花*小紋日記

出張着付師kyoさんの奮闘記

着付け技術 その4 ~お着物 襟(えり)合わせ編~

2020-04-28 20:22:09 | 着付け技術
いよいよゴールデンウィークですね
今年のゴールデンウィークは残念ながらstay homeですが、家で出来る事を楽しみましょう

長期休みという事もあり安易に始めた着付け技術ブログですが、予想以上に大掛かりになってしまいました
当初は3回くらいで終わるつもりだったのですが・・・・
友人に指摘されて自分の「凝り性」の性格を思い出しました(笑)
ゴールはまだまだ先ですが、最後まで頑張ります


さてさて、お着物編の続きになります

今回の内容は、裾(すそ) 合わせの次に行う

「襟(えり) 合わせ」

これは、「長襦袢編」でも書かせていただきましたが、

半襟をどのくらい見せるのかイメージしながら着付ける事が大切です
一般的に言われている半襟幅は、

 振袖は2-3cm   ※着付け技能検定では2-.2.5cmとなっていますが、最近は大きく襟を出す傾向になってきています

 留袖・訪問着などは1.5-2cm





ただ、半襟幅は年齢やTPOで多少動きがっても良いと思います
お客様によってお好みが出る部分でもありますので、大きく外れていなければ問題はありません。
半襟が多く出ていると若々しく華やかな印象、半襟が少なめだと控えめで落ち着いた印象になります
叙勲の留袖着付けでは「半襟幅は1cm」と言われる場合もあるようです






着物の襟幅は左右同じになるように、幅と角度を気を付けましょう





襟合わせの時に便利なのが

「コーリンベルト」

これを発明した人はすごい
今では、レンタル着物にも殆ど入っている必須アイテムです。
コーリンベルトを使わなくても着付けに問題はありませんが、比翼や半襟がずれない為には使用したほうが安心ですね
また、大きく動いた時に襟が浮くのも防いでくれます




コーリンベルトについては、次回改めて紹介させていただきたいと思っています

コーリンベルトがない場合は、襟先を長襦袢の伊達締めに挟むことによって胸元が安定します。
ただ、安定感の面ではコーリンベルト有りに比べて少し劣るかもしれませんね
他にも下前と上前の両方のおはしょりを下におろした後に、下前だけ持ち上げて安定させる方法もあるようです





襟合わせが決まったら、コーリンベルトの上に胸紐を締めて背中側に回ります
長襦袢の時と同じ方法で背中のシワを綺麗に伸ばしましょう




背中のシワを伸ばすときは、両手の人差し指を中心の上から入れて外側に引くと綺麗になりますよ





シワを伸ばしたら、帯幅をイメージしながらおはしょりの長さを調整し、コーリンベルトかクリップで抑えておきましょう





次に仕上げたいのがお胸部分になります
お胸部分にシワやたるみがあると、せっかく仕上げた綺麗な襟も台無しになってしまいます
こちらも長襦袢と同じ方法で行います。




ただお着物は長襦袢と違って腰紐を結んだ後の作業なので、下前のお胸を綺麗にする時は上前の下から手を入れて布地を引くようにしましょう





脇や胸部分にシワが多いとスッキリしない仕上がりになってしまいます
できれば、タックをとって余計な部分を中に入れ込むと綺麗な仕上がりになりますよ







ただ、このタックはどんなに動いても、長時間ずっと美しいままかといえば、残念ながら「NO」なんです
大きく動いたり、手を上に思いきり上げたりするとタックは多少崩れてしまいますね
美しい着付けのまま過ごすには、やはりおしとやかな所作は重要です


