〔14.12.20.日経新聞:1面〕
中央:月岡隆出光興産社長、右:香藤繁常昭和シェル会長
石油元売り国内2位の出光興産は、同5位の昭和シェル石油の買収に向け交渉に入った。2015年度前半をめどにTOB(株式公開買い付け)を実施し、子会社化をめざす。買収総額は5千億円規模の見通し。ガソリン販売シェアは両社合計で30%と最大手のJX日鉱日石エネルギーに迫り、2強時代に入る。需要低迷や過当競争など構造問題を抱える石油業界の再編が加速する。(関連記事総合2面に)
両社は15年2月にも基本合意書を交わし、公正取引委員会の審査などを経て出光がTOBを実施する。
石油元売り大手同士の再編は、10年に新日本石油と新日鉱ホールディングスが経営統合してJXホールディングス(HD)が誕生して以来。出光と昭シェルの連結売上高は単純合計で約8兆円になる。JXエネを傘下に持つJXHDは約12兆円(非鉄事業含む)。
今夏以降、出光の月岡隆社長と昭シェルの香藤繁常会長兼グループ最高経営責任者(CEO)が会談するなど、両社は調整を重ねてきた。昭シェルの筆頭株主で株式の約35%を持つ英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルもTOBに応じる意向だ。
出光は既に主力行である三井住友銀行から買収資金を調達するめどをつけた。19日現在の昭シェルの時価総額は約3800億円で、TOBに際し2~3割のプレミアム(上乗せ分)をつけるとみられる。
少子化やエコカーの普及で、ガソリンなど燃料油の国内需要は最盛期の1995年に比べ20%超減少。中長期的にはさらに2~3割の減少が見込まれる。出光と昭シェルは生き残りに向け、国内で稼げる体制を固めたうえで海外市場の開拓を加速する考えで一致した。経済成長や自動車の普及で石油製品需要が増す東南アジアなどに投資を振り向ける。
両社は規模拡大で原油の買い付けや輸送コストの低減を進める。合計で全国に6カ所ある製油所は地域的に重複せず、それぞれの設備に最適な石油製品をつくり生産効率を高める。販売面でも計約8千カ所ある給油所網を統廃合し、収益力向上をめざす。
英蘭シェルは昭シェル株の売却により過当競争で利幅が薄い石油精製・販売事業からは撤退するが、安定して収益が見込める化学事業や液化天然ガス(LNG)販売は継続する。
経済産業省は今年3月末に日量395万バレルあった供給能力の一段の削減など、体質強化に向け石油業界に再編を促していた。出光と昭シェルの動きはこれに呼応するものだ。同省は両社から産業競争力強化法の認定申請を受ければ税制優遇措置などで支援するとみられる。
出光興産の概要
1911年に北九州で出光佐三氏が創業した出光商会が前身。2014年3月期の連結業績は売上高5兆349億円、経常利益819億円。従業員数は8749人。北海道苫小牧市、千葉県市原市、愛知県知多市に製油所を持つ。海外事業に積極的で、現在はベトナムで製油所建設を進めている。
昭和シェル石油の概要
1985年に昭和石油とシェル石油が合併し発足した。2013年12月期の連結業績は売上高2兆9538億円、経常利益762億円。従業員数は5829人。川崎市、三重県四日市市、山口県山陽小野田市にグループの製油所がある。太陽電池子会社ソーラーフロンティアは国内出荷量3位。
〔14.12.20.日経新聞:総合2面〕
石油、2強体制へ 出光、昭和シェル買収交渉 さらなる再編も 資金確保へ規模追求
~本文は割愛~
中央:月岡隆出光興産社長、右:香藤繁常昭和シェル会長
石油元売り国内2位の出光興産は、同5位の昭和シェル石油の買収に向け交渉に入った。2015年度前半をめどにTOB(株式公開買い付け)を実施し、子会社化をめざす。買収総額は5千億円規模の見通し。ガソリン販売シェアは両社合計で30%と最大手のJX日鉱日石エネルギーに迫り、2強時代に入る。需要低迷や過当競争など構造問題を抱える石油業界の再編が加速する。(関連記事総合2面に)
両社は15年2月にも基本合意書を交わし、公正取引委員会の審査などを経て出光がTOBを実施する。
石油元売り大手同士の再編は、10年に新日本石油と新日鉱ホールディングスが経営統合してJXホールディングス(HD)が誕生して以来。出光と昭シェルの連結売上高は単純合計で約8兆円になる。JXエネを傘下に持つJXHDは約12兆円(非鉄事業含む)。
今夏以降、出光の月岡隆社長と昭シェルの香藤繁常会長兼グループ最高経営責任者(CEO)が会談するなど、両社は調整を重ねてきた。昭シェルの筆頭株主で株式の約35%を持つ英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルもTOBに応じる意向だ。
出光は既に主力行である三井住友銀行から買収資金を調達するめどをつけた。19日現在の昭シェルの時価総額は約3800億円で、TOBに際し2~3割のプレミアム(上乗せ分)をつけるとみられる。
少子化やエコカーの普及で、ガソリンなど燃料油の国内需要は最盛期の1995年に比べ20%超減少。中長期的にはさらに2~3割の減少が見込まれる。出光と昭シェルは生き残りに向け、国内で稼げる体制を固めたうえで海外市場の開拓を加速する考えで一致した。経済成長や自動車の普及で石油製品需要が増す東南アジアなどに投資を振り向ける。
両社は規模拡大で原油の買い付けや輸送コストの低減を進める。合計で全国に6カ所ある製油所は地域的に重複せず、それぞれの設備に最適な石油製品をつくり生産効率を高める。販売面でも計約8千カ所ある給油所網を統廃合し、収益力向上をめざす。
英蘭シェルは昭シェル株の売却により過当競争で利幅が薄い石油精製・販売事業からは撤退するが、安定して収益が見込める化学事業や液化天然ガス(LNG)販売は継続する。
経済産業省は今年3月末に日量395万バレルあった供給能力の一段の削減など、体質強化に向け石油業界に再編を促していた。出光と昭シェルの動きはこれに呼応するものだ。同省は両社から産業競争力強化法の認定申請を受ければ税制優遇措置などで支援するとみられる。
出光興産の概要
1911年に北九州で出光佐三氏が創業した出光商会が前身。2014年3月期の連結業績は売上高5兆349億円、経常利益819億円。従業員数は8749人。北海道苫小牧市、千葉県市原市、愛知県知多市に製油所を持つ。海外事業に積極的で、現在はベトナムで製油所建設を進めている。
昭和シェル石油の概要
1985年に昭和石油とシェル石油が合併し発足した。2013年12月期の連結業績は売上高2兆9538億円、経常利益762億円。従業員数は5829人。川崎市、三重県四日市市、山口県山陽小野田市にグループの製油所がある。太陽電池子会社ソーラーフロンティアは国内出荷量3位。
〔14.12.20.日経新聞:総合2面〕
石油、2強体制へ 出光、昭和シェル買収交渉 さらなる再編も 資金確保へ規模追求
~本文は割愛~