【鬼神】
「鬼」に会うことは祖先に会うこと
と土地の人は言う。
「鬼とは制圧された先住民が山に入り、山霊を身に付けた縄文人の末裔」
と、民俗学者は分類する。
「まつろわぬ民の象徴である」
と支配者は見下す。
「道化荒神」という鬼は、祭りの場に乱入し
子どもたちを追いかけたり
若い女性に抱き着いたりして
場を騒乱の渦に巻き込み、
偉い神たちの権威を失墜させるが
最後は子どもたちとも村人とも仲良くなって、
森へと帰って行く
少し怖いけれど
優しくて気のいい神さまである。
*作品は椎葉栂尾神楽の「鬼神」。36㌢×140㌢(水墨・インク・水性絵具・染料などによるドローイング)
「鬼」には多様な性格と相貌がある。
九州脊梁山地の神楽では「式三番」の神事神楽に続き仮面神の先陣を切って降臨する土地神である。
「猿田彦」の信仰と混交している。
八百万の神々を迎える舞という。