いとしいたべもの 森下 典子
森下さんは 私と同じような世代の方です。従って同じような 食べ物を経験してきています。
メニュウーでは、オムライス、サッパロ一番みそラーメン、カステラ、バーモントカレー、カレーパン、など21種の食べ物について、作者の思い出とともに世相をも加味したエッセイである。 読むうちに、そうだそうだ、私もそうだった、あなたもそうだったのかといった具合に、ス、ス、スと読み進めていってしまう。ああ、あと僅かで残りはこんなに薄くなってしまって、もっと読みたいといった具合でした。まあ、やはりテーマが食だからでしょうか。それにこの方の 文章、とてもやわらかく、気取りが無く、素直で・ ・ ・ 良い事ずくめです。
中でも私が そう私もそうなのですといった題は『端っこの恍惚』 これは焼き鮭の鎌の部分皮の旨さについてです。 『アゴの部分だよ。魚はね、ここが安くて一番美味しいんだよ』 そう言いながら母は、焼けたのを皿に載せた。お裁縫のヘラの裏側ニハ、オレンジ色の身が少し付いていて、あっちからもこっちからも脂がジュウジュウと音をたてていた。 どう目に浮かぶでしょう。そして 思い出すでしょう、あの味を。
もう一つ私もはまった食べ物は、『わが人生のサッポロ一番みそラーメン』 である。学生時代、私も数あるインスタントラーメンの中で、いつも選んでいたのはこの サッポロ一番 でした。 文章の中で、今でもこのラーメンが売り上げ一番、だそうです。 これを読んで、我慢できず早速サッポロ一番を買ってきましたが、何と茹でている時に、電話が入り、出来たのはノビノビ麺でしたが、スープはやはりなつかしのあの味でした。
読んで楽しい本でした!