日本株と投資信託のお役立ちノート

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(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

反米の絆、揺らぐ中南米 キューバが国交交渉へ ボリビアも改善模索 ニカラグアは中国接近

2014年12月31日 | 中南米
〔14.12.31.日経新聞:国際2面〕
 
キューバとベネズエラの関係にはすきま風が吹きかねない(14日、カストロ議長(左)とマドゥロ大統領)=ロイター
 
 【サンパウロ=宮本英威】中南米の反米諸国の結束が揺らいでいる。反米の象徴的な存在だったカストロ兄弟を擁するキューバが米国との国交正常化に動き出した衝撃は大きい。財政面で各国を支えてきた産油国のベネズエラは原油安に直面して国力を落としている。ボリビアが米国との関係改善を探り、ニカラグアは中国との接近に活路を見いだそうとしている。

 「お互いに尊重し合う関係を取り戻したい」。キューバが米国との国交正常化の方針を発表した6日後の12月23日、ボリビアのチョケワンカ外相は米国との外交関係の正常化に向け高官レベル協議を始めたと明らかにした。2011年に正常化で合意したが、作業を急ぐ。モラレス大統領とオバマ米大統領の首脳会談の設定も話し合う。

 ボリビアは08年、反政府運動を扇動しているとして米大使に国外退去を要求して米国との関係が悪化した。同国初の先住民大統領であるモラレス氏はいまも反米的な発言を繰り返すが、米国との関係改善に向け実務的な布石を打ち始めた。中南米の代表的な反米4カ国(キューバ、ベネズエラ、ボリビア、ニカラグア)のうち2カ国が米国との距離を縮め始めた。

 中南米ではベネズエラの故チャベス氏が99年に大統領に就任したのをきっかけに左派政権が伸長した。ベネズエラは埋蔵量で世界一を誇る原油を割安に輸出して周辺国を財政面で支えた。

 チャベス氏が13年3月に死去した後、後継者となった現在のマドゥロ大統領は反米左派の路線を維持し、キューバ向けに1日10万バレルの原油輸出を続けた。マドゥロ氏は米国とキューバの正常化交渉の方針を受け「キューバの人々の歴史的な勝利だ」と表向き称賛した。ただ心中が穏やかでないのは確かだ。

 キューバと米国との秘密交渉が始まったのは、チャベス氏が死去した直後の13年6月だった。チャベス氏のいないベネズエラが大規模な支援を続けるのかどうかを巡ってキューバが懸念を持ち始めた可能性がある。

 原油価格の急落でベネズエラの経済は厳しい。足元の外貨準備は224億ドル(約2兆7千億円)と08年末の約半分の水準まで下がり、これまでのように周辺国に支援を続けるのは難しくなってきた。国内では年率6割を超えるインフレと物不足が深刻だ。

 反米左派のオルテガ大統領が率いる中米ニカラグアは22日、太平洋とカリブ海を結ぶ新運河の建設を始めた。中国系企業の力を借りながら運河をテコに経済成長を目指す背景には、ベネズエラへの依存を見直す必要に迫られたとの見方がある。

 中南米の反米政権は、支持率の低下や不況といった苦境に直面すると、米国をやり玉にあげて国内の結束を高めようとする傾向があった。キューバへの経済制裁が「帝国主義」の一例と批判することも多かった。

 今のところ米国とキューバの接近を冷静に受け止める声が多いものの、「仮想敵」の存在がさらに薄れれば、反米を掲げてきた国では支持基盤の揺れや政権交代につながる芽が生まれかねない。

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