日本株と投資信託のお役立ちノート

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(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

中国・カザフが貨物鉄道 25日運行開始、中央アジアで影響力

2015年02月21日 | ロシア&CIS
〔15.2.21.日経新聞:国際1面〕


 中国は25日、沿海部の江蘇省連雲港市と中央アジアのカザフスタンを結ぶ定期貨物鉄道の運行を始める。中国の習近平国家主席が提唱する「シルクロード経済ベルト」構想に基づく。豊富な天然資源を保有し、ロシアが勢力圏と位置づける中央アジアで中国の影響力を高める狙いがある。

 シルクロード経済ベルト構想は、中国と欧州間を陸路で結ぶ地域の経済圏構想。東南アジアや中東を経由する「海路」と合わせ中国では「一帯一路」と呼ぶ。

 中国の最大の貿易相手である欧州連合(EU)につながる地域への影響力を確保し、米国の意向に左右されにくい広域経済圏づくりに動く。周辺国のインフラ整備のため400億ドル(約4兆7400億円)の「シルクロード基金」創設もした。

 豊富な天然資源の輸出で急成長してきたカザフ経済は原油価格の急落で転換点を迎えている。2014年2月に通貨テンゲの対ドル為替レートを約20%切り下げたが、ロシアの通貨ルーブルの大幅下落で再び切り下げ圧力が強まっている。

 カザフは欧州とアジアを陸路で結ぶ要衝に位置しており、世界第2の経済大国の中国に接近することで、ロシアをけん制する。定期貨物鉄道により豊富に産出するレアメタルや肥料、小麦などの中国向け輸出を拡大し、弱体化しつつある経済基盤の強化にもつなげたい考えだ。

 カザフと中国は13年9月に共同で6億600万元(約120億円)を投じて連雲港港内に専用物流基地を建設することで合意した。物流基地内に中国―カザフスタンの定期貨物鉄道向け専用線路を引いており、今年5月に全面運用を始める。

 中国と欧州を結ぶ貨物鉄道は、東北部からシベリア鉄道を抜ける「北回り」ルートと、中央アジアを経由する「南回り」ルートがある。このうち南回りルートは主要路線では、内陸部の重慶、河南省鄭州、四川省成都などがすでにある。重慶では自動車工場を擁するフォードなどが欧州向け輸出に利用している。いずれも空路より割安で海路よりも早い。

 外資系ではドイツポストDHLや米UPSが中国と欧州を結ぶ鉄道貨物輸送サービスを展開している。

 連雲港市は重慶などと比べて有力外資系企業の立地に乏しい。このため沿海部に位置し、連雲港港内まで鉄道線路が引き込まれている特長を生かす。日本や韓国などから海路で輸入した自動車部品や電子部品などの中央アジアおよび欧州への輸出需要を見込んでいる。

 定期貨物鉄道の終点はカザフスタンの商都アルマトイで、約10~15日かかる。同地で貨物を積み替えることで欧州まで輸送することができる。

 定期貨物鉄道は当初週2便とする。カザフと中国が折半出資で設立した中哈国際物流の劉斌総経理は「今年末には週5便にしたい」と話す。運賃はコンテナ単位で1キロメートル当たり0.7ドル。約5600キロメートルあるアルマトイまでは約3920ドルで、大口利用者には補助金が支給される。同社はすでに中国のほかフランスやイランなど20社以上の国際物流会社と戦略的な提携関係を結んだという。 (江蘇省連雲港市で、土居倫之)

▽「シルクロード経済圏」
 中国の習近平国家主席が提唱する構想で、中国を起点に中央アジアから欧州に至る「陸路」と中国沿岸部から東南アジアや中東を経由する「海路」を用い、アジアと欧州を結ぶ貿易圏のこと。中国では双方をまとめて「一帯一路」と呼ぶ。中国から東南アジアや南アジア、中東、欧州などの幅広い地域をカバーする一大経済圏となる。総人口は約44億人、経済規模は約21兆ドルにのぼる。

 インフラ整備のための資金提供を中国が主導する。11月にはアジア太平洋経済協力会議(APEC)に先立ち、習主席がバングラデシュやラオスなどの首脳と対話、これらの国のインフラを整備する400億ドルの「シルクロード基金」を創設すると表明した。中国が中心となり設立するアジアインフラ投資銀行(AIIB)とBRICS開発銀行の支援も活用し、これらの地域での中国の影響力を高める狙いだ。  

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