日本株と投資信託のお役立ちノート

株や投信の運用に役立つ記事を探します。
(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

コメ輸出 最高ペース 昨年比6割増、東南アに広がり 生産者、コスト低減に力

2015年09月08日 | 1.水産・農林業
(日経9/8:マーケット商品面)
 コメ輸出の増加が続いている。今年は過去最高だった2014年を6割上回るペースで推移する。価格下落や円安で国際競争力が高まった。従来はシンガポールや香港の富裕層が主な購入層だったが、ベトナムなどの東南アジア諸国や中間層にも輸出先が広がっている。輸出を有望な販路とみる生産者もコスト低減に力を入れている。

  
直まきで栽培する輸出用米(8月下旬、新潟県の田んぼ)

 コメ卸大手の木徳神糧は8月、同社として初めてベトナムに日本米を輸出した。新潟産コシヒカリ10トンを日系の外食チェーンやスーパーに売り込む。「和食レストランの増加や所得水準の向上で日本米のニーズが強まっている」(石田俊幸取締役)。10月に開店予定のおにぎり店でも日本米の使用を計画する。

 木徳神糧のコメ輸出量はシンガポールや台湾を中心に14年産米が前年比8割増の900トンの見込み。15年産米は1100トンを計画する。ベトナムに加えタイなどにも販路を広げる。

 農機メーカーのクボタは今年のコメ輸出量が前年比6割増の1400トンとなる見込みだ。玄米で香港とシンガポールに輸出し現地法人の精米所で白米にした上で販売する。「訪日観光客の増加も影響し本物志向が強まっている。中間層も日本米を求めるようになった」(同社)。16年は全国農業協同組合連合会(全農)と組むことで1万トン輸出する計画だ。

 コメ卸最大手の神明ホールディング(神戸市)も今年の輸出量が前年比5割増のペースだ。シンガポールなどに展開する傘下の回転すし店で使用するほか、特にタイ、インドネシアといった東南アジア諸国の伸びが目立つという。

 貿易統計から推計すると、1~7月の日本のコメ輸出量(援助除く)は前年比60%増の約3500トン。なかでもシンガポールを除く東南アジアは7.4倍の約250トンと伸びが大きい。

 14年産米の価格下落と為替の円安で割安感が強まったことも追い風だ。1~7月の輸出単価は1キロ当たり約284円と前年比11%下がった。海外市場で競合するカリフォルニア米などとの価格差も縮小している。

 新潟県村上市の生産者グループは昨年10月、輸出用米を専門に生産する農業法人を設立した。15年産は田んぼに直接種をまく直まきでコシヒカリ約30トンを生産し、クボタグループでコメを集荷・販売する新潟農商(新潟市)を通して輸出する。

 生産者の一人、新潟ゆうきの佐藤正志代表取締役は「国際競争力を高めるには直まきなどによるコスト削減が重要」と話す。新潟農商の伊藤公博社長は「生産者が輸出を販路の一つと捉えるようになった」と指摘する。

 主食用米の生産量約750万トンと比較すると輸出規模はまだ小さい。輸出用米には補助金が出ないため、手厚い補助金で政府が増産を推進する飼料米を生産者が優先。「思うようにコメが集まらない」(木徳神糧)との指摘もある。輸出をさらに拡大するには和食ブームを生かした戦略的な体制構築が欠かせない。


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