日本株と投資信託のお役立ちノート

株や投信の運用に役立つ記事を探します。
(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

6758 ソニー、管理職比率を2割に半減 新人事賃金制度が始動 年功要素を完全に撤廃

2015年04月05日 | 16.電気機器
〔15.4.5.日経新聞:企業面〕


 ソニーは4割超に達していた本体の正社員に占める管理職の比率を2割に半減する。年功要素をなくし、役割に対する報酬を明確に定めることを柱とする新人事賃金制度が今月1日に始動した。制度刷新は10年ぶり。テレビやスマートフォン(スマホ)などエレクトロニクス事業が縮むなか、硬直化した組織を見直し、膨らんだ本社の固定費にメスを入れる。

 管理職の正確な人数は明らかにしていないが、ソニー単体の管理職は社員の4割を超えていたという。これを2割に減らし、スリムな組織で意思決定のスピードを高めるなど活性化も目指す。有価証券報告書によると、2013年度末の社員数は約1万4千人だった。

 新制度では「現在果たしている役割」のみを評価する。年功要素を完全に排除し、役割給制度を厳密に運用する。従来も年功要素を廃する設計だったが、実績や将来の期待も含め評価するため年功要素が残っていた。

 これまで管理職相当に昇格すると降格する仕組みがなく、組織変更などで実態が伴わなくなる事例もあり、「部下なし課長」のような処遇の社員が増えていた。新制度では降格すると報酬も減る。人件費の抑制額などは未集計だとしている。

 新制度の導入で管理職が減るだけでなく、役割に基づき約1割が入れ替わる。20代の管理職が生まれるなど、組織の新陳代謝も進む見通しだ。メリハリをつけた評価を徹底する方針で、若い世代の積極登用など「がんばる人が報われる」という競争原理を働かせる。

 「高齢化による逆ピラミッド型の人員構造」「管理職比率4割超」――。長年、手をつけられなかった人事賃金制度の構造的な課題に切り込む背景には、経営執行部の強い危機意識がある。

 「エンターテインメントと金融がなければソニーはつぶれてもおかしくなかった」。1月。新制度の社内説明会では、平井一夫社長のビデオメッセージが流れ、現状に対する危機意識の共有や制度改革への理解を社員一人ひとりに求めた。

 エレキ部門が主体のソニー単体は08年度から6期連続の経常赤字。しかしエンタメや金融を含む連結ベースでは利益がかさ上げされ、漫然とした安心感が生まれ「経営や社員の危機意識の欠如を招いていた」(外資系証券アナリスト)という。

 エレキ事業は07年度のピーク時に売上高が5兆9千億円だったが、13年度には3兆2千億円まで縮小した。ところが本社の固定費はピーク時よりも多い1450億円に膨らんだ。「本社の高コスト体質を変えられるかが最大の挑戦」(吉田憲一郎副社長)だった。

 新制度は国内のソニー本体を中心にテレビやスマホ、販売・製造関連の子会社など、計3万人前後が対象になる。導入の副作用で、会社の中核となるべき40代のミドル層のモチベーション低下が懸念される。電機業界で相対的に高い給与水準も下がる見通しで、将来の収入に不安を抱く若手社員も少なくない。

 危機意識に訴え新制度を導入したが、それだけでは現場は疲弊してしまう。モチベーションの維持・向上には、社員が希望を抱ける将来ビジョンや奮起を促すメッセージの発信など、平井社長をはじめ経営陣のリーダーシップが問われる。

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