花*小紋日記

出張着付師kyoさんの奮闘記

カチカチのアイス。

2017-11-23 19:14:07 | 七五三
11月も終盤となり、七五三シーズンもいよいよ後半戦
今週は駆け込みの七五三のお客様が多く、平日も朝から七五三のお仕事に励んでいます

そして、ようやくようやくようやく、今シーズンの七五三のお客様の資料作成が終了しました
8月から毎日資料を作り続け、4か月間かけて全てが片付きました。長かったです~
しかし、日々の疲労が蓄積していたのもあり、お仕事先から風邪菌をもらってしまい、先週は体調大崩れしてしまいました

久しぶりに悪寒と全身筋肉痛であわや「インフルエンザ????」との心配もあり、翌日の仕事を控え・・・

このまま起き上がれなくなったらどうしよう~

とドキドキしましたが、翌日にはなんとか回復
無事に仕事を終えることができました。

危なったです~

12月まで、まだまだ七五三は続くので、体調を崩さないよう頑張らないと


さてさて、七五三のお仕事はとーーーーっても楽しく大好きです
お肌ポッチャポチャの可愛い3才さん、元気いっぱい表情も面白い5才さん、ちょっぴり大人な表情を見せるお年頃の7才さん。
毎日、様々な個性のお子様にお会いする事ができてとっても刺激的


しかし、着付け師さんの中には七五三のお仕事は「苦手」と思っている人も多いようです
お子様のお仕度は大人と違って言う通りにはなってくれませんからね

七五三のお仕度のポイントはずばり

「寄り添う」

事だと思っています

私自身でいえば、スタジオと個人のお客様合せて、1年で200人以上のお子様を見ています
その経験値と元々持ちえた直観力もあるのか、お子様と会ってちょっと様子をみるだけで、その子がいまどう感じているかわかってしまいます

最初からやる気満々のお子様はそのまま楽しく進めてしまうだけでOK

しかし、イヤイヤちゃん、ドキドキちゃんとなるとそうはいきません
3才さんに多いのですが、そういう時はじっくりあわてず焦らず対応するようにしています。

先日ご訪問したお客様宅でのこと
事前に打ち合わせの時に、3才のお嬢様がとても人見知りで、お仕度ができるのかお母様がとても心配されていました。
ご訪問すると、緊張した様子のお嬢様

なるほどなるほど知らないおばちゃんが来るだけで緊張してしまいますよね

そういう時にまず行うのが、心の距離を縮めることです
これは本当に難しい。
ぐいぐい攻めても引かれるし、こちらからいかないと距離は縮まりません。

お母様のお仕度中に、無理のない範囲で好きなアンパンマンの話でちょっとずつ近づいていきました
ご自宅という事もあり、徐々にお嬢様の顔から緊張感が消え、笑顔が増えていきます。

笑顔を見せてくれるのは心を許してくれているってことですね

しかし、まだまだ道のりは長い・・・・
お嬢様のヘアと着付けが待っています

まずはヘアから・・・
お子様の椅子の隣にお母様の椅子を用意して座ってもらってから、

「ママと遊びながら可愛くなろうね~

と軽く誘うとスムーズに椅子に座ってくれました。
しかし、ちょっぴり緊張顔。
それでも、最後まで頑張ってくれました

これなら大丈夫

と思った矢先、着物を着る段階になると

「着ない~~~

と泣き顔に・・・・

ここで、絶対やってはいけない事。

「せかす」「叱る」「おどす」

「早く着なさい」「どうして着ないの」「おいていっちゃうよ」などなど・・・

親御さんの気持ちもわかりますが、お子様は心の中で戦っているんですね

「着たくない。でも着なきゃいけない」って3歳でもわかっているんです


思春期の子が宿題をやろうと思った矢先に「宿題をやりなさい」と言われてイラっとするイメージですかね


ここで大事なのが冒頭で書いた「心に寄り添う」事です
まずは着物とお友達になってもらうような遊びを入れてみました。

好きなキャラクターを選んでもらって、そのキャラクターの声を代弁するふりをして
「○○ちゃんの可愛い着物姿みたいな~」「着物で一緒に出掛けたいな~」・・・
もちろん、それですぐに着てくれるほど、甘くはありません

次に小さなお人形を着物の袖に通して「トンネル通りま~す」と出たり入ったりさせてみたり・・・
袖から出てきたお人形を触ってもらって、そのまま腕を袖を通せれば成功でしたが、そこまではいかず

隣の部屋に行ってしまったお嬢様からは心の葛藤をしている様子が見られました

そこで、お母様に今後の進め方について相談。
もし時間ぎりぎりまで着なかったら、泣いてでも無理に着せる方法がありますが、その場合はすぐに出発するのが鉄則
外に出ることで一気に気分が変わるから、立ち直りやすいんですね
しかし、しっかり意思をもったお子様には逆効果の場合もあるので、慎重に行う必要があります。


とりあえず、会計も先に済ませてご両親に出発準備をしてもらいました。


その数分間がお嬢様のクールダウンになったのか、

「着物を着てお出かけしようか」と声をかけると、嘘のようにすんなり応じてくれました

もちろん、本人なりにドキドキと戦っているのがわかるので、着物は3枚重ねて一気着せ
これも鉄則です
3才お被布は長じゅばん、着物、被布の3回も袖を通すのですが、3回ドキドキさせることはNG。1回で済ませてあげるのです。

