花*小紋日記

出張着付師kyoさんの奮闘記

土台が大事。

2018-11-28 13:43:14 | 着付け技術
11月も残り僅か・・・
9月から続いていた七五三のお仕事の山場をようやく過ぎました
今年も色々な事がありましたが、無事に終了できたことが何よりです
とはいえ、残りの七五三のお客様や結婚式のお仕事は12月中旬まで続きます。
七五三のお仕事が終わると1年も終わる・・・というのが毎年の流れですが、まだまだ油断せずに頑張ります


さてさて、先日お世話になっているスタジオ様にご訪問した時の事です

その日、ご依頼を受けていたのは7才のお嬢様のお支度のみ
そこのスタジオ様は、土日祝日はご予約が多く時間が取れない関係からお母様のお支度は美容室で済ませてきてもらっているとのお話でした。

お嬢様のお着付けが順調に進み、後少しで終了・・・という頃にお支度が終了したお母様が到着されたのですが・・・

入ってきた着物姿のお母様に皆の視線が・・・・




どうしちゃったんでしょうか~~~~~
胸元はグズグズ、帯は下がり、おはしょりはヨレヨレ
あれ???美容室じゃなくて、自分で着てきちゃったのかしら???
そんな思いが渦巻く中・・・


そばにいらっしゃった祖母様が一言


「あれま~・・・・なんだか、ばぁば(お身内)が着付けたみたい。それで撮影するの~???


お迎えになったスタジオのスタッフさんも、「これで撮影して良いものか・・・」とお困り顔


多少着崩れているくらいであれば、撮影中少し見栄えが良くなるように、体裁を整えることはできるのですが、一定ラインを越えてしまった着崩れについては修正が出来ません

お母様はさほど気にされていない様子でしたが、祖母様がどうしても納得行かないご様子
スタジオ様とご相談して、有料でもよければというお話をさせていただき、急遽最初から着付け直させていただく事になりました。


「どんな着付けをされているのかな~」 


怖い物見たさの好奇心からワクワクしながら脱がしていくと、摩訶不思議な着付け行程が発覚

補正のタオルに腰紐2本???
長襦袢の上に、補正パッド???
刺繍半襟を重ね襟として使用???


どこで着付けを学んだのかな~ 見たことのない着付け状況になっていました

無事に着付け直しが終了すると、祖母様が・・・

「そうそう。これでようやく安心できたわ

ホッとしたご様子。そして無事に撮影スタジオに向かわれていきました


今回のように「見てビックリ」の仕上がりは時々お見掛けするんです。
特に、「母(またはご親戚や友人)に着せてもらいます」という場合に多いパターン。

そして、時々お客様からご相談いただくのが

「帯だけやってもらえませんか?」
「最後の手直しだけお願いできますか?」

という、途中交代のご要望です


このようなご要望については、基本は「NO」とさせて頂いております


なぜなら・・・・

グズグズな状況の着付けを途中の帯から引き継いでも、仕上がりはかなり残念なものになってしまうんです

もし着くずれが発生し、お客様の着付けが原因で起こったとしても、途中から引き継いだ事で責任も感じてしまいます

「最後の手直し」についても同様です

表面だけ、取り繕ってもキープできるのは一瞬だけです。
修正できるのは・・・

帯揚げを綺麗にする
帯締めをしっかり結び直す
おはしょりを整える
帯の形を整える

などの表面の簡単なお直し程度です。


着付けで大事なのは「土台」なんです


建築物も基礎がきちんと作られてないと、地震で崩れてしまうのと同じ
手抜き工事で表面だけ綺麗にペンキで塗り上げたところで、すぐにボロが出てしまうんですね


着物も同様で、1工程1工程の丁寧な積み重ねで、きちんとした仕上がりになるので、表面だけ直したところで動くとすぐに着崩れてきてしまいます
可能なのはスタジオですぐに撮影して終了~という状況のみ、その瞬間だけ綺麗に見れるように多少取り繕えるかな・・・位かもしれません。

そんなこんなで、「帯のみ」「仕上げのみ」のような途中交代については、責任が取れないことから基本的にはお受けしていません、お許しくださいませ

経費節減で身内や友人に着付けを頼みたいけれど「大丈夫かな~」と少しでもご心配な時は、まずはご相談ください


本日のお写真は七五三の7才さん。
お母様が着られたという鮮やかで爽やかな青いお着物が素敵
斜めフワフワのヘアがとってもお似合いでした~
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柔軟。