この時点で、長襦袢の袖付けと着物の袖付けの長さをしっかり揃えておきましょう。
仕上がり時に長襦袢と着物の袖の振りの長さが合わなくなることを防いでくれますよ




前側のおはしょりの長さを調整して、伊達締めを結べばOKです
おはしょりの詳細については、次回の「おはしょり編」に続きます




襟元は、お着物全体の雰囲気を大きく変えてしまうとても重要な部分です
お着物の種類やTPO、お客様の年齢にふさわしい襟合わせを目指しましょう



次回は ~着物 おはしょり編~ の予定です




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着付け技術 その3 ~お着物 裾(すそ)合わせ編~

2020-04-24 18:20:18 | 着付け技術
緊急事態宣言が出てから2週間
自粛生活は慣れてきたものの、5/6まではまだまだ先が長いです~
延長も考えられるし、過ごし方の工夫も必要かもしれませんね
徐々にのんびり生活に馴染んできましたが、仕事が戻ってきた時の為に体力維持しなきゃと思っています


さてさて、今回の内容はいよいよ着物編です
注意ポイント多いので数回に分けさせていただきますね

今までの内容も含めて、自装や他装の着付けが出来る人向けになっていますので、着付け手順については細かく書いていませんがお許しください
美しく着る為のポイントについての内容に絞って書いています

また、今後説明の中で、部位ごとに「〇〇センチ」と出てくることがありますが、あくまでも一般的な目安で絶対ではありません
大幅に外れてしまうのは問題がありますが、固定観念に縛られ過ぎても着る方の好みに合わなかったり、アンバランスな仕上がりになってしまう事があるので注意しましょう
体のサイズやその人の好み、TPO、流行など、基準通りに着付ける事が合わない場合もありますので、常に「美しいバランス」を研究、着付けを行う事が重要だと思っています。

着付け技術のうちの1つと思って参考にしていただければ幸いです


まずお着物の着付けの大事なポイントは3つ

 裾(すそ)合わせ

 襟(えり)合わせ

 おはしょり

この3か所を抑えれば、それなりの仕上がりになると思います
しかし、この3か所がなかなか美しく出来ないので皆さんお困りなのだと思います


最初に準備するのは、お着物に重ね襟をつけておく事です
写真のようにクリップで留めても、着物に縫い付けておいても、どちらでも問題ありません。
ただ、必ず5㎜~1センチ程度、着物より内側に控えさせておくことが重要になります。
重ね襟をつけない場合は、襟幅を半分に折って、クリップを留めておけば準備OKです




着物を羽織らせ、衣紋がずれないようにクリップで留め、長襦袢の袖を着物の袖の中に通したら、いよいよ着物の着付け開始です





いざ着物を羽織らせるとよく起きる問題があります
長襦袢を着せた時には襟が綺麗なのに、着物を羽織らせた後に襟元が浮く事はありませんか?
それは、着物をかぶせた時の重みで長襦袢の衣紋が前に押される事が原因です




どんなにそーっとお着物を羽織らせても、長襦袢の襟はどうしても浮きがちです
解決法は、着物を羽織らせた後に長襦袢の左右の襟先を引いて、浮きを無くす事です。
前回のブログでも紹介させていただきましたが、強く引き過ぎると、衣紋が詰まってしまうので、片手で衣紋がつまらないように抑えながらもう一方の手で襟の方向が変わらないように引く事がポイントです




よく、レンタル着物や譲られたお着物で長襦袢のサイズが大きい時など、長くて余った部分を伊達締めの中に収める事があります。
その場合は下から襟をうまく引けないので、伊達締めの上の身八つ口から手を入れて引いてあげると良いですね
ただ、そのやり方だとどうしても脇の部分が出てきてしまうので、伊達締めの下からたるんだ部分を引いて元通りに綺麗にしておきましょう。
長襦袢の脇の部分がたるんだままだと、最終的に着物の袖の振りの長さと合わなくなってしまう原因になりますので気を付けてくださいね




それでもスッキリしない時は、もう一度着物の下から手を入れて、背中側の胸紐の下の部分を放射線状に下に引きましょう (※長襦袢編参照)




着物を羽織らせた後に、まず行うのが

「裾(すそ)合わせ」

一番大事なのは、「裾の長さ」になります。
基本は「床すれすれ」と言われていますが、個人的には「床すれすれ」はスタジオ撮影の時のみで、お出かけの時はかかとの真ん中位を目安にしています

