日本株と投資信託のお役立ちノート

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(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

危機から7年、米銀復活は道半ば 利上げ見送り 逆風に

2015年09月27日 | 外資:米国・カナダ
(日経9/27:総合経済面)
 米国を発火点とする世界金融危機から今月で丸7年。米連邦準備理事会(FRB)は「危機対策」として導入したゼロ金利政策を解除する検討を開始した。だが、米銀の完全復活は道半ばだ。

 今月22日、米南部ノースカロライナ州にある米銀2位バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)本部。臨時株主総会に臨んだブライアン・モイニハン会長兼最高経営責任者(CEO)は針のむしろにおかれた。

 総会の議題はただ1つ。モイニハンCEOの「会長兼務」を認めるかどうか。バンカメの取締役会は昨年秋、モイニハンCEOに会長ポストを与えた。米大手金融では1人のトップに全権を委ねる会長兼CEO体制が常識だからだ。だが全権委任に一部株主は「時期尚早」と反発し、総会で議決するよう求めた。

 総会に先立ち議決権行使助言会社が兼務に反対する見解を表明した。「この時期に独立した会長を通じた経営陣への監視機能を低下させる理由はない」。カリフォルニア州職員退職年金基金など有力株主が実際に総会で反対票を投じた。

 総会では会社側の多数派工作が奏功し63%の支持で兼務が認められた。それでも「不信任票」が4割近くに膨らんだ一因は「さえない株価への投資家の不満にある」(CLSAの銀行アナリスト、マイク・マヨ氏)。

 米投資銀行4位リーマン・ブラザーズの破綻で騒然とした2008年9月に最も大胆に動いたのはバンカメだった。投資銀行3位のメリルリンチの買収だ。当時バンカメは商業銀行業務が中心だった。商業銀行と投資銀行を両輪とする最大手JPモルガン・チェースに対抗するためにも「ウォール街の投資銀行業務」への参入は悲願だった。

 しかし、この買収は裏目に出る。リーマンと同様にメリルリンチはサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)関連ビジネスに深く関与していたためだ。買収先から生じた想定外の損失が投資家に嫌気され、バンカメ株は長期低迷した。宿敵JPモルガンとは、株価と株式時価総額で差がついた。

 メリル買収などを主導した前任者の事実上の引責辞任を受けてモイニハン氏がCEOに就いたのは5年前。サブプライム問題にからむ司法・金融当局への巨額制裁金の支払いなど「負の遺産」の処理はようやく山を越え、臨時株主総会も乗り切った。巻き返しをうかがう同氏だが、新たな逆風がふき始めた。

 8月以降、米銀株が軒並み下落基調だ。中国など世界経済の減速を踏まえ、FRBによる利上げは遠のくとの見方が台頭しているためだ。

 米経済が回復して利上げが実現すれば、ゼロ金利政策のもとで縮小してきた利ざやが拡大に転じ、収益力が高まるとの期待があった。なかでも全米津々浦々に店舗を展開するバンカメに効果が大きいとされてきた。

 FRBは今月、利上げを見送った。「アメリカ銀行」の収益力と株価の行方は金融危機後の米経済と米金融の本格復活をはかる試金石となる。  (ニューヨーク=佐藤大和)


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