勇気ってなんだろう 江川 紹子
周囲の眼に惑わされずに、自分の判断に忠実に生きてきた人々の生き様を綴ってあります。 アルピニストの野口健さんは、一度ならず二度もエベレストを眼前にして退却を決心した。その時の多くのスポンサーやマスコミ関係者の期待を背負っての中での決断であった。現役警察官であった仙波敏郎さんは、警察内部での不正を摘発。その中でも退職まで、警察官の仕事に従事。 その他衆議院議員を辞めた山本譲司さん、蓮池透さん、などが記載されている。
そんな中で、一番印象に残ったのは高遠菜穂子さんである。彼女の生い立ちは今まで知らなかったが、裕福な家庭で育ったが学生時代はぐれていたそうだ。 彼女が拘束された時、日本の国会議員(小池百合子)は『無謀、危ないと言われている所にあえて行ったのだから自分自身の責任の部分が大きい。』という発言から、日本中自己責任という言葉が広がり、彼らへのバッシングが渦巻いたようであった。 高藤さんはあの時死ねば良かったとまで思ったそうだ。そんな中、アメリカのパウエル国務長官は『危険な地域に行く人たちが負っているリスクというものを理解すべきである。もし、そういうリスクを負ってくれる人が誰もいなかったら、世界は良くなりません。私は今回、日本の民間人が、あえてリスクを負って大事な使命を果たそうとしたことに感銘を受けました。日本の人たちは、彼らに対し、誇りをもってもらいたい。』と。 彼女が日本に帰国した時に長野でも彼女のイラクの現状報告の講演会がありました。淡々と観てきたことを語る彼女の姿は、ゆるぎない彼女の行き方を示しているようでした。
もう一軒、イスラエルの従軍兵士たちの中からの反論がありました。自分たちの国がそんな国であって欲しくないと。国を守ることから逸脱し、これではパレスチナ人への過剰な暴力であると。