クニの部屋 -北武蔵の風土記-

郷土作家の歴史ハックツ部屋。

夜に訪ねる水海城は?

2024年03月03日 | 城・館の部屋
水海城(茨城県古河市)は夜闇に沈んでいた。
深夜というほどではないが、夜はだいぶ更けていた。
が、思い立ったが吉日。
一人車を走らせ、利根川を渡った。

最後に水海城址へ足を運んだのはだいぶ前になる。
文献上では何度も目にしていた城だから、よく足を運んでいる気がしていたのかもしれない。
それに、関宿城(同県野田市)が近い。
同城を並べてしまうと、個人的な親近感もあって、どうしても水海城は後回しになってしまう。

とはいえ、両城とも簗田氏と関係の深い城である。
簗田氏が関宿へ移る前は水海城を本拠にしており、その城跡は「南部地域」にあったと考えられている。
発掘調査が実施されたのは「内水海」地区で、神明社付近が城跡に比定される。
内水海の城は、南部地域の城よりも新しく構築されたとみられている。

政治的にも軍事的にも重視された城だが、遺構らしきものは見当たらない。
そこが城跡という認識を持たなければ、何の変哲もないのどかな田園風景である。
夜の水海城は闇に包まれ、ナビの地図を見なければ自分がどこにいるのかわからなくなる。

平地が広がり、少し向こうに利根川の土手が連なっていた。
一台の車とすれ違っただけで、ほかに人の姿はなかった。
車をとめる場所もない。
車から降りたところで、夜闇の中どこを歩けばいいのかわからない。
窓を開け、水海の空気を吸い込むことくらいしかできなかった。

古寺を訪ねるには時間が遅すぎる。
ぶらぶらしても、パトロール中の警官に呼び止められるかもしれない。
平城だからまだいいものの、整備されていない山城では入っていくこともできないだろう。
夜の城跡は独特の空気がある。
決して嫌いではない。
(地元の羽生城を訪ねるときも、ダントツ夜が多かった)

暗闇で目に入ってくる情報が遮られている分、より往時を偲ぶことができるかもしれない。
長い時間うろついて地域住民を不安がらせてもいけない。
ひと巡りしたあと帰路に就いた。
願わくば、今度は平日の昼間に訪ねたい。

※最初の画像は昼間の水海城址
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