クニの部屋 -北武蔵の風土記-

郷土作家の歴史ハックツ部屋。

「花ざかりの君たちへ」。“中津秀一”はほかのイケメンとどう違う?

2007年09月19日 | 恋部屋
得てして、謎解きやあっと驚くオチでもない限り、
あまり冴えないドラマの最終回。
物語の終着点に向かっているせいか、
大きな事件はないし受け手を引き寄せるネタもまきません。

ハッピーエンドが悪いわけではありませんが、
最終的に好きな人と結ばれる(だけ)というオチは退屈。
お互いがたまらなく相手を好きだとわかっていても、
どうしても別れなければならないという葛藤を抱えた方が、
まだ余韻が残ります。
(別れ=失恋という意味で)

最終回を迎えた「花ざかりの君たちへ」。
最初から荒唐無稽だったこのドラマは、
同じテンションのまま幕が下りました。
コメディ要素が高く、人物もストーリーも劇画的。
何も身構えずに気軽に見られるのがこの作品の長所でしょう。
男装して“佐野泉”に会いに行った“芦屋瑞希”(堀北真希)の恋物語というより、
個性的な面々との友情物語が主だったようです。

とはいえ、最後は空港で泉と瑞希のキス。
「今度は俺がアメリカへ会いに行く」と佐野は言って……。
まるで続編を匂わせる終わり方。
ようやく気持ちが通じ合えたのに2人は離れなければなりませんでしたが、
そこに葛藤はありません。
小説というより作文のような離れ方です。
10代のイケメンたちはいつも賑やかで、内容は荒唐無稽だったとはいえど、
終始大人しいドラマでした。

その中で、最も心が揺れ動いていたのは“中津秀一”(生田斗真)です。
男であるはずの瑞希がどうしても気になってならなかった彼は、
恋の“葛藤”を抱えていました。
好きになってはいけないという抑制と、
なぜ同性に惹かれるのかという自問自答。
そして、それを恋と明確に位置付けたとき、
佐野との三角関係にその視線は“他者”に向かいます。

自分と他者の狭間で揺れ動く彼は、
まさに10代の真っ直中。
「花ざかりの君たちへ」で生田斗真の人気が急上昇したのは、
そのルックスのみならず、
葛藤を抱えた“中津秀一”の魅力がそのまま一役買ったからかもしれません。

「じいさんになって惚けても、瑞希と過ごした時間だけは忘れない」(大意)
と言った中津。
彼の存在感と人気の強さは、
その胸中に抱えた葛藤の振り幅と比例しています。
フィクションの世界とはいえど、
受け手が根本的に見たいと望むのは“人間”なのだから……。

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