なぜなら・・・長時間のお出かけでは立ち座り、車の乗り降り、トイレなどで知らずに裾を引いていて少しずつ長くなってしまう事があります
長くなった裾を踏んでしまうと、さらに長くなってしまうという悪循環に・・・

日頃お着物に慣れていないお客様に着付ける時など、裾が長くなってしまうと気にもなるし不安にさせてしまいます
お茶会でお座敷に上がったり、入学、卒園式などでスリッパに履き替えるケースも多いので、

「本日はお草履を脱がれる事はありますか?お履きになられたままですか?」

とお伺いしてから、裾の長さを調整すれば適切な長さに仕上げてあげられると思います。
お茶会のように立ち座りの多い場合などはかなり短めでも良いと思いますが、一般的にはかかとの真ん中位が見栄え的にはよいかもしれません


お着物を羽織らせた後に、床に残っている着物の長さを見て、このお着物がお客様に対して長いのか短いのか判断することが出来ます。
30センチ位残っていれば、問題なく着付けることが出来ます
残りが少ないとおはしょりが短くなってしまう可能性がありますので、腰紐の位置を調整する必要が出てきますね




腰紐の位置は「腰骨の上」と言われていますが、個人的には腰骨より少し上のウエストが始まるあたりを狙う事が多いです
体形にもよりますが、腰紐を低く締め過ぎてしまうと帯の下から出てしまい、おはしょりに影響が出てしまう場合があります
おはしょりを綺麗に仕上げる為には、腰紐はできるだけ帯の中に隠れる位置に結んであげると良いですね
また、紐が体に食い込むことを防ぐために、補正タオルの上にのる位置で結ぶようにしましょう

腰紐の位置は高いと着物の余りは少なくなり、低いと着物が多く余ります。
ですので、お客様に対しお着物が短い場合、腰紐はできるだけ低く締める事がポイントです




また、お着物の裾は「下がすぼまっている方が美しい」といわれています。
下がすぼまっていないと、後ろから見た時に上から下まで同じ幅になってしまい、太ったように見えてしまうんです




裾合わせの時に、襟先(えりさき)をウエストに向かって差し込むイメージで着付けると裾がすぼまった仕上がりになります。
下前の脇線が右足の親指と人差し指の間にくるように合わせると、ちょうど良いすぼまり具合になりますよ




どうしても上手くすぼまらない場合は、着る人の左側の身八つ口から手を入れて、下前の褄先(つまさき)が上がるように引き上げましょう
強く引き過ぎると、しぼまり過ぎたり下前にシワができたりするので、片手で腰紐を抑えながら下前の脇線を確認して引く強さや方向を決める事が大切です




褄先(つまさき)の上げ方の目安は

「上前の褄先は床から4-5cm、下前の褄先は床から7-8cm」説
「上前の褄先は床から7-8cm、下前の褄先は床から15cm」説

があるようです
以前は、上前の褄先が大きく上がっていると

「粋でいいね~

なんて言われる事も・・・
最近はどちらかといえば地面に平行気味が主流になっているようです
ただ、本当に平行にしてしまうと少し前かがみになっただけで褄先が下がってきてしまうので、適度に上がっていた方がよいと思います
ちなみに私自身は、上前の褄先は4-5cmで仕上げるようにしています (下前は脇線のあたりで7-8cm位)

フォーマル着物は平行気味、カジュアル着物は上げ気味など、お着物の雰囲気で褄先の上げ方を変えてもよいかもしれませんね





もう1つ、ポイントになるのが「背縫い(背中心)」の位置です
基本は「体の真ん中」に来るのが  なのですが、大柄な方やレンタルなど自分の体に着物が合っていないと、背縫い(背中心)は左右にずれてしまうんです
体に対し幅の狭い着物の場合は、背縫い(背中心)を真ん中にすると前幅が合わなくなってしまいますので無理に合わせる必要はありません

