日本株と投資信託のお役立ちノート

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(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

チタン、3年連続下落 国内大口価格 今年度3~4%安 航空機向け需要伸び悩み

2015年07月08日 | 素材:貴金属&レア
(7/8日経:マーケット商品面)
 チタンの価格交渉が3年連続の下落で決着した。鉱石からつくる中間製品で取引の指標となるスポンジチタンの2015年度の国内価格は、大口需要家向けが前年度に比べて3~4%安い1キロ1500~1990円となった。発電所関連や自動車部品向けの需要は内外で堅調だが、航空機関連向けは低水準が続き、需給が緩んでいる。

  
スポンジチタンは供給過剰感が強い

 スポンジチタンを生産する大阪チタニウムテクノロジーズと東邦チタニウムは、新日鉄住金などの製鉄会社と年度ごとに価格交渉する。鉄鋼メーカーはスポンジチタンを溶かして塊にして、展伸材と呼ばれる板材や棒材などを用途に応じてつくる。

 需要を上回る生産が続いていることが値下げの主因だ。航空機向け全般で在庫調整が続き、航空機向けが多いとされる輸出が減少した。スポンジチタンの14年の輸出量は12年と比べて半減し、2年連続で前年を下回る。需要回復は鈍く、15年度の価格交渉でも供給過剰が意識された。

 航空機では、部品工場で発生した端材をスクラップとして集めて配合することが多い。配合率は6割以上ともいわれ、新品のスポンジチタンの需要を押し下げてきた。

 航空機用の部品は、1トンを削り出すのに10トンのチタン塊が必要とされる。削って出たくずを再利用する割合がこの10年で高まった。現在では「端材はほとんどリサイクルされている」(東京大学の岡部徹教授)。

 スクラップの配合技術や品質管理システムも高度化し、配合率を8割まで高めようと検討する企業もある。航空機向け需要が多い高品質のチタンを生産する日本メーカーには逆風だ。スクラップの発生も増え、スクラップの在庫は13年以降、高止まりが続いている。

 14年のスクラップ価格は前年と横ばいで推移している。1キロあたり6~7ドルで、11年と比べて半額になった。円建てで比べても、新品より5割安い。スクラップが安値圏にあるため割高な新品の需要が伸び悩み、「今後5~6年は需要を供給が上回る需給ギャップが続く」(大阪チタニウムテクノロジーズの関勇一社長)との指摘もある。

 チタン鉱石は1トン1000ドル程度で14年から横ばいが続き、円建て価格が上昇している。ただ、13年と比べると5割安く、価格交渉では弱材料となった。

 メーカーは供給過剰を抑えようと減産を進め、14年のスポンジチタンの生産量は3万900トンで、13年と比べて27%少ない。

 展伸材の需要は底入れしつつある。日本チタン協会(東京・千代田)によると、スポンジチタンの加工品である展伸材の14年の出荷量(輸出含む)は約1万4000トン。ピークの08年に比べ3割少ないが、13年比14%増えた。船舶の熱交換器や自動車の部材向けのほかゴルフクラブなども好調だった。輸出では発電所の復水器やタービン向けが底堅い。

 長期的にはチタン需要の増加が予想されている。スポンジチタン需要は今後、25年まで「年率平均4.6%伸びる」(東邦チタニウム)との見方もある。軽量で丈夫なためエアバスA350やボーイング777Xなど、チタンを大量に使う最新鋭の航空機部品向けの拡大が見込まれている。

▼チタンとは
 レアメタル(希少金属)の一種。軽く丈夫でさびないのが特長。原料のチタン鉱石を精製し、いったん中間原料のスポンジチタンをつくる。さらに塊にして管や板などの展伸材に加工し、航空部品やプラントなどの部材に使う。

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