日本株と投資信託のお役立ちノート

株や投信の運用に役立つ記事を探します。
(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

相似形を描く株価と賃金

2015年03月16日 | 国内:景気・物価・賃金
〔15.3.16.日経新聞:景気指標面〕
 厚生労働省の毎月勤労統計によると、1月の基本給が15年ぶりの増加率を記録した。そういえば、日経平均株価も2月に15年ぶりの高値を付けたばかり。株価と賃金には連動性があるのだろうか。

 百聞は一見にしかず。双方の15年間の長期グラフを作って重ねてみた。結果は、春闘による一斉賃金改定などの季節要因を除けば、かなり相似形に近い軌道を描いていることが分かった。

 相似形を描く最大の要因は、双方とも企業業績に大きく左右される指標だからだ。EY総合研究所の市川信幸チーフエコノミストは「企業収益が高まれば、株価が上がり、経営者が従業員に賃金として分配するのは合理的な行動」と指摘する。株価が賃金の増減率と連動するのは、春闘などでは絶対額よりも前年比の増減幅で交渉する慣例があるためだ。

 株高と連動して賃金が増えれば消費が活性化し、景気の好循環につながるはずだ。だが国会の論戦ではアベノミクス批判として「円安・株高で資産家が恩恵を受けるだけで、賃金の増加が伴っていない」という意見をよく耳にする。消費者心理も賃金の増加率ほど改善しているとは言い難い。

 原因は物価上昇分を引いた実質賃金の減少だ。中央労働委員会の調査によると、昨年の賃上げ率は大企業で2.05%と、昨年4月の消費増税による消費者物価押し上げ分と同程度。物価上昇を上回る賃上げは実現できていない。

 ただ今後、実質賃金には3つの追い風が吹く。
 1つ目は、今年の春闘では昨年を上回る賃上げ率になる可能性が高いことだ。みずほ総合研究所は主要企業で2.35%と予測する。
 2つ目として、4月の消費者物価以降、消費増税の押し上げ分が消える。
 さらに3つ目は、原油安による物価押し下げが当面続くことだ。
 みずほ総研の風間春香主任エコノミストは「今年は中小企業にも賃上げが波及し、4~6月期には実質賃金が増加に転じる」と分析する。

 株高による資産効果に加え、ようやく賃金の増加が消費を喚起する環境が整いつつある。 (編集委員 小栗太) 

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