一方で、サイズは合わなくても幅の広い着物は背縫い(背中心)を真ん中にする事は可能です




以前ブログにも書いたことがあるのでご参考に・・・・

→ 背中心についてのブログ



脇線だけを見て裾を合わせると、背縫い(背中心)は左右どちらかにずれてしまいがちです
背縫い(背中心)を真ん中に合わせてから、あまった部分を脇にしまい込むと上手くいきますよ(ただ、これは少々技術が必要




この技術は、練習あるのみ
人によっては、背縫い(背中心)がずれていると・・・

「下手な着付け師さん

と思ってしまう方も中にはいらっしゃいますので、できるだけ体の真ん中にくるように仕上げた方が良いかもしれないですね



裾の長さや合わせ方が決まりましたら腰紐をしっかり締めましょう
この紐が緩いと、立ち座りや裾を踏んでしまった時に、ズルッと下がってきてしまいますので、きつめに結ぶことがとても重要です
目安は腰ひもをしめて、指が1本入る位。下から着物を引いて動かないか確認しましょう
きつく締めるのは腰の部分のみで、胸のお紐は少し緩めでも大丈夫ですよ



腰紐を結んだら、後ろに回ってお尻部分のシワを左右に伸ばしてあげる事をお忘れなく


腰紐はともて重要な場所なので、しっかり締めなければなりません
ただ、きつく締めすぎると「苦しい~」となってしまいます
「苦しくない」 そして 「着崩れない」 のストライクゾーンはそれほど広くありません。

もし「苦しい」となった場合は、少しだけ腰紐を緩めてあげた上で

「最後まで苦しい場合は言ってください

とお伝えして、先に進めても良いと思います。
なぜかというと、最初は苦しく感じていても紐が徐々に体や補正のタオルに馴染んできて、時間の経過と共に苦しさが軽減されていくことが多いんです
殆どの方が、最後に苦しさを確認すると

「あれ?今は大丈夫です

と言ってくださります

それでも、苦しさの感じ方は人によって異なり、どんなに紐を緩めても「苦しい」と言われ続ける事があります
その場合は、限界ギリギリまで緩めてあげた後に、着崩れない所作や注意点、最悪裾が下がってきてしまう可能性についてしっかり説明してあげると良いですね

着崩れない限界を知るには、数多くの経験を積んで学んでいくしか方法はありません
特に七五三のお子様の苦しさのストライクゾーンはと~っても狭い上、動きも激しく着崩れやすいので、どこまで締めたら大丈夫か・・・の感覚を習得するまでひたすら経験を積み重ねる事が大切になります


次回の ~お着物 襟(えり)合わせ編~ に続きます



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着付け技術 その2 ~長襦袢編~

2020-04-19 18:28:58 | 着付け技術
自粛生活10日超えました
段々、この生活に馴染んできたものの、まだまだ先は長いですね~
5/6になって、まだ感染拡大が収まらず、自粛延期~なんて事も十分考えられるので、ある程度は覚悟しなきゃです
とはいえ、大事なお休みなので、できるだけダラダラ過ごさないようにしたいと思っています。(ボーっとしちゃうことも多々ありますが・・・

テレビはコロナ関連のニュースが多く、バラエティやドラマも撮影が進まないのか再放送が増えていますね
そんな中、ホッコリはまっているのがNHK深夜ドラマの「いいね!光源氏くん」

平安時代の光源氏が現代にタイムスリップして、初めて見る世界に驚き、嬉しい時にはつい「歌を詠んでしまう」というコメディドラマです
主役お二人のやりとりのテンポが良く、クスっと笑ってしまう可愛い内容です
大変な時こそ、笑いって大事ですね


