日本株と投資信託のお役立ちノート

株や投信の運用に役立つ記事を探します。
(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

上がり始めたPER 企業の変化、成長期待高める

2015年03月03日 | 株式全般
〔15.3.3.日経新聞:マーケット総合1面〕
 

 日経平均株価が当面の目標である1万9000円に向け、じりじり上昇している。買い注文が途絶えない背景には、安倍相場が第2幕を迎えたとの期待がある。企業業績に見合った株価上昇から、将来の成長期待をどんどん織り込む一段と強い相場への転換だ。長らく低位にあったバリエーション(投資尺度)の切り上がりを予想する声が増えている。

 2日の日経平均は3日続伸したが、株式市場では需給面の不安がくすぶっていた。最大の買い主体となってきた年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)への期待低下だ。

 昨年10~12月に1.9兆円買ったことが先週末の取引終了後に明らかになった。ゴールドマン・サックス証券の西川昌宏氏は「株式の運用比率は3月末に23%と25%の目標に近づき、買いは減速する」とみる。

 日経平均は2月に1123円上げ、ただでさえ急上昇への警戒感が広がりやすい。実際、2日の午前中には小幅安に転じる場面もあったが、下値では買いが入り、高値更新した。「買いたい投資家」の多さが改めて浮き彫りになった。

 2012年秋に始まった安倍相場には過去の上昇相場と異なる特徴がある。株価の騰落はEPS(1株利益)とPER(株価収益率)の動きに要因分解できるが、成長期待を映すPERが上がってこなかった。

 JPモルガン・アセット・マネジメントがバブル経済期(1988年1月~89年12月)とITバブル期(98年3月~00年2月)、米住宅バブル期(05年4月~07年2月)、安倍相場(13年3月~15年2月)の4局面について、高値までの100週間を分析したところ、安倍相場の株高はEPSの上昇でほぼ説明できた。

 東証1部企業の今後1年間の利益予想(アナリスト予想平均)を基に計算したPERは、13年4月に一時15倍を超えたが、その後は13~14倍で推移してきた。JPモルガンの重見吉徳氏は「海外投資家の期待が低調だったため」とみる。円安は企業収益にはプラスだが、ドル建てで運用する投資家の利益は目減りする。円安以外の収益押し上げ要因が少なく、株高期待が高まりにくかった。

 こうした海外勢の見方に変化が生じ始めた。企業は蓄積した手元資金を使ってM&A(合併・買収)や株主還元を増やしつつある。円安効果を超えた成長の動きが見え、PERは壁だった15倍近辺に上がってきた。「18倍まで許容できる」(大和住銀投信投資顧問の門司総一郎氏)との声も広がる。日経平均が2万円を大きく超える水準だ。

 もっとも「来期以降の業績拡大を織り込むのが早すぎる」(野村証券の松浦寿雄氏)と慎重な声も多い。米国では企業収益の見通しが悪化し、18倍台と高い予想PERの維持に警戒感も漂う。緩和マネーが世界の株式市場に流入しPERを押し上げている面もあり、もろさもはらむ。

 企業の変化は始まったばかりで、PERが本当に拡大期に入るのか慎重な見極めが必要だ。安倍相場の持続性を試す重要な分岐点に差し掛かってきた。 (松崎雄典) 

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