・・・

「長すぎた~」「短すぎた~

と計算ミスが起きやすい部分です
この場合、修正する技術を考えると

短いおはしょりを長くするのは「簡単」 ※下に引けば長くなる
長いおはしょりを短くするのは「大変

という事から、おはしょりはやや短めに設定しておくと、後々修正しやすくなりますよ
もちろん、最初から長さが合っている事が一番です

裾合わせ編でも書かせていただきましたが、身長に対して着物が短くどうしてもおはしょりが出ない場合は、腰紐を腰骨ギリギリの最も低い位置で結ぶことがポイントです


さらに、おはしょりと裾の衽線(おくみせん)があっていればベストです
ただ、どんなお着物でも衽線が合う訳ではありません
体形に全くサイズがあっていないお着物の場合は、衽線は合わないので諦めましょう(笑)




また、おはしょりがたるんでいたりシワがあるときは、帯下の中心から両手の人差し指を入れて左右に引いてあげると綺麗になりますよ




おはしょりの最難関は、右脇での前のおはしょりと後ろのおはしょりの合体部分です
背中から持ってきたおはしょりの余分な部分を、上側にできたポケットの中にきっちりしまい込んで、綺麗にしてあげると良いですよ




前側のおはしょりの長さを調整し、前と後ろのおはしょりの長さを合わせて、お互いをしっかりかみ合わせる事が重要です




お着物のサイズによっては綺麗に合わない事もありますが、脇まで意識をして着付ける事で、どんな方角から見ても美しい着付けとなります


お着物着付けは難しい部分が多く、美しい着付けのハードルはなかなか高いと思います
相手の体形やお着物によっては上手くいかない事も多いのですが、しっかりポイント抑えながら着付けてみてくださいね






次回は ~コーリベルト編~ の予定です




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着付け技術 その4 ~お着物 襟(えり)合わせ編~

2020-04-28 20:22:09 | 着付け技術
いよいよゴールデンウィークですね
今年のゴールデンウィークは残念ながらstay homeですが、家で出来る事を楽しみましょう

長期休みという事もあり安易に始めた着付け技術ブログですが、予想以上に大掛かりになってしまいました
当初は3回くらいで終わるつもりだったのですが・・・・
友人に指摘されて自分の「凝り性」の性格を思い出しました(笑)
ゴールはまだまだ先ですが、最後まで頑張ります


さてさて、お着物編の続きになります

今回の内容は、裾(すそ) 合わせの次に行う

「襟(えり) 合わせ」

これは、「長襦袢編」でも書かせていただきましたが、

半襟をどのくらい見せるのかイメージしながら着付ける事が大切です
一般的に言われている半襟幅は、

 振袖は2-3cm   ※着付け技能検定では2-.2.5cmとなっていますが、最近は大きく襟を出す傾向になってきています

 留袖・訪問着などは1.5-2cm





ただ、半襟幅は年齢やTPOで多少動きがっても良いと思います
お客様によってお好みが出る部分でもありますので、大きく外れていなければ問題はありません。
半襟が多く出ていると若々しく華やかな印象、半襟が少なめだと控えめで落ち着いた印象になります
叙勲の留袖着付けでは「半襟幅は1cm」と言われる場合もあるようです






着物の襟幅は左右同じになるように、幅と角度を気を付けましょう





襟合わせの時に便利なのが

「コーリンベルト」

これを発明した人はすごい
今では、レンタル着物にも殆ど入っている必須アイテムです。
コーリンベルトを使わなくても着付けに問題はありませんが、比翼や半襟がずれない為には使用したほうが安心ですね
また、大きく動いた時に襟が浮くのも防いでくれます




コーリンベルトについては、次回改めて紹介させていただきたいと思っています

コーリンベルトがない場合は、襟先を長襦袢の伊達締めに挟むことによって胸元が安定します。
ただ、安定感の面ではコーリンベルト有りに比べて少し劣るかもしれませんね
他にも下前と上前の両方のおはしょりを下におろした後に、下前だけ持ち上げて安定させる方法もあるようです





