歩きながら考える

最近ちょっとお疲れ気味

あらゆるものをリサイクル

2008-06-23 23:40:20 | Weblog
 あらゆる資源が高騰しており、物価が値上がりしています。値上がりならまだしも、資源大国が資源を輸出に回さなくなり、材料の確保ルートが遮断されると資源小国の日本は窮地に立たされます。中国からの輸入に大きく依存していたレアメタルがその良い例で、アフリカなどの鉱山を押さえるだけでなく(これは中国に先手を打たれているので厳しい)、廃棄された情報通信機器の基板などに使用されているレアメタルを取り出して再利用する、効率的なリサイクルの体制を早急に確立することが求められるでしょう。

 さて、とうとう化学肥料の原材料のリンまでも、資源大国は売り惜しむようになってしまいました。日本は主にリンを中国と米国からの輸入に依存していたのですが、両国は輸出を規制するようになってしまったのです。世界的に食料品も逼迫しつつある中、ただでさえ食料自給率の低い日本が肥料不足によって自国での食料生産量を減少させてしまうのは大変まずいことです。さて日本はどうすべきでしょうか。

 そこで開発されたのが、豚の飼育で発生する汚水に含まれるリンを化学肥料用として抽出する技術です。てっきり私は汚水も含めて家畜の飼育で発生する廃棄物は天然肥料として活用されているとばかり思っていましたが、汚水は処理された上で廃棄されていたんですね。 

(以下引用)
養豚場排水を“宝”に 需給逼迫のリンに再回収技術 農業・食品産総研
6月23日8時26分配信 フジサンケイ ビジネスアイ

 養豚場の排水からリンを回収し、再利用する技術を農業・食品産業技術総合研究機構畜産草地研究所の研究グループが開発した。窒素、カリウムと並ぶ肥料の三大要素であるリンは、新興国での農産物需要が拡大していることに加え、世界最大のリン鉱石産出国の中国が5月に事実上の禁輸に踏み切ったため、世界的に需給が逼迫(ひっぱく)。日本の農業生産への影響が懸念されている。同機構は、環境対策とリン資源確保の“一石二鳥”が図れるとして、新技術の早期実用化を目指す考えだ。

 豚舎から発生する汚水には高濃度のリンが含まれ、環境汚染防止の対策上、汚水を放流する前にリンを除去する必要があった。通常は、汚水に有機溶剤を加えて沈殿させてリンを回収していたが、改修されたリンには重金属など不純物が多く含まれ、再利用は不可能だった。
 同機構は汚水に含まれるリン酸イオン、マグネシウムイオン、アンモニウムイオンなどがリン酸の結晶化反応に適する濃度になっていることに着目、回収装置の開発を進めてきた。
 汚水のpHを8~8・5に高めるとリン酸の結晶化反応が起きる。そこで、汚水にエアポンプで空気を送り込み、二酸化炭素(CO2)を追い出すことでpHを上昇させ、リン酸マグネシウムアンモニウム(MAP)を回収する仕組みだ。MAPを天日乾燥するだけで、リン酸肥料として再利用できる。塩化マグネシウムや海水を添加するとさらに回収効率を高められる。
 1立方メートルの汚水から最大で約170グラムのMAPを回収できる見込みで1000頭規模の養豚場で1日におよそ1・7キロのリンが回収できるという。
(引用終わり)


※出所はこちら

 かつて江戸の町は、排泄物を含めあらゆるものが徹底的にリサイクルされていたため、世界的にも極めて清潔な都市だったそうです。汚水からのリンの効率的な抽出は新技術によるものですが、江戸時代に培われた先人たちのリサイクルの精神を想起させる出来事のように思われます。

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2 コメント

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ほとんど化石由来 (デハボ1000)
2008-06-24 01:13:55
リン鉱石の鉱床は、成因で3種類に分類されるとか。
●化石質鉱床:古代の動植物や微生物が起源でリン鉱石の大半はこの鉱床
●糞化石質リン鉱石鉱床:ナウル等4に存在し枯渇。
火成鉱床:地殻変動によって生じた無機質鉱床。
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要するに、リン鉱石といっても大方は生物起源なんですね。海鳥がたかった結果、水域が糞のリン分で微生物が育たない湖の対策をしたことがありました。
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なるほど (kunihiko_ouchi)
2008-06-24 23:16:17
>リン鉱石といっても大方は生物起源なんですね。
化石燃料と同じなんですね。。。
島そのものが海鳥のフン起源のリン鉱石で覆われたナウルは、かつて南太平洋有数の豊かな国であったのが、掘り尽した今では貧しく、しかも豊かな時代に慣れてしまったナウル人は働くことを知らないのでますます困窮している、という話をテレビで見たことがあります。
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