さてさて、前回補正について書かせていただきましたが、次に行うのが長襦袢の着付けになります

上から着物を着てしまう為、襟がチョコっとしか見えないので・・

 たかが長襦袢

と思いがちですが、大間違い 

長襦袢の着付けは、その後の仕上がりに大きな影響を与える大事な作業です

着物全体の中で重要な裏方の役割を果たしていますよ


長襦袢の着付けで大事なのは、

 衣紋と襟合わせ


「衣紋が抜けなくて詰まってしまう~

自装の着付け初心者あるあるですね


衣紋は男性や子供(13才まで)は抜かず、13歳以上の女性が抜く事が一般的です。
江戸時代に日本髪が流行り、首元の大きく張り出した髪の部位が乱れたり、鬢付け油が着物に付く事を避けるために衣紋を抜くようになったといわれています。

その為、現在のお着物は衣紋が抜けるような作りになっているんです

それでも、どうしても詰まってしまうのは、

襟合わせの時に余裕がなく力が入っていたり、襟を綺麗にしようと下に引き過ぎてしまっている事が原因です
抜いた衣紋が詰まらないようにするには、肩に力を入れず

 襟合わせは優しくゆったり

を意識すると良いですね

衣紋がどうしても詰まりやすい人は「衣紋抜き」を長襦袢に付けておくと抜きやすくなると思います




他にも、短い布やゴムを背中に縫い付けて作った手作り簡易衣紋抜きでも十分有効です




これはあくまで自装の場合で、他装の場合はお客様がお持ちの長襦袢を使うので、衣紋抜きに頼らない技術が必要です


さて衣紋で大事な事は

 抜く大きさ

になります。
抜く大きさで、お着物全体の雰囲気が大きく変わってしまいます
着物の種類やTPOで抜き方を変える事が多いのですが、小さく抜くと清楚で控えめな印象、大きく抜くと華やかでエレガントな印象となります

華やかさや色っぽさが必要な夜のお商売の方は大きく、学生さんの卒業式やお茶会、喪服などでは小さく抜く傾向にあります。
花嫁様の白無垢や打掛もかなりがっつり抜いていますね

また髪形によっても違いがあり、下に大きくボリュームを作るスタイルの場合は大きめの衣紋が合っています。




基本的には「こぶし一つ分」が一般的な抜き方になりますが、ケースバイケースで抜きの大きさをコントロールすることが重要になります





次に重要なのが、「襟合わせ」になります
2枚の襟合わせを比べると、雰囲気がだいぶ違いませんか?




一般的に若いお嬢様のお振袖や花嫁様の襟は深く合わせて、大きく半襟を出します。
一方でミセスや年配になってくると、襟合わせはやや鋭角になり、半襟も控えめに変化していきます。
夜のお商売の方は 襟元も大きめにゆったり合わせて、お色気を出している事が多いですね

襟合わせひとつで、お着物全体の雰囲気が変わってきますので、自分がどのような襟の形にしたいのか、きちんと考えてから着付ける事が重要です


襟合わせが決まったら、後ろに回って背中側を綺麗にします
背中側のシワを外側に伸ばした後に胸紐の下の布地を放射線状に下に向かって引いてあげると衣紋が綺麗に抜けて、襟もピタッと体につくので必ず行うようにしましょう




前に戻って、胸や脇のシワを綺麗に伸ばしてあげましょう
胸紐の下の布地を襟と同じ方向に少しずつ下に向かって優しく引いてあげると胸まわりが綺麗になります
引く角度を間違うと、せっかく決まった襟の形が崩れてしまうので、方向を気にしながら行うと良いですね




また強く引き過ぎると、せっかく抜いた衣紋が詰まってしまうので、片手で衣紋がつまらないように抑えながらもう一方の手で引く事がポイントです
着付けの最中に襟元が乱れたり、フカフカ浮いてしまった時に襟先を引く事で修正ができるのですが、その時にもこの手法を必ず使いましょう





