〔15.3.24.日経新聞:総合2面〕
主要なコメ卸でつくる全国米穀販売事業共済協同組合(全米販)は23日、新たなコメ取引市場を7月に開設すると発表した。2018年産メドの生産調整(減反)廃止に向け、作柄などによる需給の変化を価格に反映しやすくする。銘柄別の人気が価格に影響しやすくなる面もありそうだ。今後、コメ取引で影響力の大きいJA(農協)などに幅広く参加を呼びかける。
新市場の名称は「中長期米仲介市場」。全米販の100%出資子会社で、コメ取引を仲介するクリスタルライス(東京・中央)が業務を担当する。ある程度の規模があれば、生産者やJA、中食・外食業者やスーパーなど幅広く取引に参加できるようにする。まず15年産の主食用米を主な対象とする。
取引は数カ月から半年後に受け渡しするコメを対象とする。売り手と買い手が中長期にわたって安定的に取引できるようにする。取引数量が増えた段階で銘柄別の成約価格を公表し、指標となる価格を発信する狙いもある。
コメの年間流通量は約600万トンある。全国農業協同組合連合会(全農)などJAグループとコメ卸による相対取引が主流で5~6割を占める。全農がコメの生産者や卸会社に提示する価格は影響力が大きい。ただ理由が分かりにくい面もある。最近では12年産が豊作にもかかわらず1割程度値上がりし、コメ消費減退につながったとの指摘もある。
これ以外の流通業者間の取引はコメ卸による小口のスポット(随時契約)取引が中心だ。取引規模は20万トン程度で価格が乱高下しやすい面もある。また全国米穀取引・価格形成センターが11年に解散した後は、指標となるコメの現物市場はなくなっている。大阪堂島商品取引所(大阪市)がコメ先物を上場しているが取引量は限られている。
コメの現物取引については、中食業界の団体が昨年10月に主に業務用米を仲介する市場を開設した。全農も昨年8月以降、コメ卸の希望を聞いた上で販売価格を決める新しい手法を導入している。
国による需給調整である減反の廃止に伴い、生産者などは需給や取引価格をにらみながら生産量を決めたり販路を確保する必要がある。国の産業競争力会議も透明・公正な価格形成に向け100万トン以上の規模を持つ現物市場の育成が必要と指摘している。全米販による新市場は全農や中食・外食業者をいかに取り込めるかがカギとなりそうだ。
主要なコメ卸でつくる全国米穀販売事業共済協同組合(全米販)は23日、新たなコメ取引市場を7月に開設すると発表した。2018年産メドの生産調整(減反)廃止に向け、作柄などによる需給の変化を価格に反映しやすくする。銘柄別の人気が価格に影響しやすくなる面もありそうだ。今後、コメ取引で影響力の大きいJA(農協)などに幅広く参加を呼びかける。
新市場の名称は「中長期米仲介市場」。全米販の100%出資子会社で、コメ取引を仲介するクリスタルライス(東京・中央)が業務を担当する。ある程度の規模があれば、生産者やJA、中食・外食業者やスーパーなど幅広く取引に参加できるようにする。まず15年産の主食用米を主な対象とする。
取引は数カ月から半年後に受け渡しするコメを対象とする。売り手と買い手が中長期にわたって安定的に取引できるようにする。取引数量が増えた段階で銘柄別の成約価格を公表し、指標となる価格を発信する狙いもある。
コメの年間流通量は約600万トンある。全国農業協同組合連合会(全農)などJAグループとコメ卸による相対取引が主流で5~6割を占める。全農がコメの生産者や卸会社に提示する価格は影響力が大きい。ただ理由が分かりにくい面もある。最近では12年産が豊作にもかかわらず1割程度値上がりし、コメ消費減退につながったとの指摘もある。
これ以外の流通業者間の取引はコメ卸による小口のスポット(随時契約)取引が中心だ。取引規模は20万トン程度で価格が乱高下しやすい面もある。また全国米穀取引・価格形成センターが11年に解散した後は、指標となるコメの現物市場はなくなっている。大阪堂島商品取引所(大阪市)がコメ先物を上場しているが取引量は限られている。
コメの現物取引については、中食業界の団体が昨年10月に主に業務用米を仲介する市場を開設した。全農も昨年8月以降、コメ卸の希望を聞いた上で販売価格を決める新しい手法を導入している。
国による需給調整である減反の廃止に伴い、生産者などは需給や取引価格をにらみながら生産量を決めたり販路を確保する必要がある。国の産業競争力会議も透明・公正な価格形成に向け100万トン以上の規模を持つ現物市場の育成が必要と指摘している。全米販による新市場は全農や中食・外食業者をいかに取り込めるかがカギとなりそうだ。