襟合わせが決まったら、コーリンベルトの上に胸紐を締めて背中側に回ります
長襦袢の時と同じ方法で背中のシワを綺麗に伸ばしましょう




背中のシワを伸ばすときは、両手の人差し指を中心の上から入れて外側に引くと綺麗になりますよ





シワを伸ばしたら、帯幅をイメージしながらおはしょりの長さを調整し、コーリンベルトかクリップで抑えておきましょう





次に仕上げたいのがお胸部分になります
お胸部分にシワやたるみがあると、せっかく仕上げた綺麗な襟も台無しになってしまいます
こちらも長襦袢と同じ方法で行います。




ただお着物は長襦袢と違って腰紐を結んだ後の作業なので、下前のお胸を綺麗にする時は上前の下から手を入れて布地を引くようにしましょう





脇や胸部分にシワが多いとスッキリしない仕上がりになってしまいます
できれば、タックをとって余計な部分を中に入れ込むと綺麗な仕上がりになりますよ







ただ、このタックはどんなに動いても、長時間ずっと美しいままかといえば、残念ながら「NO」なんです
大きく動いたり、手を上に思いきり上げたりするとタックは多少崩れてしまいますね
美しい着付けのまま過ごすには、やはりおしとやかな所作は重要です


この時点で、長襦袢の袖付けと着物の袖付けの長さをしっかり揃えておきましょう。
仕上がり時に長襦袢と着物の袖の振りの長さが合わなくなることを防いでくれますよ




前側のおはしょりの長さを調整して、伊達締めを結べばOKです
おはしょりの詳細については、次回の「おはしょり編」に続きます




襟元は、お着物全体の雰囲気を大きく変えてしまうとても重要な部分です
お着物の種類やTPO、お客様の年齢にふさわしい襟合わせを目指しましょう



次回は ~着物 おはしょり編~ の予定です




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着付け技術 その3 ~お着物 裾(すそ)合わせ編~

2020-04-24 18:20:18 | 着付け技術
緊急事態宣言が出てから2週間
自粛生活は慣れてきたものの、5/6まではまだまだ先が長いです~
延長も考えられるし、過ごし方の工夫も必要かもしれませんね
徐々にのんびり生活に馴染んできましたが、仕事が戻ってきた時の為に体力維持しなきゃと思っています


さてさて、今回の内容はいよいよ着物編です
注意ポイント多いので数回に分けさせていただきますね

今までの内容も含めて、自装や他装の着付けが出来る人向けになっていますので、着付け手順については細かく書いていませんがお許しください
美しく着る為のポイントについての内容に絞って書いています

また、今後説明の中で、部位ごとに「〇〇センチ」と出てくることがありますが、あくまでも一般的な目安で絶対ではありません
大幅に外れてしまうのは問題がありますが、固定観念に縛られ過ぎても着る方の好みに合わなかったり、アンバランスな仕上がりになってしまう事があるので注意しましょう
体のサイズやその人の好み、TPO、流行など、基準通りに着付ける事が合わない場合もありますので、常に「美しいバランス」を研究、着付けを行う事が重要だと思っています。

着付け技術のうちの1つと思って参考にしていただければ幸いです


まずお着物の着付けの大事なポイントは3つ

 裾(すそ)合わせ

 襟(えり)合わせ

 おはしょり

この3か所を抑えれば、それなりの仕上がりになると思います
しかし、この3か所がなかなか美しく出来ないので皆さんお困りなのだと思います


最初に準備するのは、お着物に重ね襟をつけておく事です
写真のようにクリップで留めても、着物に縫い付けておいても、どちらでも問題ありません。
ただ、必ず5㎜~1センチ程度、着物より内側に控えさせておくことが重要になります。
重ね襟をつけない場合は、襟幅を半分に折って、クリップを留めておけば準備OKです




着物を羽織らせ、衣紋がずれないようにクリップで留め、長襦袢の袖を着物の袖の中に通したら、いよいよ着物の着付け開始です





いざ着物を羽織らせるとよく起きる問題があります
長襦袢を着せた時には襟が綺麗なのに、着物を羽織らせた後に襟元が浮く事はありませんか?
それは、着物をかぶせた時の重みで長襦袢の衣紋が前に押される事が原因です




どんなにそーっとお着物を羽織らせても、長襦袢の襟はどうしても浮きがちです
解決法は、着物を羽織らせた後に長襦袢の左右の襟先を引いて、浮きを無くす事です。
前回のブログでも紹介させていただきましたが、強く引き過ぎると、衣紋が詰まってしまうので、片手で衣紋がつまらないように抑えながらもう一方の手で襟の方向が変わらないように引く事がポイントです




よく、レンタル着物や譲られたお着物で長襦袢のサイズが大きい時など、長くて余った部分を伊達締めの中に収める事があります。
その場合は下から襟をうまく引けないので、伊達締めの上の身八つ口から手を入れて引いてあげると良いですね
ただ、そのやり方だとどうしても脇の部分が出てきてしまうので、伊達締めの下からたるんだ部分を引いて元通りに綺麗にしておきましょう。
長襦袢の脇の部分がたるんだままだと、最終的に着物の袖の振りの長さと合わなくなってしまう原因になりますので気を付けてくださいね




