日本株と投資信託のお役立ちノート

株や投信の運用に役立つ記事を探します。
(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

乱戦・豚肉市場(中) 巻き返し図る国内勢 数値分析、ブランド化

2015年09月18日 | 1.水産・農林業
(日経9/18:マーケット商品面)
 日本の豚肉の自給率は51%。前年度比3ポイント低くなった。農林水産省が8月に2014年度の食料自給率を発表すると、畜産業界には衝撃が走った。過去2番目の低水準でエサまで考慮した自給率だと7%しかない。環太平洋経済連携協定(TPP)以前の問題として、国産豚の弱体化が浮き彫りとなった。巻き返しへのカギは、科学的データに基づくブランド化だ。

飼料で味改良
 「脂がとろけるみたい」――。千葉県香取市の「恋する豚研究所」には社内レストランで提供する豚のしゃぶしゃぶ定食(1080円)を求めて客の行列ができる。設立3年で高島屋や高級スーパーのクイーンズ伊勢丹にも取り扱いが広がった。ほのかな甘みを感じさせる肉の秘密は、自社開発の飼料にある。

 使われていない国産食材の活用を出光興産グループと研究してきた。コンビニで売る食パンは大量の切りくずが出るほか、総菜も利用されない部分が多い。「業者がおでんの残りばかりくれた時には面くらった」(在田正則会長)というが、劣化の原因となる水分を逆手に取り、発酵に使うことにした。こうじ菌や酵母の改良を重ね、安定調達できる体制を整えた。


 日本の養豚はエサのほとんどを海外に頼る。生産費は円安の影響を受けやすい。14年度の国内の平均的な飼料費は豚1頭あたり前年度比3%高の2万2500円と高止まりしている。「恋する豚」は固定価格でリサイクル原料を買い取り、浮いた費用は設備投資に回せる。

 コストのみで勝負するわけではない。日本の平均的な飼育費は1頭3万5千円を超え米国の2倍近い。広大な土地を使える海外と比べ「日本は農場が都市に近いので排せつ処理など環境対応も費用がかかる」(日本養豚協会の志沢勝会長)。

 「恋する豚」が目指すのは独自飼料による味の追求だ。日本食品衛生協会に調べてもらうと、オリーブ油にも含まれる不飽和脂肪酸がロース肉100グラムあたり56%あった。他のブランド豚より3~6%高く、脂肪が舌の上でとけやすい。

「幻の豚」を研究
 富士農場サービス(静岡県富士宮市)の桑原康代表理事も「外国産と比べてどう違うか数値の分析が必要」と語る。同社は全国の養豚場や政府系機関にも種豚や豚の精子を供給し、各地のブランド豚のもとになっている。いま取り組むのは中国原産の「幻の豚」と呼ばれる、満州豚の飼育だ。

 一般的なランドレース種と比べて満州豚は、うまみ成分のグルタミン酸とアスパラギン酸が1.2倍ある。熟成期間は30日までだとこの成分が増加し、それ以上やると減少していくことも分かった。バークシャーやヨークシャーなど各種の豚と交配し、消費者が求める肉質の研究を続ける。

 政府による13年の試算で、豚肉の関税を撤廃したら「7割が外国産に置き換わって約4600億円の生産が減少する」と見込む。前提は「ブランド豚のみ残る」という極端なものだが、おいしい肉でないと消費者が選ばないのも確かだ。価格が高くても付加価値を認められるよう、国内生産者に工夫が求められている。


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