日本株と投資信託のお役立ちノート

株や投信の運用に役立つ記事を探します。
(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

恐怖指数が招くワナ 波乱相場で生じる運用格差

2015年01月16日 | 投信&その他運用
〔15.1.16.日経新聞:マーケット総合1面〕
 

 15日の東京株式市場では日経平均株価が300円を超える上昇を演じた。もっともこの日の上げは短期筋の買い戻しが主導したもので、投資家の多くは相場の先行きに対する警戒を解いていない。連日乱高下を繰り返す波乱相場でいかに動くのか。ある2つの日本株ファンドの投資行動から、投資家の運用成績を大きく左右する一つの事実がみえてくる。

 「米原油相場が反発し、株式相場も戻したが、リスク回避の姿勢は続くだろう。買いに動くにはまだ早い」。15日、銀行系運用会社の担当者はこう話した。

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 先行きに慎重な相場観は多くの市場参加者が共有する。その証拠にオプション価格から算出した日経平均の予想変動率を示す日経平均ボラティリティー・インデックス(日経VI)は15日時点で23.64。一時30を超えた年初からは下がったが、なお高い水準にある。

 先物やオプションの短期売買を通じて収益を狙う海外ヘッジファンド勢が主導する波乱相場の渦中で、一般の投資家は不安に駆られて買いの手が止まりがち。米S&P500種株価指数の予想変動率を示す米VIX指数が「恐怖指数」と呼ばれるのはそんな理由もあるのだろう。

 ある欧州系運用会社が2013年末に運用を始め、大手証券が販売するリスクコントロール型の日本株投資信託は、このボラティリティー指数を運用の中核に組み込んだファンドだ。

 具体的には日経VIとVIX指数を活用した「独自の売買シグナル」に基づき、先物を使って株式組み入れ比率を機動的に変える。市場の不安心理が高まって日経VIやVIXが上昇した局面では先物を売り建てて株の組み入れ比率を実質0%に下げる。つまり現金比率を高めて基準価格の下落を避けようとする。

 相場の上昇局面では基準価格が上がり相場の下落局面では下がらない「夢のファンド」にもみえるが、実際の成績ははかばかしくない。設定来の東証株価指数(TOPIX)と比べた「負け幅」は14%だ。

 誤算の原因は、恐怖指数を活用したリスク管理が結果的に相場の後追いになった点にある。相場が底値圏に達してから先物売りに動き、その後の反発局面で出遅れる失敗を繰り返した。

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 波乱時の投資行動で好対照をなすファンドもある。大和証券投資信託委託が運用するダイワ日本株・バリュー発掘ファンドだ。

 「市場の不安心理が高まって相場のボラティリティーが高まったときこそ割安株投資家にとっては買いのチャンス」。入社18年目という運用担当者はそう話す。業績に比べて割安な銘柄をより安い価格で買えるうえ、相場全体が下げても割安株の下げは限られるからだという。投資行動の正しさは数字が示す。過去1年、3年、5年の成績は日本株投信全体の中でトップクラスだ。

 恐怖指数に動じず、市場の不安心理を逆手にとって投資機会を探す――。2つのファンドが示すのは、世界の主要市場の中でボラティリティーが突出して高い日本株市場で、投資家が肝に銘じるべき原則ではないだろうか。 (川崎健) 

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