最後にはにこにこ笑顔で「行くよ~」とノリノリで出発していったのでした

お仕度を嫌がるお子様の心はカチカチに凍ったアイスと同じです
冷やしてもスプーンは入っていきません。
ゆっくり温めてあげると、じわーっと溶けて、スプーンがすーーーーっと入っていくことができるようになります。


慌てず焦らず、お子様の心に寄り添って温めてあげることで、お子様の心を溶かせるのだと思います
3才さんは見かけは幼くても意思も自尊心もしっかり持っています。
そんなお子様の成長をゆっくり見守ってほしいですね。

でも、時間もあるし焦るご両親のお気持ちも痛いほどわかります・・・
ただ、七五三の特別な日はお子様も緊張やプレッシャーが小さな心に負担になっているので、その日だけはおおらかに見守ってあげてくださいね

本日のお写真は、爽やかで凛々しい5歳さん。
着付けの時もしっかり直立。とても立派でした~
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キャンセルポリシー。

2017-11-09 21:17:10 | 七五三
11月に入りました~

前回のブログで記載した「耳の不調」は無事に回復しました
ご心配おかけいたしました

数日は不調が続き、「これは治らないかも・・・」と不安もありましたが、体調のせいか薬のおかげかすっかり元に戻りました
しかし、また再発しないかというドキドキもありますので、無理せず過ごすように心がけています


11月に入ってから、10月の天気の悪さが嘘のような秋晴れの毎日
10月は雨続きではありましたが、キャンセルされるお客様は想像以上に少なく、皆様お着物でお出かけされて行かれました
幸い、予想より天気が崩れなかった日もあり、「雨にあわずに済みました」というご報告もあり一安心。


よくお客様に

「雨の時、皆さんどうしていますか?」

と聞かれることがありますが、以前は延期と決行では半々でしたが、ここ最近は雨でも決行されるお客様が多い傾向です。
お客様がおっしゃるには

「またすべて調整すると思うと、仕事もしているし面倒で 延期先が天気かわからないのでやってしまいます

との事でした。
お着物をレンタルしちゃっているので決行するしかない・・というお客様も多いですね。

延期されるお客様は、七五三シーズンは人気で空き日がなかなかないので、平日や午後まで幅を広げてご検討されるとよいと思います

さてさて、先日お客様宅にて
インテリアコーディネーター→税理士になったというすごい経歴のお客様です。

「女性の起業を推進したいんです

という、志がとても勇ましく素敵でした
お互い起業したこともあり、お仕事話で大盛り上がり

お客様から

「花*小紋さんのキャンセルポリシーを見て、今まで色々な経験や苦労をされたのかな~って思っていたんです

「あれだけ、長いキャンセルポリシーなかなかないですよね

・・・・さすが、起業家だけあって着眼点が違いますね~
多分、目を通していないお客様もいっぱいいらっしゃるかも

キャンセルポリシー

私も、ある日お客様から言われて、初めて知った言葉でした。

出張着付けは電車やバスを利用するため、どうしても自然災害に弱い部分があります
万が一に備えて

「お日にちの変更やお洋服に変更できるように準備しておいてください

と記載してあるのですが、お客様から

「キャンセルポリシーが明記してあって、ちゃんとしていると感じ安心しました」

と何回か言われたことがあります。


この表現を明記するようになったのは、東日本大震災がきっかけでした。
未経験の自然災害に世の中は混乱し、多くの電車が運休
どうにも身動きが取れない中、翌日のお客様から

「何とか来てもらえないでしょうか?」

と言われてしまったのです
ある程度の距離であればもちろん徒歩や自転車で行く気はありましたが、その時は20キロ以上。
余震の心配もあり、何時に到着できるかもわからず、電車復旧の目途もたたなかった為、ご訪問が難しいと判断してお客様にご了承いただきました。

しかし、お客様には納得していただいていないと感じ、何となく後味の悪い結末だった記憶があります。

今振り返れば、あの状況でご訪問しなくて正解だったと思っています。
内容がお宮参りで、お着物着ての赤ちゃん連れは余震も多いあの不安定な状況の中では心配だったと思います

それでも、お客様が来てほしいと言われたら歩きでも自転車でもいかなくてはならなかったのかな・・という後悔もありました。

それから「キャンセルについて」を記載するようになったのでした

実は先日、宇都宮線が故障で終日運休になり、まさにそのタイミングで乗車していたスタッフさんが大変な状況になりました。
その日は七五三撮影でしたが、幸い平日という事もあり、午後の撮影に空きがあるとの事で慌てなくても大丈夫との事

しかし・・・・・
電車が動かなくなった駅からお客様宅まで20キロ以上。
路線も少ないエリアで代替経路も無し。
復旧を待ってみるものの、まったく予測不能。
対応策を考え、お客様と相談して車でお迎えに来てもらうことになりました。
片道40分でしたが、道路混雑のないエリアでしたので、無事に明るいうちの撮影に間に合いました

夕方のニュースで、電車が復旧せず、降りて線路を歩いているお客様の映像をみて、あのまま待たずに車で迎えに来てもらってよかったと胸をなでおろしました


何事もなくご訪問できるのが一番ですが、自然災害や電車故障や事故など、さまざまなことがあるので、いざという時にすぐにお洋服に切り替えられるようお願いしております。


七五三シーズンが何事もなく無事にご訪問できますように祈るのみです

本日のお写真は昨シーズンにご訪問した、日本髪の素敵な7才お嬢様
パパさんがカメラマンさんで、ご自身のスタジオでの撮影となりました
髪飾りが豪華で、とてもお似合いでした
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