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「ものづくり」いろいろ

2006-09-21 23:43:38 | ものづくり・素形材
日本語はとても表現力が豊かな言語で、同じ言葉でも表記を漢字にするか、ひらがなにするか、カタカナにするかによって読み手が受けるイメージは大きく変わります。例えば、「ラーメン」と「らーめん」と「拉麺」とでは、なんとなく違いがあるような印象を受けませんか。個人的には、「ラーメン」は醤油、「らーめん」は豚骨、「拉麺」は味噌、というイメージなのですが。。。

さて、製造業の強さこそ日本の国際競争力の源泉、という認識が高まってきたことにより、様々な有識者やメディアが「ものづくり」の重要性を指摘するようになりました。実に喜ばしいことです。しかし、この「ものづくり」、ラーメン以上に表記は様々なのです。試みに「ものづくり」を様々な表記でgoogleで検索してみたところ、以下のような結果になりました。

 「ものづくり」約 6,040,000 件
 「モノづくり」約 1,680,000 件
 「モノ作り」 約 752,000 件
 「物作り」  約 711,000 件
 「もの作り」 約 481,000 件
 「物づくり」 約 292,000 件
 「物造り」  約 81,200 件
 「もの造り」 約 67,800 件
 「モノ造り」 約 65,100 件
 「モノヅクリ」約 37,000 件

「ものづくり」の圧勝で、「モノづくり」がそれに続き、「モノ作り」以下は両者に大きく引き離されている状況です。「ものづくり」でヒットした項目を眺めてみると、

 中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律(平成十八年四月二十六日法律第三十三号)
 2006年版ものづくり白書(経済産業省、厚生労働省、文部科学省)
 ものづくり日本大賞内閣総理大臣表彰(平成17年8月4日)

といったページが見られます。やはり国としての公式な表記は「ものづくり」なんだなー、と思いきや、中小企業庁がこんな事業を実施していました。

 中小企業庁:元気なモノ作り中小企業300社

あれ、「ものづくり」じゃなくて「モノ作り」なんですね(笑)
国としての表記が統一されていない中、前に掲げたように世の中では様々な表記が使われています。例えば、財団法人大田区産業振興協会と名古屋商工会議所は、「ものづくり」でも「モノ作り」でもなく、「モノづくり」を使っています。「日本モノづくり学会」という学会も存在します。

 モノづくり見聞録 大田・品川の中小企業を巡って
 モノづくりブランドNAGOYA(名古屋商工会議所)
 日本モノづくり学会

研究者の方も表記は統一できないようです。例えば、東京大学ものづくり経営研究センターのセンター長、藤本隆宏教授の著作は非常に面白く、私も多くの刺激を受けました。その彼の代表的な著書の1つが「日本のもの造り哲学」です。ご自身が所属するセンターの名称に使われている「ものづくり」ではなく、表記としてはマイナーな「もの造り」を使っています。

 東京大学ものづくり経営研究センター
 藤本 隆宏「日本のもの造り哲学 」

「ものづくり」の表記が様々で、統一性がないことを、問題視したり揶揄するつもりは私は毛頭ありません。
冒頭に述ベた、ラーメンの表記が様々であるのは、私は日本の食文化の豊かさの現れであると考えます。同様に、「ものづくり」の表記が様々であるのは、日本の製造業の層の厚さ、奥の深さの現れではないでしょうか。外国では英語でManufacturing Industriesと一言で表現されるのかもしれませんが、そう簡単にはいかないのが、きっと日本のすごいところなのです。

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