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漆田 公一「ゴルゴ13の仕事術―究極のビジネスマン」(祥伝社黄金文庫)

2010-06-28 23:45:56 | 読書
 私が人気漫画「ゴルゴ13シリーズ」を読み始めたのは、浪人時代に予備校の地理の講師から「国際情勢を学ぶ上で役に立つから読め」と勧められたことがきっかけです。確かに、超大国として見られていたソビエトが実は経済がガタガタで軍事技術も米国に大幅に遅れをとっていた、など、当時の受験生がなかなか知りえないことを「ゴルゴ」を読むことで知識を得ることができましたし、国際情勢にも関心を持つようになったことは事実です。
 しかし、国際情勢やその背景となる現代史のことなどをそれなりに知るようになった今となっては、「ゴルゴ」のストーリーの設定にはかなり無理があると思わざるを得ず、今の受験生に対して私は正直あまりお勧めできません。とはいえ、大人のエンターテイメントとしては非常に面白い作品であることは疑いなく、今でも私は「ゴルゴ」は見かけたら手にとって読んでしまう漫画です。

 何しろ長寿の人気漫画ですから「ゴルゴ」を題材にした本は多く見られます。その1つである漆田 公一「ゴルゴ13の仕事術―究極のビジネスマン」(祥伝社黄金文庫) を読んでみました。

(以下引用)
キミは職場でゴルゴたりうるか!?
誰にでもゴルゴのようなパーフェクトな仕事ができるものではない。ゴルゴはあくまでフィクションであるから、現実には存在するはずのない人間なのだが、そしてまた、真似ようと思っても決して真似することなど不可能なことなのだが、それでも、彼の思想と行動、理念と実践、哲学と生きざまは、異様なまでの迫力をもって私たちに迫ってくる。
何がしかの危機感とささやかな志を持つビジネスマンなら、「究極の仕事人」であるゴルゴの「最強の仕事術」を学ぶことは、必ずしも無駄なことではないはずだ。
(引用終わり)


 ビジネスマンも組織に頼らずプロ意識を持つべきであるのは確かですし、ゴルゴ13ことデューク東郷氏の仕事に対する姿勢はプロフェショナルの鑑といってよいでしょう。が、ゴルゴのように「依頼人とは二度会わない」とか「握手という習慣を好まない」とか、まして「背後に立った相手に対して反射的に強烈なパンチを浴びせる」とか、普通のビジネスマンは真似してはいけませんよね(当たり前)。
 しかし、ゴルゴのエピソードを様々なビジネスのシーンに結びつける(というかこじつける)本書の手法は割と面白く、ゴルゴファンのビジネスマンにとっては楽しむことができると思います。本書はビジネス書ではなく、娯楽書として(ゴルゴファンに対して)お勧めします。