日本株と投資信託のお役立ちノート

株や投信の運用に役立つ記事を探します。
(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

まちのアピールは任せて 地方創生追い風、ベンチャー走る

2015年03月23日 | 国内:少子化・地方再生
〔15.3.23.日経新聞:新興・中小企業面〕
 政府が掲げる「地方創生」を追い風として、自治体関連ビジネスに商機を見いだすベンチャー企業が出てきた。観光振興やIT(情報技術)関連を中心に特徴のあるサービスを提供し、アピール力を高めたい自治体を手助けする。ベンチャー各社はより魅力的な施策を打ち出したい自治体の要望に応えることで、活躍の場を広げようとしている。

 「この地域ならではの体験型レジャーをアピールできます」。昨年8月、レジャー予約サイトを手掛けるアソビュー(東京・港)の山野智久社長は集まった約60人の観光事業者を前に力を込めた。鳥取県観光連盟が開いた説明会の一幕だ。

 同社が運営するサイト「あそびゅー!」は、大手企業が運営する総合旅行サイトなどとは異なり、そば打ちや陶芸、パラグライダーなど体験型レジャーを集中的に紹介する。消費者の体験型観光への関心が高まっていることもあって掲載事業者が増えており、現在は5千以上のプランを用意している。

 個別事業者に利用を呼びかけてきたが、山や海などの地域特性を生かせるサイトとして自治体にも売り込む。「観光振興に関心が高い自治体が多いことに着目した」(山野社長)。自治体ごとに特設ページを作り、観光スポットや体験型レジャーを紹介。新たなレジャープランを立ち上げる相談にも乗る。アソビューはサイトを使って予約した人の利用料の1~2割を事業者から得る。

 ラフティングが盛んな徳島県三好市が第1弾で、30以上の事業者が参加した。「導入後は申込者が1.5~2倍になった感触」(同市観光協会)。説明会があった鳥取県でも活用を検討中で、2015年度には20程度の自治体の利用を見込む。

 スマートフォンの普及などでITが一段と身近になるなか、自治体のIT対応も進む。機器の導入や大規模なシステム開発など大手企業が得意とする分野だけでなく、市民や観光客が使いやすいサービスの提供といった小回りが利く中小ベンチャーの特徴が生きる仕事も広がる。

 アスコエパートナーズ(東京・港)は自治体のホームページの「改善」を請け負う。子育てなど住民が必要とする情報を分かりやすくまとめたサイトを自治体向けに作成し、運用も担う。安井秀行社長は「独自施策がアピールしやすくなり、定住者の呼び込みにもつながる」と話す。

 これまでに約110の市町村などが採用した。滋賀県長浜市の担当者は「市民から分かりやすくなったと評価されている」と話す。昨年11月には子育てサイトの専用アプリ(応用ソフト)の有料提供も始めており、約30の自治体が導入を決めたという。

 インターネット広告のアイモバイル(東京・渋谷、田中俊彦社長)は、ふるさと納税の情報配信サイト「ふるなび」を始めた。ふるさと納税の特典でもらえる特産品を紹介。気に入った自治体や特産品があれば、その場で申し込める。

 掲載は無料。アイモバイルはサイト経由の納税額の5%相当を自治体から得る。これまでに群馬県中之条町や山梨県甲州市など25の自治体が登録。納税額は1億円を超えた。年内に掲載自治体を50まで増やす計画だ。

 地元カンパニー(東京・渋谷、児玉光史社長)が注目するのは地方都市へのU・Iターン支援だ。三重県や和歌山県などと連携し、東京都内で開く定住促進イベントの運営や告知などを請け負う。長野県から上京した学生らの会員組織の運営も支援しており、U・Iターン促進に力を入れる。

▽予算・制度、両面で後押し 政府、創業10年未満に配慮
 地方自治体関連のビジネスに取り組む中小ベンチャー企業には、「予算」と「制度」の両面から追い風が吹く。国は2015年度予算案で地方創生関連に大規模な予算を計上。14年度補正予算でも総額4200億円の新たな交付金を盛り込んでおり、全国の自治体から観光振興などの提案が相次いでいる。

 一方、創業間もない中小ベンチャー企業が、これまで以上に国や自治体から業務などを請け負いやすくする仕組みづくりも進む。政府は中小企業への優先発注などを定めた官公需法の改正案を閣議決定。国は発注などに際して創業10年未満の企業に特に配慮するほか、自治体にも同様の取り組みを求める。

 地方関連の予算拡大を受けて、今後は各自治体がより魅力を高めるためのアイデアを競うことになる。斬新なアイデアを持ち、小回りが利くベンチャーの商機は広がる可能性が高い。

 起業家支援のトーマツベンチャーサポート(東京・千代田)で、ベンチャーと行政のマッチングを手掛ける佐藤史章氏は「ベンチャー企業を積極的に活用しようという自治体もあるが、担当者によって温度差があるのも事実」と指摘。「官公庁独特の書類の書き方などもしっかりと把握したうえで、自分たちの強みを継続的に売り込むことが重要」と話す。

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