それでもスッキリしない時は、もう一度着物の下から手を入れて、背中側の胸紐の下の部分を放射線状に下に引きましょう (※長襦袢編参照)




着物を羽織らせた後に、まず行うのが

「裾(すそ)合わせ」

一番大事なのは、「裾の長さ」になります。
基本は「床すれすれ」と言われていますが、個人的には「床すれすれ」はスタジオ撮影の時のみで、お出かけの時はかかとの真ん中位を目安にしています

なぜなら・・・長時間のお出かけでは立ち座り、車の乗り降り、トイレなどで知らずに裾を引いていて少しずつ長くなってしまう事があります
長くなった裾を踏んでしまうと、さらに長くなってしまうという悪循環に・・・

日頃お着物に慣れていないお客様に着付ける時など、裾が長くなってしまうと気にもなるし不安にさせてしまいます
お茶会でお座敷に上がったり、入学、卒園式などでスリッパに履き替えるケースも多いので、

「本日はお草履を脱がれる事はありますか?お履きになられたままですか?」

とお伺いしてから、裾の長さを調整すれば適切な長さに仕上げてあげられると思います。
お茶会のように立ち座りの多い場合などはかなり短めでも良いと思いますが、一般的にはかかとの真ん中位が見栄え的にはよいかもしれません


お着物を羽織らせた後に、床に残っている着物の長さを見て、このお着物がお客様に対して長いのか短いのか判断することが出来ます。
30センチ位残っていれば、問題なく着付けることが出来ます
残りが少ないとおはしょりが短くなってしまう可能性がありますので、腰紐の位置を調整する必要が出てきますね




腰紐の位置は「腰骨の上」と言われていますが、個人的には腰骨より少し上のウエストが始まるあたりを狙う事が多いです
体形にもよりますが、腰紐を低く締め過ぎてしまうと帯の下から出てしまい、おはしょりに影響が出てしまう場合があります
おはしょりを綺麗に仕上げる為には、腰紐はできるだけ帯の中に隠れる位置に結んであげると良いですね
また、紐が体に食い込むことを防ぐために、補正タオルの上にのる位置で結ぶようにしましょう

腰紐の位置は高いと着物の余りは少なくなり、低いと着物が多く余ります。
ですので、お客様に対しお着物が短い場合、腰紐はできるだけ低く締める事がポイントです




また、お着物の裾は「下がすぼまっている方が美しい」といわれています。
下がすぼまっていないと、後ろから見た時に上から下まで同じ幅になってしまい、太ったように見えてしまうんです




裾合わせの時に、襟先(えりさき)をウエストに向かって差し込むイメージで着付けると裾がすぼまった仕上がりになります。
下前の脇線が右足の親指と人差し指の間にくるように合わせると、ちょうど良いすぼまり具合になりますよ




どうしても上手くすぼまらない場合は、着る人の左側の身八つ口から手を入れて、下前の褄先(つまさき)が上がるように引き上げましょう
強く引き過ぎると、しぼまり過ぎたり下前にシワができたりするので、片手で腰紐を抑えながら下前の脇線を確認して引く強さや方向を決める事が大切です




褄先(つまさき)の上げ方の目安は

「上前の褄先は床から4-5cm、下前の褄先は床から7-8cm」説
「上前の褄先は床から7-8cm、下前の褄先は床から15cm」説

があるようです
以前は、上前の褄先が大きく上がっていると

「粋でいいね~

なんて言われる事も・・・
最近はどちらかといえば地面に平行気味が主流になっているようです
ただ、本当に平行にしてしまうと少し前かがみになっただけで褄先が下がってきてしまうので、適度に上がっていた方がよいと思います
ちなみに私自身は、上前の褄先は4-5cmで仕上げるようにしています (下前は脇線のあたりで7-8cm位)

フォーマル着物は平行気味、カジュアル着物は上げ気味など、お着物の雰囲気で褄先の上げ方を変えてもよいかもしれませんね





もう1つ、ポイントになるのが「背縫い(背中心)」の位置です
基本は「体の真ん中」に来るのが  なのですが、大柄な方やレンタルなど自分の体に着物が合っていないと、背縫い(背中心)は左右にずれてしまうんです
体に対し幅の狭い着物の場合は、背縫い(背中心)を真ん中にすると前幅が合わなくなってしまいますので無理に合わせる必要はありません

一方で、サイズは合わなくても幅の広い着物は背縫い(背中心)を真ん中にする事は可能です




以前ブログにも書いたことがあるのでご参考に・・・・

→ 背中心についてのブログ



脇線だけを見て裾を合わせると、背縫い(背中心)は左右どちらかにずれてしまいがちです
背縫い(背中心)を真ん中に合わせてから、あまった部分を脇にしまい込むと上手くいきますよ(ただ、これは少々技術が必要