たるんだ部分を伊達締めの中にしまって完了~
長襦袢の裾の長さが長い時も、調整後に余った部分は伊達締めの中にスッキリおさめましょう。





もう一つ気を付けていただきたいのが、左右の襟の角度です
左右の襟の角度が異なると、お着物を着た時に半襟の出方が左右で違って美しくないので、気を付けてくださいね





最後に、長襦袢の上に着物を着た時に・・・

「半襟が上手く出ないんです~

という悩みを聞く事があります

半襟が出ない理由は色々とあると思いますが・・・
衣紋の抜き方と半襟の出方は連動していると考えると良いと思います

標準的な衣紋




大きな衣紋 → 襟の角度が広くなり、背中心からの距離も長いので半襟を広く大きく出しやすい (振袖、花嫁様がこのタイプ)




詰まっている衣紋 → 襟の角度が狭くなり、背中心からの距離が短いので半襟を出しにくい




理想的な衣紋の抜き方を心がけると、半襟も出やすくなるかもしれませんね

他に半襟が出にくい理由として考えられるのが・・・

 着物の襟合わせが深すぎて、半襟が隠れてしまう
 着物に付けたコーリンベルトがきつすぎて、着物の襟がかぶってきてしまう
 着物の襟を合わせる事に必死で、半襟の出方まで確認できていない
 体つきが猫背や肩が内側に入っている事で、着物の襟がかぶってきてしまう
 首周りが華奢で補正が足りない

着物の襟合わせは角度を意識しながら着付ける事がとても重要です



首の後ろから少しづつ半襟を出すイメージで着物をのせると半襟が出やすくなりますよ





自装と他装のポイントがミックスした内容になっていますが、どちらにも共通する点が多いので、長襦袢着付けの参考にしていただければ幸いです
次回は~お着物編~を予定しています (ポイントが多すぎて、内容をまとめるのが大変 気長にお待ちください




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着付け技術 その1 ~補正編~ 

2020-04-16 10:55:21 | 着付け技術
緊急事態宣言からstay home 生活が続いています
皆様、いかがお過ごしでしょうか?

私自身は買い物と散歩の30分-1時間以外はがっつりstay home
人と会う割合ばっちり80%減

さすがに運動不足にならないように、きちんとラジオ体操や柔軟体操、せっかくなのでこのお休み中に体を柔らかくしようと・・・

「どんなに体がかたい人でもベターっと開脚できるようになるすごい方法」

のストレッチをチョコっとお試し中
この1か月で少しでも体が柔らかくなるとよいのですが・・・・

さてさて、せっかくの貴重なお休みなので、着付け技術について少しまとめてみることに
大して参考になるほどのものではありませんが、少しでも自装や他装の参考になればと思ってます

本当はYouTubeみたいな動画のほうがわかりやすいかもしれませんが、そこまでの撮影技術やSNSスキルはないもので・・・

第1回目は基本中の基本「体の補正編」です






この2枚の写真、着付けの違いがわかりますか?
左側の着付けは時々お見かけしますね
どこかが大きく間違っている訳ではありませんが、なんだかスッキリしていない気がしませんか?


原因は・・・

「シワ・たるみ」

決してお顔の話ではありませんが・・・
以前、通っていた着付けの大先生がよくおっしゃっていた言葉が

「シワは顔だけにしなさいっっ


着物についても、お顔と同じようにシワとたるみは大敵です
このボディちゃんは、わりと着せやすいので、シワシワに着付けるのが難しかったのですが・・・
シワ・たるみの無い右側の仕上げのほうが、すっきり美しく見えますね


さて、着付けのシワやたるみはなぜ起こるのか?
もちろん、着付け中の技術の未熟さからくる部分もありますが、大きな原因は

「補正」と「引き」


人の体は凹凸があり、その凹凸にそのまま着物を乗せると当然へこみ、その部分にシワができてしまうんです
その為にとても重要になってくるのが

「体の補正」

使用するのは温泉や年始挨拶等でいただくような細長いフェイスタオルが最適。
そして、医療用などでも売っているカットされていない、大きなコットンやガーゼ。
これらは着付け師さん達の必須アイテムにですね




