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花*小紋日記

出張着付師kyoさんの奮闘記

卒業式の母の装い問題。

2025-03-29 17:43:36 | 仕事
3月も残りわずか・・・・
桜も咲き始め、いよいよ春の訪れを感じます
卒業シーズンがようやく終わり、緊張感から解放された反動で抜け殻状態になっております

10-12月の3ヶ月続く七五三シーズンがマラソンだとすると、3月1ヶ月の卒業シーズンは中距離走
実際の中距離走もマラソンと変わらない位ハードなように、卒業シーズンのお仕事はとても過酷です。
毎日9:00台に就寝、夜明け前に出発の日々・・・

とにもかくにも体調を崩すことなく、はれの日のお客様のお支度を無事に終え、お送りできたことが何よりです


さてさて、卒業シーズンにThreadsやXなどのテキスト系SNSでやたら目にしたが・・・

 卒業・入学式に母親が着る服装問題

各々持論を展開し、かなり激しく熱戦が繰り広げられているようです

そもそもの発端は

 子供の行事に親が着飾りすぎるのはどうか?

 着物や洋服のTPOが式に合っていないのでは?

という部分のようです
ざっくりまとめると、

洋服で言えば・・・
コサージュを付けるのは派手過ぎでは?
ジレはカジュアルで式典にマッチしていないのでは?

着物で言えば・・・
小紋はあくまでカジュアル着物なので、式に着ていくのは問題なのでは?


今回は、式におけるお着物について考えてみたいと思います
Threadsで

 小紋の格は洋服でいえば「ジーンズ」なので絶対にです。

という、かなり強い信念をお持ちの方の投稿をお見掛けしました
他の方から

「時代が変わってきているので、多少ルールが緩くなってもよいのでは?」

というコメントがたくさん来ていても

 お子様のお式にジーンズでご列席されるんですか?

と、お式に小紋NGの思いはとてもとても強いようでした


お着物に詳しくない方の為に簡単にご説明しますと・・・
「小紋とは」 着物全体に同じ模様が繰り返し描かれているお着物。普段着なので街着としてカジュアルな場所に着ていきます。
一方で振袖・留袖・訪問着などはフォーマル着物になります。(付け下げ・色無地は少し格が下がります)




↑↑↑ 小紋の着物です。着物全体に同じ柄が施されていますね。(全体が柄々しているお着物です
他にも、一見無地に見える細かい柄の「江戸小紋」などもあります。


しかし、お着物に詳しくない方からすると、小紋がカジュアルという認識がありません
着物ならどれもフォーマルに着ていってもよいという感覚をお持ちの方が多いかもしれませんね。

あくまで個人的な意見にはなりますが・・・
小紋問題は時代と共に変化の時期にきているのではないかと感じています

なぜなら・・・・
ジーンズとフォーマル服の区別は殆どの方ができますが・・・
小紋着物とフォーマル着物を区別出来る人は多くありません

わかるのは着物関係のお仕事に関わっている方、着物愛好者、日頃からお着物を着ている方、博識の方、ご高齢の方くらいかもしれません。
出張着付けでたくさんのご自宅をご訪問していますが、

「着物について全くわかりません

とおっしゃるお客様が多数なんです

つまり・・・
小紋着物=カジュアル
と理解している人が殆どいらっしゃらないのが現状です。

ちょこっと調べてみたところ
訪問着・留袖などというフォーマル着物ができたのが明治~大正時代。
着物の格ができたのが50年ほど前。

という記事をみかけました
着物の格はかなり複雑で、これという決定打があるわけではなさそうです
呉服屋さんが着物を売る際、着物の知識をお持ちで無いお客様に、一定のルールを決める事でわかりやすく安心して買ってもらおうとした事が始まりとか・・・
それほど長い歴史があるわけでもない格を固定化しすぎるのもいかがなものかと考えてしまいました

お客様の中には、お母様から譲られた小紋しかお持ちでない方もたくさんいらっしゃいます。

せっかく引き継がれた着物を着ていきたい思いがあるのに、わざわざお金をかけてレンタルしたり購入してまでフォーマル着物を用意しなければならないのでしょうか?
世間の多くの方が小紋がカジュアルとわからない中で、かなり少数の着物上級者の視線を意識して着られなくてよいのでしょうか?

もう少しだけ大らかに見てあげてもよいのでは???
と思ってしまいます

もちろん、結婚式、お茶会、表彰式など、御呼ばれや相手に失礼があってはいけない場所には、やはりフォーマルなお着物を着ていくべきだと思います
相手に対する礼儀がありますし・・・

一方で卒業・入学・七五三などのお身内の行事であれば、お持ちの好きなお着物で十分だと感じています
お子様のお祝いをする気持ちの方がとても大事。
七五三で親子で可愛い着物を着てお写真を撮ったりお参りしたり、お子様が卒業式で素敵な着物姿のお母様を見て喜んだり・・・

それだけで、微笑ましい幸せな1日ですよね
そこに「小紋で恥ずかしい」「常識が無い」なんて、わざわざ水を差さなくてもよいかな~と
まー、着物に詳しいご親族がいらっしゃる場合は要注意ですが・・・・

ただでさえ、敷居の高い着物の世界
入り口を狭めてしまうと、ますます着物業界は衰退してしまう懸念が・・・
着物を着る機会が少ないのに、せっかく親から譲り受けた小紋の出番がなく、処分されたり売られたりしてしまうのは残念です

最近では、成人式も卒業式も本来のお着物の原型をとどめていない形の物も増えてきています
そこはちょっと行き過ぎを懸念していますが、着物も時代と共に変わっていくものかもしれませんね。

とはいえ、もしこれからお着物をご購入される場合やレンタルされる場合はどのような場に着ていくか考えてから選ばれる事をお勧めしています
世の中には「着物警察」と呼ばれる着物のルールに厳しい方がちょいちょいいらっしゃいますからね

来月は入学シーズンが始まりますが、素敵なお着物姿で自信を持ってご列席してください






花*小紋のインスタグラムは → こちら
素敵なお着物姿がいっぱいです




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