2018-11-20 17:23:36 | 仕事
秋も深まり、街中の木々の色づきが美しい季節となりました
気が付けば、今年も残り1か月半 
1年が早過ぎて、気持ちがついていっていませんが・・・・

大忙しの七五三シーズンもいよいよ後半戦。
仕事が一段落するまでもう一息・・・まだまだ体調を崩さないように気をつけなければ・・・

といいながら・・・実は現在リハビリ中なんです

8月のある日、車の運転席から後部座席に置いてある荷物を取ろうとしたところ、左腕に「ピキッ」という痛みと違和感が・・・・

「何かやってしまった~

という感覚はありましたが、日常生活に大きな支障があるほどの痛みではありません。
ただ、ハンドルの切り替えしや洋服の着替えの時に「ピリピリッ」と激痛が走る感じ

2か所ほど整形外科や治療院で診察してもらうものの、なかなか腕をピンポイント直してくれそうな所がなかったので、ネット検索してたどり着いたのが

「スポーツ整形」

スポーツ選手ってよくじん帯の怪我をして治療しているイメージがあったので、これは良いかもとすぐに診察に行くことに・・・


入り口を入ると今までの病院とは全く違う雰囲気にまずびっくり
スタッフさんは皆ポロシャツ姿、ものすごい広いリハビリ室に治療ベッドが20台くらいありそう

診察もレントゲンはもちろん、痛みのある腕がどこまで動くのかという「可動域」計測データを細かく取っていました

診断名は

「左肩関節周囲炎」


「リハビリをしながら経過を見ていきましょう~

という事になりました。


忙しい中、週1回のリハビリはなかなか大変ですが、治すために頑張らないと

この怪我はすぐに治るタイプではなく、数か月から長いと1年くらいかけて少しづつリハビリで可動域を広げながら直していくしかないらしいです

幸い、仕事の動きでは痛みが出ない領域なのが助かりました。
体の他の部分も硬くなっているようなので、腕が治ったらヨガでもやろうかな~~


そういえば・・・いつもお仕事をお願いしているヘアメイクさんからのお話。
若いヘアメイクさんの多くは「ナイトヘア」といって、夜の商売をされている女性のヘアを行う仕事をされています

そのヘアメイクさんもいくつかのお店に仕事でご訪問したそうですが、一番大変だったのが・・・・


「熟女キャバクラ 」  (魅惑的な響き・・・)


何が大変かというと・・・


「仕上がりに対するこだわりが強い」そうなんです


自分の似合うものに対するイメージが固定しすぎていて、今の時代にはちょっと・・・というヘアをお好みの場合も多いそうです。
また、お客様なりの人にはわからない強いこだわりがあるらしいのですが、何を要望しているのかなかなか掴みきれないそうです

確かに・・・なんとな~くわかるかも

20代 若いので素直で柔軟
30代-40前半 子育てで手いっぱい。自分の事は二の次になってしまう時期
40代後半-60代 子どもも手を離れ、余裕もできて、再び自分に関心出てくる頃 + 経験の積み重ねから自分の好きなものも決まってくる
70代~ 髪が少なくなったり短くされてしまったりしているので、「できる範囲で綺麗に」という要望に変化

という傾向があるかもしれません
もちろん、人による部分もありますので、あくまで比率的なものですが・・・

私も、「こだわり世代」に突入しているので、若い人から

「kyoさん、こだわり強いから面倒だよね~っっっっ

と言われないように気を付けなければ・・・・。

「体」も「心」も柔軟が大事って事ですね


今日のお写真は可愛い七五三の姉弟さんです。
お姉ちゃんが3才の時も訪問しているので、すっかりお姉さんらしくなった着物姿に感動です
日本髪がとってもお似合いでした
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レンタル着物の落とし穴 ((+_+))

2018-11-05 18:38:04 | 七五三
七五三シーズンがピークを迎えています
今年のシーズンは天気が良く、雨に悩まされないのがありがたい
安心してお客様を送り出すことができています

さてさて、七五三のこの時期、お客様からのご相談の中で多いのが・・・・


「着物の小物が足りません」
「髪飾りをレンタルしたいです」
「肩上げが出来ていません」
「腰上げは必要ですか?」
「半襟がついていません」


など・・・お着物に関する内容が多いですね。
日頃、お着物を着られないお客様からすれば、着物の小物もわからない、肩上げって何?腰上げって何?っていう状況だと思います
その都度、丁寧にご説明させていただき、足りない小物についてはレンタルさせていただいております。

最近では「お着物は全てレンタルしてます」というお客様も多くみられます
一度しか着ないお客様であれば、小物が全部揃っているレンタル着物を利用するのは楽チンでお勧めです

ネットで「レンタル着物」と検索するとた~くさんのレンタル会社さんと可愛いお着物が出てきます
その中から好きなお着物を選ばれるのも、楽しい準備ですね

しかし・・・「レンタル着物」にも落とし穴があるので注意が必要です


先日お客様から・・・

「昨日、子供のレンタル着物が届いたのですが、着物すごく大きくないですか???