この技術は、練習あるのみ
人によっては、背縫い(背中心)がずれていると・・・

「下手な着付け師さん

と思ってしまう方も中にはいらっしゃいますので、できるだけ体の真ん中にくるように仕上げた方が良いかもしれないですね



裾の長さや合わせ方が決まりましたら腰紐をしっかり締めましょう
この紐が緩いと、立ち座りや裾を踏んでしまった時に、ズルッと下がってきてしまいますので、きつめに結ぶことがとても重要です
目安は腰ひもをしめて、指が1本入る位。下から着物を引いて動かないか確認しましょう
きつく締めるのは腰の部分のみで、胸のお紐は少し緩めでも大丈夫ですよ



腰紐を結んだら、後ろに回ってお尻部分のシワを左右に伸ばしてあげる事をお忘れなく


腰紐はともて重要な場所なので、しっかり締めなければなりません
ただ、きつく締めすぎると「苦しい~」となってしまいます
「苦しくない」 そして 「着崩れない」 のストライクゾーンはそれほど広くありません。

もし「苦しい」となった場合は、少しだけ腰紐を緩めてあげた上で

「最後まで苦しい場合は言ってください

とお伝えして、先に進めても良いと思います。
なぜかというと、最初は苦しく感じていても紐が徐々に体や補正のタオルに馴染んできて、時間の経過と共に苦しさが軽減されていくことが多いんです
殆どの方が、最後に苦しさを確認すると

「あれ?今は大丈夫です

と言ってくださります

それでも、苦しさの感じ方は人によって異なり、どんなに紐を緩めても「苦しい」と言われ続ける事があります
その場合は、限界ギリギリまで緩めてあげた後に、着崩れない所作や注意点、最悪裾が下がってきてしまう可能性についてしっかり説明してあげると良いですね

着崩れない限界を知るには、数多くの経験を積んで学んでいくしか方法はありません
特に七五三のお子様の苦しさのストライクゾーンはと~っても狭い上、動きも激しく着崩れやすいので、どこまで締めたら大丈夫か・・・の感覚を習得するまでひたすら経験を積み重ねる事が大切になります


次回の ~お着物 襟(えり)合わせ編~ に続きます



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着付け技術 その2 ~長襦袢編~

2020-04-19 18:28:58 | 着付け技術
自粛生活10日超えました
段々、この生活に馴染んできたものの、まだまだ先は長いですね~
5/6になって、まだ感染拡大が収まらず、自粛延期~なんて事も十分考えられるので、ある程度は覚悟しなきゃです
とはいえ、大事なお休みなので、できるだけダラダラ過ごさないようにしたいと思っています。(ボーっとしちゃうことも多々ありますが・・・

テレビはコロナ関連のニュースが多く、バラエティやドラマも撮影が進まないのか再放送が増えていますね
そんな中、ホッコリはまっているのがNHK深夜ドラマの「いいね!光源氏くん」

平安時代の光源氏が現代にタイムスリップして、初めて見る世界に驚き、嬉しい時にはつい「歌を詠んでしまう」というコメディドラマです
主役お二人のやりとりのテンポが良く、クスっと笑ってしまう可愛い内容です
大変な時こそ、笑いって大事ですね


さてさて、前回補正について書かせていただきましたが、次に行うのが長襦袢の着付けになります

上から着物を着てしまう為、襟がチョコっとしか見えないので・・

 たかが長襦袢

と思いがちですが、大間違い 

長襦袢の着付けは、その後の仕上がりに大きな影響を与える大事な作業です

着物全体の中で重要な裏方の役割を果たしていますよ


長襦袢の着付けで大事なのは、

 衣紋と襟合わせ


「衣紋が抜けなくて詰まってしまう~

自装の着付け初心者あるあるですね


衣紋は男性や子供(13才まで)は抜かず、13歳以上の女性が抜く事が一般的です。
江戸時代に日本髪が流行り、首元の大きく張り出した髪の部位が乱れたり、鬢付け油が着物に付く事を避けるために衣紋を抜くようになったといわれています。