タオルを体に巻いたり、コットンを使いやすい大きさにカットして体にペタペタ貼って、体の凹凸をなくすことが補正です

ところが、人の体つきは千差万別
同じ補正の仕方では、余計な部分が厚くなったり、足りなかったりと綺麗に凹凸をなくすことができません

その人の体にあった補正をしてあげる事が、とても大事な作業になります
実は、着付けの中で一番難しいのが補正かもしれません。
そして、着付け教室や着付け師さんによって、補正の方法も様々で「補正の正解」というものはありません

ベーシックな補正はあるので、それを活かして、自分の感覚でプラスマイナスしていく必要があるんですね。


まず最初に行うのが、腰回りの補正です
女性はどうしてもウエストがくびれています
くびれたまま何も補正しないで着せると、仕上がりが「X」になってしまって違和感がでてしまいます。
着付けで目指すのは「I」、いわゆるくびれの無い「ずん胴」が〇。

そして、もう1つ補正で埋めたいのが

 腰からお尻にかけての凹み

お尻の上の部分が大きく凹んでいると、そこにたるみがでてしまうので、補正で埋める必要があります
凹みの大きさは、人によって異なるので、タオルの枚数や形、重ね方を組み合わせて、ウエストからお尻の出ている所が平らになるように調整しなければなりません。



凹みの大きさは人によって異なるので、タオルを追加して乗せたり、コットンをプラスしたりして厚みを出します。
下の補正は超凹みのある腰の場合ですので、ここまで盛る事はそれほど多くはありません。
ただ、若いお嬢様達はかなりスリムですので、がっつり補正しなければいけないケースはありますね

補正をした時点で凹んでいたら、着付け後時間が経過すると間違いなくシワやたるみが出てきますので、補正は少なすぎない事が大事です

1点気をつけたいのが、お尻の補正の長さです
成人式の振袖撮影のように見た目の美しさ重視で短時間の場合は、とにかく補正で綺麗に仕上げる事が一番
一方で結婚式や七五三などトイレに頻繁に行くようなケースでは、縦長の補正は裾をまくり上げたり下ろしたりした時に付けたタオルやコットンが外れてしまったり、落ちたりしてしまう心配があります
それは困ってしまいますので、お尻の膨らみにかからない位の長さでとどめて、しっかり紐で抑えておく事が大切です





次に大事な部分がお胸部分になります
お着物は「鳩胸」体形が良いといわれていますが、まさにそれは正解

鎖骨周辺に凹みが少なく、全体に厚みがある方はとてもキレイな仕上がりになります
「鳩胸」を目指すべく、タオルとコットンを使用して

滑らかで美しいお胸作り

を目指します

出っ張りも大敵なので、お胸の大きい方はガーゼでぐるぐる巻いてお胸をつぶさせていただくこともあります。
昔の人がお胸に「さらし」を巻いていたのもの納得です。

よくお見掛けするベーシックなお胸の補正(わかりやすく緑色のタオルを使用してます



とても細身の方には有効です
ただ、タオルは厚みが調整しにくいので、余計な部分が厚くなってしまったり、逆に足りない部分もあるので、よほと華奢なお客様でなければこのタオル補正は私自身ははあまり使用しません。

日頃、メインに使用しているのはコットンになります。
コットンは肌なじみが良いのと、割くことで厚みの微妙な調整が可能となります
ただ、糸くずが舞うので、アレルギー性鼻炎のお客様には時々くしゃみをさせてしましいますが・・・



この補正はお胸周りがマックスに細い方用なので、コットンモリモリになっています
実際には、それぞれの体の凹凸に合わせて、乗せる部位を選択しながらコットンをのせています。
人によって凹凸が違うので「正解」がないのが難しい所ですが、ここは経験の積み重ねしかないかもしれませんね。
意外と有効なのが「青」の部分の小さな補正 ここが足りないと肩の真ん中にシワが出やすいので、プラスしてあげると効果的です
また、背中が大きく凹んでいる場合も、背中の中心にコットンをのせます。

補正後は、長襦袢で上から押さえつけて固定しますが、長襦袢で押さえつける自信がなければ、体の形にカットしたガーゼを肩からペロンとお胸に乗せて安定させてもよいと思います。




