日本株と投資信託のお役立ちノート

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(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

クボタ、全国でIT農業 データ駆使、効率生産 15法人で1000ヘクタール展開

2015年08月30日 | 15.機械
(日経8/30:1面)
 クボタはIT(情報技術)を駆使した効率的な農業の全国展開を始める。2019年までに各地の農家などと農業生産法人(総合・経済面きょうのことば)を15社設立し、東京ドーム約210個分に相当する1千ヘクタールの農地でコメや野菜を栽培する。コメの作柄を自動測定できるコンバインなどを活用して、生産性を大幅に向上させる手法を確立する。クボタなど高い技術やノウハウを持つ企業の参入は、高齢化などに悩む日本の農業の競争力強化につながりそうだ。


 クボタは農家との競合を懸念し農業参入に慎重だったが、方針転換する。同社の国内の農機関連売上高(約2100億円)は、農家の高齢化で10年前に比べ約1割減った。環太平洋経済連携協定(TPP)交渉によりコメの輸入が拡大すれば、市場が一段と縮小しかねない。ITを使い利益を出せる経営モデルを示し、農機需要を自ら底上げする必要があると判断した。

 クボタはITを活用した稲作技術に強みを持つ。自社農場には全地球測位システム(GPS)を利用して正確な作業ができるトラクターや、稲刈りと同時にコメの水分やたんぱく量を測定できるコンバインを投入。こうしたデータはクラウドサービスを通じて田んぼごとに管理し、翌年には肥料の散布量を自動調整する田植え機に生かし収穫量アップにつなげる。

 従来の農作業は農家の経験と勘に支えられている。ただ大規模化が進む農業生産法人では数十人単位の従業員を雇っている。農作業の手順を一人ずつスマートフォンに配信することで、作業の間違いや遅れを減らし生産性を引き上げる。


 種付けから収穫までの工程、従業員の活用策など経営全体に踏み込むモデル農場をつくり、農家に手法を示す。平野部や山間部、温暖地や寒冷地など多様な条件で効率の良い経営モデルを探るため、合計で1千ヘクタールの規模を目指す。小売りでは神戸物産が北海道で約1600ヘクタールの農場を運営しているが、メーカーとしては最大級の規模になる。

 新潟県で26日に農業生産法人を立ち上げたほか、東海地方や南九州でも法人設立準備を進めている。来年1月には国家戦略特区に指定されている兵庫県養父市で地元農家と農業生産法人「eファーム養父(仮称)」を設立する。クボタは子会社を通じ25%を出資する。

 09年の農地法改正を受け企業の農業参入が加速。国内ではイオンが19の直営農場で約300ヘクタールを耕すほか、ローソンなどが調達ルートの確保のため参入している。安倍政権も農業改革を成長戦略の柱の一つに掲げており、今後規制緩和が進めばさらに企業の参入が増える可能性がある。

▼きょうのことば 「農業生産法人」 規制緩和で企業参入相次ぐ

▽…農業生産法人は、法人形態をとって農業を営む組織「農業法人」のうち農地を所有することができる団体のこと。株式会社や特例有限会社、農事組合法人などの形態がある。銀行融資や税制の優遇措置を受けられるほか、会計処理の透明化など経営管理の強化につながるメリットがある。農林水産省によると、2014年1月時点で農業生産法人数は1万4333あり、前年同時点より約770増えている。

▽…09年に農地を賃借すれば一般企業が農業を始められるようになり、民間企業の農業生産法人への出資が相次いでいる。小売りや外食大手が野菜や畜産物の安定調達に向けて農家と組んで法人を設立しているのに加え、最近ではオリックスやトヨタ自動車など異業種の農業経営への参加も目立つ。

▽…28日に成立した改正農地法では企業の出資比率上限が従来の25%から50%に緩和された。「農業生産法人」の呼称も「農地所有適格法人」に変更される。農地の売買や賃貸を許可する農業委員会も、公選制を廃止し市町村長が議会の同意を得て任命することができるようになる。企業の農業参入はさらに加速しそうだ。

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