日本株と投資信託のお役立ちノート

株や投信の運用に役立つ記事を探します。
(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

日本化薬 がん細胞を狙う新薬 年度内に承認申請 極小カプセルに内包、乳がんなどに

2015年09月05日 | 7.化学
(日経9/5:企業面)
 日本化薬は抗がん剤をナノレベルの極小カプセルに包み、がん細胞だけに送り届ける新技術を使った新薬の承認を今年度内に厚生労働省に申請する。がん細胞に狙いを定めて攻撃するカプセル剤の研究は各社が進めているが、承認申請するのは珍しい。抗がん剤はがん細胞以外の正常組織も攻撃するため副作用が強いが、標的を絞った新薬は患者の負担軽減につながりそうだ。

 新技術は血管の壁にある微小な穴に着目し、開発した。正常組織では穴が狭く、増殖を重ねるがん組織は穴が広い特徴がある。正常な組織の血管の穴より大きく、がん組織のものより小さい直径20~100ナノ(ナノは10億分の1)メートルのカプセルに抗がん剤を入れ、がん細胞だけに抗がん剤の成分が届くようにする。

 乳がんの抗がん剤として使用例が多い「パクリタキセル」という薬をカプセルに包み込んだ新薬の製造販売承認を申請する。国内で約60人のがん患者を対象にした臨床試験で、既存の抗がん剤と比較して副作用の少なさや有効性を示す結果が得られた。

 現在、最終段階の臨床試験のデータを収集中で、来春までに申請に必要なデータの取得が完了する見通しとなった。

 同社は東京大学の片岡一則教授らと共同研究などで開発を進めてきた。同社は医薬品に加え、化学事業も手掛けており、化学部門が持つ高機能素材の技術を活用した。

 同社は既に20億円強をかけ、群馬県に専用工場を建設済み。承認されればすぐに量産し、発売できる体制を整えている。

 今回開発したカプセルに包む技術は他の種類の抗がん剤にも応用できる。同社は肺がんや大腸がんなどの抗がん剤「カンプトテシン」を使ったカプセル剤の臨床試験を進めている。

 抗がん剤の分野ではバイオ技術を使った遺伝子を標的にした薬の開発が主流になりつつあり、国内製薬会社は欧米の大手製薬に押されがちだ。今回のカプセル技術は日本企業が得意とするものづくりのノウハウを活用しており、抗がん剤分野での日本勢の巻き返しに寄与する可能性がある。


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