日本株と投資信託のお役立ちノート

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(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

米ペイパル再上場へ スマホ決済急成長 IT大手も相次ぎ参入 既存の金融機関は警戒

2015年07月19日 | 外資:米国・カナダ
(日経7/19:国際面)
 【シリコンバレー=兼松雄一郎】親会社の米ネット競売大手イーベイから分離した決済大手ペイパルが20日、米ナスダック市場に再上場する。ペイパルが開拓したスマートフォン(スマホ)など携帯端末経由の決済処理は今年100兆円に迫る巨大市場に成長し、毎年倍以上のペースで伸びている。アップル、グーグルなどの米IT(情報技術)大手も相次ぎ本格参入し、既存の金融機関は警戒を強めている。
 
小売り大手との提携を加速するペイパルのダン・シュルマンCEO

 ペイパルは事前登録したクレジットカードや銀行口座を用いてネットで代金決済するサービスを展開する。分離・上場には、ペイパルが親会社との関係という制約を離れ、スマホ決済事業を一段と強化する狙いがある。ペイパルはイーベイとライバル関係にある企業とも取引を広げやすくなる。暗号技術などの進展で、スマホやタブレットを用いて商品の代金を支払ったり、お金を受け取ったりする需要が米国外でも急成長すると予想されている。

 アップルが昨年10月に米から始めた決済サービス「アップルペイ」は使える場所が100万カ所を超えた。指紋認証など、磁気カードに代わる安全な本人確認のための技術をスマホを通じて提供し、カード会社から手数料0.15%を徴収している。スマホで商品を調べている消費者が支払いまでたどり着く割合を倍に高めることに成功した。

 グーグルは対抗して5月に手数料なしのスマホ決済サービスを発表した。フェイスブックはペイパルのトップを引き抜き、友人間の小口送金サービスを始めた。アマゾンも自社のネット通販向けに確立した決済の仕組みを他社にも提供する事例が増えつつあるほか、加盟店への融資仲介も拡大している。先駆者ペイパルが開拓してきた市場を有望とみたIT大手が次々と参入している。

 パソコンを主体としてきたペイパルの決済のうち携帯端末経由の割合は3分の1まで増えた。「(スマホを持ち込める)店舗決済との融合も進める」とダン・シュルマン最高経営責任者(CEO)は言う。ペイパルは実店舗を持つ小売り大手を味方につける策を打ち出し始めた。従来はイーベイに遠慮して自粛してきた路線だ。

 昨年9月にイーベイからの分離が決まると、早速今年3月にウォルマートなど小売り大手にスマホ決済の仕組みを提供するベンチャー、ペイディアントを買収した。様々な優待ポイントを口座にまとめるサービスの提供にも力を入れる。

 ペイパルは決済で集めたデータと莫大な資金の流れを生かし、加盟店向けに成長資金を出す融資の仲介にまで事業を広げてきた。銀行免許は持たないが、地銀と組み、加盟店への累計約5億ドルの融資仲介実績がある。

 銀行業界には伝統業務を脅かされることへの警戒感がある。ビル・レディ上級副社長は「既存の金融機関とも敵対せず、むしろ組んでいく」と語り、協力姿勢を強調した。

▼スマホ決済とは
 スマートフォンを使ってお金を支払う仕組み。取引の安全性を高めるため、最近は単純なボタン操作だけでなく、一回限りの時限暗号や指紋、顔など複数の認証手段が本人確認で使われる。スマホ上のサービスを使う時に事前に登録した銀行などの口座やカードから自動で代金が引き落とされる形が一般的で、ペイパルのビジネスの柱となっている。

 アップルやグーグルは、これに近距離無線通信や指紋などを組み合わせて認証する仕組みを導入し、顧客の囲い込みを狙っている。店舗でスマホ画面上に表示したバーコードを受信機に読み取らせる簡単な方法も普及しつつある。

▼親会社から分離、自由度増す 売上高、イーベイを逆転
 【シリコンバレー=兼松雄一郎】競売大手イーベイは2002年にペイパルを買収し、決済インフラを土台にネット通販を普及させてきた。だが、ここにきて決済とネット競売との間で事業の成長性には大きな差が出始めた。今年に入り子会社のペイパルの方が売上高が大きくなった。今回の分離・上場の実態は、有望市場で自由度を増したいペイパルにイーベイが見放されたものという指摘もある。

 ネット通販では、圧倒的な品ぞろえでアマゾンが販売を積み上げる。一方、手作り品の売買サイト運営の米エッツィーなど、個性的な製品を扱う専門的なネット販売仲介サービスが人気を集めている。この両社がうまくすみ分けるのに対し、イーベイはモノを買う場所として中途半端な存在になってしまった。

 ペイパルはいまや1億6500万の口座を抱え、200以上の国と地域で使える。グローバルな金融サービス会社に飛躍し、年率2割近い成長が続く。分離をきっかけにペイパルに対しITや、カード、銀行大手が買収を提案するとの観測もある。

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