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(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

国家不全、過激派が伸長 中東、テロの拠点に 国際社会、関与が不可欠

2015年01月29日 | 中東
〔15.1.29.日経新聞:国際2面〕


 【カイロ=押野真也】2011年以降に相次いで独裁政権が崩壊した中東・アフリカで、統治能力を欠いた国々がイスラム過激派組織の温床になっている。軍や警察が機能せず、過激派組織が拠点を築いて戦闘員を育成し、欧米や周辺諸国にテロを「輸出」する状況がみられる。テロの抑止には国の再建と国際社会の積極的な関与が欠かせない。

 北アフリカのリビアでは複数の民兵組織が戦闘を続けており、事実上の内戦状態にある。11年以降、同国には大量の武器や弾薬が流入してきた。軍や警察の出身者が武装して民兵組織を率いる例もある。

 27日には首都トリポリで高級ホテルが襲撃され、米国人やフランス人など合計9人が死亡した。リビアでは中央政府が首都を追われ、北東部に暫定政府を樹立した。一方、トリポリではイスラム過激派勢力が独立を宣言し、国家は分裂状態にある。

 1月中旬以降、国連が仲介してジュネーブで和平協議が始まったものの、主要な民兵組織は協議に参加しておらず、戦闘も続いている。一部のイスラム勢力はシリアとイラクで影響力を強める「イスラム国」への忠誠を誓い、27日のホテル襲撃でもイスラム国系の組織が犯行を表明した。

 11年11月に独裁体制が崩壊したイエメンも混乱に陥っている。今月20日にはイスラム教シーア派系の民兵組織がハディ暫定大統領を軟禁し、ハディ氏は辞意を表明した。事実上のクーデターだが、今後の展開は見通せない状況だ。

 イエメンは過激派組織「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」の拠点になっていると指摘されてきた。今月7日に起きた仏週刊紙の襲撃事件では、実行犯の2人がAQAPで軍事訓練を受けたとされる。

 イエメンとアデン湾を挟んで反対側のソマリアはイスラム過激派組織「アルシャバーブ(若者)」の拠点だ。ソマリアのほか、ケニアやエチオピア、タンザニアなどで爆弾テロなどを繰り返している。13年9月にはケニアの首都ナイロビにある商業施設を襲撃し、民間人60人以上を殺害した。

 アルシャバーブは資金や武器も豊富とされ、ケニアやエチオピアなどによる掃討作戦は難航している。AQAPやイスラム国との連携もささやかれる半面、活動の詳しい実態はわかっていない。

 機能不全に陥った国の周辺国や欧米諸国は、放置すれば自国の安全保障を脅かすとの認識から対応に躍起となっている。米国はソマリアに軍事介入し、昨年12月にはアルシャバーブの幹部を殺害した。昨年8月にはリビアに対し、アラブ首長国連邦(UAE)とエジプトが空爆を実施したとされる。カイロ大学のハッサン・ナファ教授は「軍事介入だけで問題は解決しない。武装勢力同士の仲介外交や選挙実施に向けた協力など、国家再建を後押しする支援が必要だ」と指摘している。 

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