日本株と投資信託のお役立ちノート

株や投信の運用に役立つ記事を探します。
(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

「ウーバー経済圏」拡大 配車充実、家具もスマホも配送 インフラ企業めざす

2015年07月28日 | 外資:米国・カナダ
(日経7/28:グローバルBiz面)
 米ウーバーテクノロジーズが事業領域を広げている。運転手と乗客を仲介するだけでなく、複数の客が乗車する相乗りや、書類や荷物、食品の配送仲介にも乗り出した。スマートフォン(スマホ)を窓口に、ヒト・モノの輸送を仲介するインフラ企業に近づくウーバー。当局やタクシー業界などと衝突を繰り返してきた「暴れん坊」ぶりを抑え、大人の企業に変わりつつある。
 
シンガポールの一部地域ではドローンでアイスクリームを配送(ウーバーの投稿画像)

 「こんにちは。今日は何してたの?」

 トヨタ自動車「プリウス」の5人乗りの車内に見知らぬ人が乗り込んでくる。行き先が近い乗客を数分間で探して自動で組み合わせるウーバーの相乗りサービス「プール」だ。市街地内の移動にしか使えないが、サンフランシスコなら料金は7ドルで定額。1人乗りの半額以下の料金で済み、気軽に利用できる。

 相乗りは昨年、サンフランシスコやニューヨーク、パリなどで本格的に始め、バスのような公共サービスに近づいた。ウーバーのトラビス・カラニック最高経営責任者(CEO)は「バスと違って乗りたいときに呼べる。十分な数の顧客と運転手がいないとできないため他社がまねしにくい」と説明する。

 運ぶのはヒトだけではない。

 中国スマホ大手の小米(シャオミ)と組み、27日の1日限定でシンガポールとマレーシアのクアラルンプールで最新機種を即日配送した。売るのは小米だが、消費者はウーバーのアプリで注文・決済するため、事実上の小売りといえる。

 ニューヨークやサンフランシスコでは昨年から小包配送の仲介を開始。全米の主要都市で衣料品の即日配送も計画する。香港では家具など比較的大きな荷物の配送サービスの実験に着手した。

 3月には地図情報サービス、米デカルタを買収した。ウーバーは米グーグルなど他社の地図に依存するが、デカルタの情報も加えて到着時間、待ち時間などの予測精度を高める。輸送の総合仲介サービスとしての基盤は整いつつある。

 関連サービスもそろってきた。カリフォルニア州で7月、業務上の運転で起こした事故も補償対象になる個人向け自動車保険の販売が認可され、米保険会社ファーマーズなどが取り扱いを始めた。

 ウーバーは運転手個人の保険を使ってコストを節約している。保険会社は個人保険を業務に使うウーバーの運転手の加入を避ける事例が増えていたが、現状を追認し専用保険をつくった。

 経済圏を広げるウーバー。立ちはだかるのは当局や既存の業界だ。

 カリフォルニア州労働委員会は6月、ウーバーの仲介で長時間働く運転手を「従業員」とみなし、給与税や年金、健康保険など福利厚生費用を負担する必要があるとの判断を下した。ウーバーは「仲介者」だとして異議を申し立てる構えだ。

 7月、ニューヨークに暮らす人々のスマホのウーバー画面上に「デブラシオ」なるボタンが登場した。タッチすると乗車可能な車の表示が消え、怒りを誘う仕掛けだ。タクシー業界から政治献金を受けるニューヨークのビル・デブラシオ市長を皮肉るためにつくった。

 デブラシオ市長は渋滞悪化を理由に、ウーバーなど乗り合い仲介の台数を制限する法案の導入をもくろむ。デブラシオボタンは法案に反対するメールを送る画面に利用者を誘導する対抗措置だ。

 もっとも、こうした挑発的な振る舞いの一方で、「大人の対応」も目立ち始めた。

 ウーバーは米国の多くの空港で、施設の維持に使われる車両入場料を払わないため管理当局と対立。客待ち禁止措置を受けてきた。ただ、今年からロサンゼルスの空港などで、車両入場料を払った車を呼べるサービスを始め、妥協点を見いだしつつある。

 昨年はオバマ政権の有名な選挙参謀で、イメージ戦略に定評のあるデービッド・プルーフェ氏など有力な政治コンサルタントを招請。今年5月にはグーグルで社外イメージ戦略を担当した上級副社長も引き抜いた。「サービスの公益性」を強調して世論を味方につけ、反対勢力の攻撃をかわそうとしている。

 ジェブ・ブッシュ氏ら共和党の大統領選候補者が相次ぎウーバーの起業家精神をたたえるなど、有力政治家の取り込みにも成功しているようにみえる。ウーバーは摩擦を回避するしたたかさも身につけはじめたようだ。 (シリコンバレー=兼松雄一郎)

▼IT巨人が包囲網 グーグルやアマゾンも参入準備
 事業領域を広げる米ウーバーテクノロジーズだが、包囲網もできあがりつつある。出資者でもある米グーグルや、米アマゾン・ドット・コムが類似の配送仲介サービスの開発に乗り出した。IT(情報技術)大手の参入で、競争激化は必至だ。

 グーグルは子会社を通じ、イスラエルで通勤時間帯の相乗り仲介サービスの実験をすでに始めている。グーグル社内でも類似のサービスを開発している。

 アマゾンも登録した個人に委託して荷物を運ぶ対抗サービスを開発している。

 同業の米リフト(カリフォルニア州)もウーバーを猛追する。リフトは米国での事業展開が中心だが、楽天や中国の電子商取引最大手アリババ集団から出資を受け入れ、今後は海外に進出する方針。米国内で繰り広げられるリフトとの競争が海外でも始まる。


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