「この歳になると、もう会社の10年後とか、
考えて働く気力がなくなってくるんだよなあ」
私の知り合いの、ある会社の総務部長がそう言いました。
彼は50代半ば。もうあと数年もすれば定年で退職します。
「この歳でこの役職なら、この先の自分のポジションも想像がつくし、
この御時世じゃ、事務系の社員が雇用延長になるはずもない。
『残りの会社員生活を無事平穏に定年まで過ごせれば、まあいいか』、
という気持ちになってくるんだ、この歳になってくると」
バブル崩壊以降、会社への帰属意識が希薄になり、
愛社精神などという言葉はもはや死語となってしまいました。
「会社での先も見えているし、年金がもらえるまで食いつなげればいい」
今後、政府や厚労省が奨励する「定年の延長や廃止」が法的義務となれば、
このように考える無気力な年配社員が、社内に増加するのは明らかです。
「定年の延長や廃止」は、若年者の雇用を妨げるとして議論になります。
厚労省の報告書では、ヨーロッパの施策を例にあげ、
「『定年の引き上げ・下げ』と『若年者雇用』との間には相関関係はない」
としています。
しかし、それ以前に企業の健全な成長を妨げ、
企業活動の活力を落とすことにもなりかねないのではないでしょうか。
また、「少数の若年層が、多数の高齢者を支えることになる」
という、これからやってくる年金制度の問題を、
国はただ単に、民間企業へと押しつけただけのようにも見えます。
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