8月23日から24日にかけて、宮城県と山形県の県境にある蔵王連峰北部を、面白山から大東岳を経由して二口峠まで単独で縦走してきました。簡単な地図は
こちら。
以下はその記録です(いつもとは書きぶりが違います)。なお、登山に関心がない方はスルーしていただいて結構です。
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2007年8月23日(木曜)曇りのち晴れ
JR仙山線の面白山高原駅に8:14に到着。下車したのは私1人。山の中の無人駅だが立派な待合室がある。靴紐を締めなおしてトイレを済ませると、陸橋を渡って「かもしかコース」への入り口に向かう。

面白山高原駅
「かもしかコース」の入り口は沢状の地形。コースの名称は「かもしか」だが、思っていたほど急坂ではない。静寂そのものの原生林の中をのんびり歩いていく。実に気持ちが良い。天童高原からの道を合わせると斜面はきつくなる。樹林帯が時折切れて目指す面白山が姿を現す。腹が減ったので早めの昼食をとる。

かもしかコース入口

静寂の原生林

面白山が近づく

もうすぐ山頂
面白山山頂(1264.4m)には10:50に到着。風が少しあって快適。誰もいない静かな山頂。山形方面、仙台方面ともに展望が良い。

誰もいない山頂

山頂からの展望
小休止の後、南への道をとる。目指す大東岳は遠く、そしてでかい。雲が多く弱い風も吹いているので、夏の暑い日ざしに悩むことのない、登山には快適なコンディションのはずなのだが、日頃の不摂生のためかスピードは上がらない。長左衛門平で思わず大休止。このあたりはヤマユリの群生地なのだが、ほとんど花は終わってしまっている。

山頂から南へ

大東岳は遠い

ヤマユリはもう終わり

静寂の原生林

ちょっと藪っぽい

長左衛門平
奥新川峠を経て権現様峠の道も美しい原生林が続く。小さなアップダウンを繰り返すので少々しんどい。

静寂の原生林が続く

権現様峠は狭い
権現様峠から大東岳までは、昭文社「山と高原地図」によると「細い水流の沢筋を歩く」とあるが、これは沢登りそのものである。標高差は450mあるが、沢筋なのでぐんぐん高度を稼ぐことができる。水が枯れると急斜面の潅木の藪となり、両手両足を使ったワイルドな山登りを堪能させられる。初心者には手ごわいだろう。

これは

沢登りそのもの

完全に藪こぎ
大東岳山頂(1365.8m)には15:30に到着。展望は悪くないが潅木が少々邪魔をしている。仙台市民にとってはわりとポピュラーな山なのだが、ここでも誰にも会わない。2回目の昼食をとり、しばし静かな山頂を楽しんだ後、西へ下る。

大東岳山頂
山頂直下は「弥吉ころばし」という名称が付いており、すごい急坂である。足の小指と親指にできた肉刺が痛い。道が沢沿いを通るようになると傾斜は緩み歩きやすくなる。

小屋が見えた
今夜泊まる宿の「樋の沢避難小屋」に17:10到着。原生林に囲まれ沢に面した素敵な小屋である。東北の山の避難小屋はきれいに整備されているところが多いが、ここも例外ではない。このあたりの沢は魚影が濃いらしいので渓流釣りの拠点にも良いだろう。広い広場もあるのでテントを担いでキャンプするにも良いかもしれない。
この日は山の中で誰にも会わなかったが、さすがに避難小屋には他の登山者や釣り人が入っているだろう、と想像していたが、ここにも誰もいない。今夜は広い小屋を1人占めである。小屋のすぐ裏には樋の沢が流れており、大きな釜を持つナメ滝が美しい。誰もいないのをいいことに、汗でぐっしょり濡れたシャツとパンツを脱ぎ、フル●●になって釜に飛び込み水浴びする。日も落ちかけてて気温も下がっていたので、水は冷たく、震えがしばらく止まらない。ちょっと無謀な行動だったが、体はさっぱりして気持ちがいい。

小屋の裏のナメ滝
誰もいない山小屋の夜は食事を済ませてしまうとやることは何もない。寝転びながらバーボンをちびちび飲み、AMラジオをぼんやり聴き、チェイサーとして小屋の近くで汲んだ湧き水を飲む。最高の贅沢だと思う。
本当に静かな夜だった。(続く)

私以外誰もいない小屋