日本株と投資信託のお役立ちノート

株や投信の運用に役立つ記事を探します。
(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

金相場に底入れ気配 米利上げ織り込み、安全資産に資金 NY市場で現物引き出し

2015年09月19日 | 素材:貴金属&レア
(日経9/19:マーケット総合2面)
 軟調な展開が続いていた金相場に底入れの気配が出てきた。米連邦準備理事会(FRB)は17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを見送った。今後の利上げは、ほぼ織り込み済みで、仮に実施されても値下がりは一時的なものになりそう。中国の株安などで世界経済の先行きが懸念される中、安全資産とされる金の需要が動き始めた。相場は転換期に入った可能性がある。

 

 18日のニューヨーク市場の時間外取引で金は1トロイオンス1135ドル近辺で推移。利上げ見送りで投機筋が買い戻しに動き20ドルほど上がった。利上げは金の売り材料になる。金利のつかない金の投資商品としての魅力が相対的に薄れる。

 しかし利上げが現実になっても「一時的に値下がりするかもしれないが、材料出尽くしと判断され、その後は値上がりするだろう」(ICBCスタンダードバンクの池水雄一東京支店長)。利上げ観測は金市場で年初から強く意識され売りの根拠となり、この間に200ドル近く下げているためだ。

 過去を振り返ると、実際にFRBの利上げ局面では実施の約3カ月前に底値をつけている。2004~06年の利上げ期には金の価格が1.5倍に上がった。今年7月にはギリシャ債務不安の後退もあり1100ドルを下回って5年5カ月ぶりの安値をつけた。ただ、その後の値動きは底堅く、池水氏は「利上げ観測が材料だったマーケットの局面は終わる」とみる。

 中国の投機筋は買い姿勢を強めている。金市場の調査機関であるワールド・ゴールド・カウンシルの中国エリアのマネジングディレクター、ローランド・ワン氏は「荒れた株式市場で痛手を負った個人投資家が安全資産である金を分散投資先として選び始めた」と説明する。中国の金投資の動きを映す上海市場での値上がりが目立っており、国際相場に比べ5ドルほど高い。

 ニューヨーク商品取引所(COMEX)では金塊の在庫が減っている。最近1カ月で6割以上減っており、統計を確認できた11年以降で最も低い水準になった。

 先物市場で金を買った人が現金決済せずに現物で受け取っている。上海株の急落や人民元切り下げ前後のタイミングで、現金ではなく安全資産である金を選んで保管庫から引き出している。上海市場でも同様に金塊を手にする動きがうかがえる。

 米国では金融機関に自己勘定でのハイリスクの投資を禁じるボルカー・ルールが適用され、商品先物市場に投機マネーが入りづらくなった。マーケットアナリストの豊島逸夫氏は「中長期的に金市場は大きな転換点にある。これからは現物需給が価格を形成するようになる」と話す。

 金の現物の需給への影響が大きい宝飾業界の買い付けは、なお勢いに欠く面はある。ただ供給面では金の生産がこれからピークアウトする。衛星探査などによって確認された商業化が可能な金鉱脈は、ほぼ開発された。目立った新規の鉱山計画はほとんどない。来年以降は上昇相場になるとみる市場関係者は多い。  (筒井恒)


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