とお写真付きのメールが届きました


お写真を見ると確かにお着物が大きい
細部までよくよく見ると「肩上げ」ができていない状況でした

私の今までの経験では、

レンタル会社さんの七五三の着物は標準サイズで「肩上げ」をされており、何もしなくてもすぐに着ることができる

のがスタンダード
肩上げしないで送ってくるレンタル会社さんなんてあるのか・・・と不思議に思い、お客様に確認すると・・・・


説明書に「肩上げはされていませんので、お客様の方で行ってください」との記載があるとの事

お着物をレンタルされるお客様は「お着物がわからない」からこそレンタルするのに、お客様に丸投げするとは・・・・

案の定、お客様はお困りになっていたので、当日の担当スタッフさんが、その場で簡単に肩上げして対応することになりました
今回は、撮影やご祈祷のご予約が入っていなかったので時間に余裕がありましたが、すぐ後に予定が入っていたら・・・
当日肩上げに時間を取られてしまい、仕上げ時間が予定より遅くなってしまいます

着物レンタルにこんな落とし穴があったとは

お客様がおっしゃるには

「届いた着物は着古した状況で、小さなシミがあるわシワシワだわ、付属の髪飾りは「ちんちくりん(笑)」だわ、と全てが微妙

教えていただいたレンタル会社さんのHPを見ると、とーーっても素敵な可愛いページなだけに、利用してみないとわからないものですね

多分、七五三繁忙期でレンタル会社さんも忙しく、別のお客様から返却されてきた着物をメンテナンスする時間もなく、すぐに次のお客様に送ってしまった結果・・・
だとは思いますが、大事な七五三によれよれの着物なのはひどい

HPでどこまで見抜けるかは難しい部分はありますが、最低限「肩上げ」ができている会社を選ばれる事をお勧めしています
お子様の身長によっては多少袖が長い、短いという問題はあるかもしれませんが、そこは仕方がない部分だと思います。

もちろん、お母様や祖母様がお裁縫がお得意であれば、「肩上げ」してないレンタル着物でお子様のサイズに合わせて、肩上げしてもらえばOKです

「肩上げ」「腰上げ」についてわからない・・というお客様もいらっしゃいますので、お写真でご説明させていただきますね
ちなみに、必要なのはお子様のお着物だけで、大人の着物は行わなくて大丈夫です。


肩上げとは・・・

① お着物の背中から袖先までの長さを測ります。
② お子様の片手の長さを測ります。(手を飛行機のように横に伸ばし、首の根元の骨の出ている所から手首が隠れる所まで)
③ ①-②の差を計算します。
④ 計算した長さの半分の長さを肩の中心部分でつまんで前から後ろに向けて(前の袖付け当たりから後ろの袖付けあたりまで)1本縫いつけます。
⑤ 左右同じ場所、同じ長さで肩上げをすればOKです。
⑥ 7才は長襦袢と着物の2枚(5才男の子は羽織を入れた3枚、3才女の子は必要があれば被布も)行います。
※7才の着物と5才の羽織は一番最後に羽織るので、縫い目は目立たないように表面に出る糸は少なく縫いましょう。それ以外の長襦袢や5才着物、3才着物は上から羽織や被布を着て隠れてしまうので、縫い目は大きくても大丈夫です




腰上げとは・・・

お子様の身長に合わせて、お着物の丈の長い部分を腰のところにタックをとって縫い付けることで短く調整する作業です。
3才お子様は苦しさや着崩れ防止になるので、やっておいた方がお勧めです。
7才お子様は腰上げはしなくても大丈夫です。(施してもよいですが、おはしょりが長くなったり、もたついたりしやすいので、腰上げではなくお紐で調整したほうが見栄え的には綺麗ですね)




肩上げ、腰上げについてはネットてもやり方の詳細がいっぱい出ていますので、是非検索してみてください

「肩上げ」の動画は → こちら

「腰上げ」の動画は → こちら


七五三はわからないことも多い上、準備も大変なので、余裕をもったスケジュールでご用意して下さいね
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