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イラク国民の憂うつ

2014年06月20日 | 政治
イラク情勢がますますきな臭くなってきた。
単純化して歴史を眺めてみよう。
(「中近東問題の行方」(2011.2.24)と「中東世界で起きている何か」(2011.9.1)も参照下さると有りがたい)

2001年9月11日、アメリカNY同時多発テロが発生した。
米政府の調査により、犯人はイスラム系過激組織アルカイダと判明、ビン・ラディンを主犯格として指名手配した。
当時のイラクはイスラム教スンニ派のフセイン政権下にありアルカイダとの関係も強く、湾岸戦争(1991年)以降米国とは敵対関係にあった。
ブッシュ大統領は、イラクを大量破壊兵器を保有するテロ国家と指定した。
同時多発テロの復讐をすべく米国ブッシュ政権は、2003年国連決議なしでイラク攻撃に踏み切った。
イラク戦争の勃発だ。
結局大量破壊兵器は見つからなかったが、旧体制は崩壊しフセイン大統領は処刑された。
フセイン亡き後の政権は、マリキ政権に移るが、新体制はスンニ派に虐げられていたシーア派であった。
2011年、米国オバマ政権の判断でイラクから米軍は完全撤退した。

イラクには複雑な対立が残されていた。
シーア派とスンニ派の宗派対立。
イラク人とクルド人の民族対立。
そして地下に潜っていたアルカイダの存在である。

アルカイダのなかでもより過激で戦闘的な組織がある。
「イラク・シリア・イスラム国」(ISIS)という武装組織集団だ。
この集団はバグダッドの大学で15年前に修士の学生だった若者が始めた武装勢力で、アラブ人だけでなく米欧中露の出身者を含み、ブロンドイスラム主義者とも言われている。
あまりに過激すぎるためアルカイダも離反していき、その武装勢力がイラクシーア派に猛攻撃をかけている。
後ろ盾となっているのがシリアのアサド政権で、この政権もまたスンニ派であり、アサド政権の後ろにはロシアの影がちらついているという複雑さだ。
いつの世も泣かされるのは国民だ。
憎しみが憎しみを生み、略奪が略奪を、殺し合いが殺し合いを生んでいる。
ああ、やんぬるかな…。

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