自装の場合はなかなか補正が難しいので、自分用の「補正着」があると便利ですよ(ガーゼやコットンで作れるし、市販のものもあります)




胸もお尻も補正は

 平らではなく少しだけふっくらさせる

ことが大事。
ただ、凹みを気にしすぎて、タオルやコットンを入れすぎるとプロレスラーみたいにマッチョになってしまうので要注意です




ほどよく、品よく、美しく仕上げる事がポイントですね

ただ、中には

「補正をしないでほしい

と言われるお客様もいらっしゃいますので、そこは臨機応変に対応しなければなりません


そして、補正が綺麗に出来ていれば、シワができがないか・・というと

「NO 


もう一つ大事なのは、布地をしっかり引いてシワを取りながら進める事。
シワができそうな、胸、お尻、おはしょり部分はしっかり布地を引かないと、最初の写真の左側ようなシワやたるみの多い仕上がりになってしまいます
特に「おはしょり」部分については前も後ろ(振袖の場合)も体の中心から人差し指を帯下から差し込んで左右の外側に向かって滑らせながら、布地を引いて綺麗に伸ばしてあげてくださいね





シワやたるみは、補正や引きが足りない時に起こる

「足りま線

なんです

「足りま線」があちこちに出ないように、しっかり補正&引きを行って、美しい仕上がりを目指しましょう



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お休み中。

2020-04-09 21:50:34 | 仕事
緊急事態宣言が出て、2日

その割に、国や自治体の方向性が定まらず、なんだかな~という感じ
判断に困っている会社やお店や、個人の方々がきっとたくさんいらっしゃる思います
今回の件で、健康の安全面と経済面のバランスってホント難しいんだと痛感させられました
ただ中途半端な宣言だと、なんだかこのままズルズル長引いてしまいそうで、ちょっぴり不安ですね。

何が正しいかは別として、今一番大事なのは早くコロナを収束させる為に、皆が協力する事かな~と思います

さてさて、緊急事態宣言が出たあとの入学式や結婚式のお仕事はもちろんキャンセルや延期になりました
それまでは学校や園もかなり工夫されていて

 式を校庭で行ったり
 親だけ別室で式の様子をモニターで見たり
 参加者は保護者1名に絞ったり
 席を1mずつ離して設置したり

何とか無事に、お式が出来た学校や園もあったのは本当に良かったです。
こんな時期でも、お子様のお祝いの行事に参加したいのが親心ですね

ご依頼されたお客様の元へ電車利用もしましたが、普段よりはかなり混雑具合が緩和されていたように感じます。
空気の悪い地下鉄は心配していましたが、窓が開いて換気してあったり、鉄道会社も考えているようでした

それでも、混んでる電車は席は殆ど埋まっているし、隣の乗客との距離も近いし、中には遠慮なく咳している人もいるし・・・・で不安材料は盛りだくさん
こんな時期でもどうしてもお仕事で電車利用をしなければいけない人の不安感は大きいですよね
どうにかならないものか・・と思ってしまいます。

スタジオのお仕事の方も、スタジオが一定期間休業になったので、なんとなんとなんと2週間以上お休みです
2週間以上お休みをいただくのは、10年以上ぶり

仕事は大好きなので、お休みなのは寂しい一方で、せっかくなので何をしよう・・・・と考えてます
もちろん、自粛中なので家で出来る事を検討してます。

早速、本日は・・・・・掃除と昼寝
スタートしたばかりですから、まずは日頃を疲れを癒そうと、ひたすら家でゆっくりしちゃいました
おかげで、人と会う事80%減成功(笑)

明日からは、家の中で色々取り組んでみようかな・・・と思ってます
取り組んだ事を、ブログで発信していけるよう頑張りま~す。

皆様も不自由な事も多いと思いますが、お互い健康第一で乗り切っていきたいですね
お仕事がお休み出来ない方や、電車通勤していらっしゃる方は、お体にくれぐれもお気をつけ下さい



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