その為、現在のお着物は衣紋が抜けるような作りになっているんです

それでも、どうしても詰まってしまうのは、

襟合わせの時に余裕がなく力が入っていたり、襟を綺麗にしようと下に引き過ぎてしまっている事が原因です
抜いた衣紋が詰まらないようにするには、肩に力を入れず

 襟合わせは優しくゆったり

を意識すると良いですね

衣紋がどうしても詰まりやすい人は「衣紋抜き」を長襦袢に付けておくと抜きやすくなると思います




他にも、短い布やゴムを背中に縫い付けて作った手作り簡易衣紋抜きでも十分有効です




これはあくまで自装の場合で、他装の場合はお客様がお持ちの長襦袢を使うので、衣紋抜きに頼らない技術が必要です


さて衣紋で大事な事は

 抜く大きさ

になります。
抜く大きさで、お着物全体の雰囲気が大きく変わってしまいます
着物の種類やTPOで抜き方を変える事が多いのですが、小さく抜くと清楚で控えめな印象、大きく抜くと華やかでエレガントな印象となります

華やかさや色っぽさが必要な夜のお商売の方は大きく、学生さんの卒業式やお茶会、喪服などでは小さく抜く傾向にあります。
花嫁様の白無垢や打掛もかなりがっつり抜いていますね

また髪形によっても違いがあり、下に大きくボリュームを作るスタイルの場合は大きめの衣紋が合っています。




基本的には「こぶし一つ分」が一般的な抜き方になりますが、ケースバイケースで抜きの大きさをコントロールすることが重要になります





次に重要なのが、「襟合わせ」になります
2枚の襟合わせを比べると、雰囲気がだいぶ違いませんか?




一般的に若いお嬢様のお振袖や花嫁様の襟は深く合わせて、大きく半襟を出します。
一方でミセスや年配になってくると、襟合わせはやや鋭角になり、半襟も控えめに変化していきます。
夜のお商売の方は 襟元も大きめにゆったり合わせて、お色気を出している事が多いですね

襟合わせひとつで、お着物全体の雰囲気が変わってきますので、自分がどのような襟の形にしたいのか、きちんと考えてから着付ける事が重要です


襟合わせが決まったら、後ろに回って背中側を綺麗にします
背中側のシワを外側に伸ばした後に胸紐の下の布地を放射線状に下に向かって引いてあげると衣紋が綺麗に抜けて、襟もピタッと体につくので必ず行うようにしましょう




前に戻って、胸や脇のシワを綺麗に伸ばしてあげましょう
胸紐の下の布地を襟と同じ方向に少しずつ下に向かって優しく引いてあげると胸まわりが綺麗になります
引く角度を間違うと、せっかく決まった襟の形が崩れてしまうので、方向を気にしながら行うと良いですね




また強く引き過ぎると、せっかく抜いた衣紋が詰まってしまうので、片手で衣紋がつまらないように抑えながらもう一方の手で引く事がポイントです
着付けの最中に襟元が乱れたり、フカフカ浮いてしまった時に襟先を引く事で修正ができるのですが、その時にもこの手法を必ず使いましょう





たるんだ部分を伊達締めの中にしまって完了~
長襦袢の裾の長さが長い時も、調整後に余った部分は伊達締めの中にスッキリおさめましょう。





もう一つ気を付けていただきたいのが、左右の襟の角度です
左右の襟の角度が異なると、お着物を着た時に半襟の出方が左右で違って美しくないので、気を付けてくださいね





最後に、長襦袢の上に着物を着た時に・・・

「半襟が上手く出ないんです~

という悩みを聞く事があります

半襟が出ない理由は色々とあると思いますが・・・
衣紋の抜き方と半襟の出方は連動していると考えると良いと思います

標準的な衣紋




大きな衣紋 → 襟の角度が広くなり、背中心からの距離も長いので半襟を広く大きく出しやすい (振袖、花嫁様がこのタイプ)




詰まっている衣紋 → 襟の角度が狭くなり、背中心からの距離が短いので半襟を出しにくい




理想的な衣紋の抜き方を心がけると、半襟も出やすくなるかもしれませんね

他に半襟が出にくい理由として考えられるのが・・・

 着物の襟合わせが深すぎて、半襟が隠れてしまう
 着物に付けたコーリンベルトがきつすぎて、着物の襟がかぶってきてしまう
 着物の襟を合わせる事に必死で、半襟の出方まで確認できていない
 体つきが猫背や肩が内側に入っている事で、着物の襟がかぶってきてしまう
 首周りが華奢で補正が足りない

着物の襟合わせは角度を意識しながら着付ける事がとても重要です



首の後ろから少しづつ半襟を出すイメージで着物をのせると半襟が出やすくなりますよ





自装と他装のポイントがミックスした内容になっていますが、どちらにも共通する点が多いので、長襦袢着付けの参考にしていただければ幸いです
次回は~お着物編~を予定しています (ポイントが多すぎて、内容をまとめるのが大変 気長にお待ちください




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